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二十六話 決断

 



「誰かが…ね…。ならここでステータス確認しましょ。ステータスオープン」


 そういうと帽子とマスクを外した。

 誰もいないからいいか。


 由衣のステータスを見る。


 奥崎 由衣

 職業 聖女

 Lv5


 HP. 500/500

 MP. 500/500


 筋力 100

 耐久 100

 敏捷 100

 器用 100

 知力 100


 ユニークスキル

『女神の加護』


 スキル

 鑑定Lv1

 聖魔法

 派生スキル

 聖矢Lv1


 スキルポイント30


 取得可能スキル

 スキル

 気配探知

 魔力探知

 回復魔法

 鑑定妨害


 どうやら女神の加護はそれ自体がスキルで派生スキルはないみたいだな。


 回復魔法

 対象のHPを回復する。


 もっと潜ることになればこの魔法は便利だろう。

 引っ張りだこ確定だ。


「鑑定妨害は絶対にとってレベルを上げろ。由衣のスキル構成だと利用されるの間違いなしだ。他は自分の思う通りにするといい」


「わかったわ。なぎ君、ありがとね」



(その笑顔に乾杯)


 パシャッ!


 ダンジョン内での由衣の貴重な笑顔。


「ちょっとっ!撮らないでよ!」


 照れながらマスクと帽子をつける。


「その写真どうするのよ…」


「将来由衣ファンに売りつける」


「へぇ…。そんなことしたらあんた捻り潰すわよ?」


 どこを!?

 下を見るのはやめて!?



「いいこと思いついた。僕は火力最強を目指す。由衣は防御最強を目指そう。というかそのスキル構成ならいける。そしたらまたパーティ組んで潜ろう」


「私、料理スキル欲しいだけなんだけど…。まぁいっか。死なない程度に頑張るわ」


「おう。これからどうする?もう少しやるか?」


「今日はもういいわ。外でご飯食べましょ」


「わかった。MP全部使うから少し待っててくれ。由衣も僕のこと鑑定し続けな。スキルレベル上げはできる時にやったほうがいい」


「わかった」


 こうして由衣とのダンジョン探索は終えた。

 外に出るとまだ昼過ぎぐらいだ。

 ダンジョンカードを提出し終えた後支部に向かう。


 由衣に流れを教えてやってもらった。


「ゴブリンの魔石が72個で720円。ギザギザの武器が12個で6000円。計6720円になります」


「ありがとうございます」



 お金を受け取った由衣が戻ってきた。

 駅の方に歩きながら話す。


「いつも働いてお金貰ってるけど体を動かしてお金を貰うのは新鮮ね」


「そうだな。それも含めダンジョンは面白い」


「ふふっ。はいこれ、半額でいい?」


「3000だけでいいぞ」


「やった!でもいつもならきっちり寄越せって言うのに。どうしちゃったの?」


「生憎お金には困らなくなった」


 1億あるしな。

 家を買っても数千万は残るだろうしダンジョンでお宝も発見できるだろうしな。

 そういえば、



「火魔法のスキルスクロールあるんだけど使う?」


「んー。杏奈が攻撃特化だからいらないわ」


 この言いようだと橋本杏奈と潜るってことだよな。


「橋本杏奈はユニークスキルを持ってるのか?」


「ええ、持ってるわよ。言ってなかったわね。聞いて驚きなさい!職業『剣聖』にユニークスキル『剣神』よ!」


(これまたベタな)


「すごいな。今度剣で手合わせしてみたいな」


「いつか誘って連れてきたげる」


「頼んだ」



 駅を過ぎてモールに入る。


「何食べたい?」


「なんでもいいわ」


「なら寿司だ!寿司行こう」


 回転寿司のお店に入る。


「いらっしゃいませ!何名様でしょうか?」


「二名です」


「二名様ですね。こちらの席へどうぞ」


 そういってカウンター席へ座る。


 久々の寿司だ!いっぱい食べるぞ!


 流れてきたサーモンを取る。

 醤油につけて「いただきます!」と言い口に運ぶがマスクごと食べてしまった。


「あ、マスク忘れてた」


「ばかね。サーモン以外のことも考えなさいよ」


 マスクを外しもう一度口に運ぶ。


(ううううぅぅめぇぇぇぇ!!)


 適度にのったあぶらがいいんだよなぁ。


 僕は大のサーモン好きだ。お寿司屋さんにきたらサーモンをひたすら食べる。たまに味変でマグロとエビ。

 サーモンを世界一うまいと思ってる。いや。確信している。

 この時間は綺麗なお姉さんの胸と同じぐらい好きだ。



 パシャッ!



「何とってんだおい」


「あまりにも美味しそうに食べるからつい…」


「気分がいいからな。許してやろう」


「どんだけ上から目線なのよ。あなたの写真なんてフォルダに1000枚はあるわ」


 まさかのカミングアウト。

 え?1000枚?


「…嘘だろ?」


「本当よ、見る?」


「そうだな。由衣が厳正なる審査をして生き残った3枚を見たい」


「いいわ。もう決まってるし。まず1枚目はこれよっ!」



 それは幼い2人の子供が手を繋いでいる写真だった。勿論由衣と僕だ。

 僕なんて繋いでない方の手の親指を口の中に入れてるし。


「いつ見ても可愛いわ…。この不安そうな表情がたまらないっ!お姉ちゃんを頼ってくれてもいいんでちゅよぉ〜?」


 うざい。めっちゃうざい。


「…他の二枚は?」


「次に好きなのはこれ!」


 それは2人でお洒落して遊んだ時の写真だ。2年ぐらい前か?

 家で着せ替えショーをしたんだ。その中で気に入ったやつを撮ったものだ。


「懐かしいな…」


「でしょー!?またやろうね」


「…気が向いたら。最後のは?」


「これはねー。いつ撮ったやつだと思う?」


 それは僕が寝ているが由衣とのツーショットだった。由衣と僕のほっぺが重なっている。

 はにかむように。

 幸せそうな表情で笑う由衣と気持ちよさそうに寝ている僕。

 これは…。



「……昨日か?」


「正解っ!!もう本当可愛いよね。SNSにアップしたいもん」



 まったく。僕のこと好きすぎか。

 まぁ…いい写真ではある。

 その願い叶えてやろう。



「…近いうちハンストとスポンサー契約するんだ。そしたら僕も有名になるし由衣と親戚で仲がいいことも発表できる。そうすればアップできるか?」


「!?」


 ちょっとびっくりさせすぎたか。


「うん…。アップできると思う…。でも…いいの?」


 この疑問は僕の顔が世間に広まることを言っているんだろう。ストーカーやら誘拐やらで今までひっそりと生きてきたからな。本当こいつは優しいな。


 だけど


「全然問題ない。むしろ由衣との繋がりをみんなに自慢したいぐらいだ。その写真僕にも…いや。俺にもくれないか?」



 これはけじめだ。

 今までの弱かった自分とはおさらばする。

 こんなに思ってくれる子がいるんだ。

 もう変わらなきゃ。



「いいの…?」


「問題ない。マスクも醤油塗れだしな。この機会につけるのやめる」



「うん…っ!うん!ありがと…っ! 何枚でもあげるよ……っ!」


 涙目で感動してるところ悪いが…。


「1枚でいい」


 といっておく。


「…空気読めないところは変わらないんだね。 私もこれから…呼び捨てでもいい?」


 それが俺だからな。


「いいぞ。君付けなんかに拘るな。何か言われたら俺が助け舟出す。小舟だけど」


 家は奥崎の本家だ。分家や従姉妹達とは立場が違うことになっている。そのため昔から様や君付けで呼ばれてたがもういいだろ。


「…なぎ。そこは大舟にのりたいかな?」


「ぷっ」


「何で笑うのよ!」


「ぎこちないからだ。早く寿司食って帰るぞ」


 サーモンを貪り食う。



 最近は大きな決断が多いな。

 最強になる前段階とでも思おう。



 お会計をして外に出る。


 帽子は被ってるわけだからそんな目立たないだろ。


 周りを意識せずに駅に向かうが

 変えようと思ってすぐに出来ることはなく、めっちゃ意識してしまった。


 しょうがない。少しずつ慣れていこう。

 みんなが認知するようになれば道端の石ころぐらいになれることを祈って。




読んでいただきありがとうございます。


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