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二十四話 由衣の思い

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 私はこの人が好きだ。

 同い年でエッチなことが大好きだけど女性恐怖症で見ることしかできない子。

 言動もちょいちょいおかしいところはあるけれど、それも含めて好きになった。

 好きというよりは『愛おしい』という感情かもしれない。


(寝顔かわいいなぁ)


 いつもは周囲を気にしているから少し険しい顔。もとい、かっこいい顔をしているけど寝た顔は超可愛いのよね。


(反則級だわ…)


「肌も綺麗だしほっぺぷにぷにしてるしいい匂いするし…。理性が壊れそう」


 今すぐ襲いたい欲に駆られるがなぎ君は疲れてるだろうしそんなことは望んでいない。

 私は好きだけどなぎ君は私のことを妹的な何かだと思っている。

 そう思うとため息が出る。


「…どうしたら好きになってもらえるかな」


 今まで色々試してきたがどれもだめだった。

 下が反応しないのだ。親友の杏奈やなぎ君のお母様にも相談しているが特に成果はない。


 なぎ君の髪を梳かすように撫でる。


 すると体勢を変えたいのか寝返りをした。


(!?やわらかほっぺが私のほっぺに…!!)



 これは自撮りチャンスだわ。


 パシャッ!


 パシャッ!


 パシャッ!



(はぅぅぅぅぅ…!!!なぎ君がかわいいよぅ!!)


 ロック画面に設定しよう。


(めっちゃこの写真アップしたい)


 そう思うのも無理はない。

 芸能活動も何度かして俳優さんとかとも共演しているけれど一番近くになぎ君がいるんだ。他なんて相手にもならない。それほどなぎ君はかっこいい。


 私のSNSは杏奈か女性と撮っている写真しかアップしていない。

 男性共演者とも撮ることがあるが貰わない。

 初めてアップする男性はなぎ君がいいから。


(私もそろそろ寝なきゃなのに…っ!こんな状態じゃ寝れないわ…)



 明日はダンジョンだ。浅い階層とはいえ死ぬこともあるから。

 仕事だと思ってもう寝よう。


(なぎ君…おやすみ)







 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ん…ん…?」



 朝か。今日はぐっすり寝れたな。


 横を見ると由衣がまだ寝ていた。

 由衣を起こさないようにベッドからでて朝食の準備をする。


(パンと目玉焼きでいいか)


 卵を割って焼いていると


「朝ご飯…?」


 由衣が起きた。


「グッドタイミングだ。顔洗ったら席座れ」


「…うん」


 まだ寝ぼけてるみたいだ。


 目玉焼きを皿に乗せ食卓に運んでいく。


 2人揃って


「「いただきます」」


 を言い食べる。


 朝は米よりパン派だ。時間がない時でもすぐ食べれるしね。



「今日何時から行くの?」


「そうだな。9時ぐらいに家出るか。それでいいか?」


「2時間後ね」


「その2時間で準備してくれ。あと由衣のステータス見せてもらえないか?」


「いいわよ。ステータスオープン」


 奥崎 由衣

 職業 聖女

 Lv1


 HP. 100/100

 MP. 100/100


 筋力 20

 耐久 20

 敏捷 20

 器用 20

 知力 20


 ユニークスキル

『女神の加護』


 スキル

 聖魔法


 スキルポイント0




 やっぱりあるな。ユニークスキル。


「なぁ。この女神の加護ってどんなスキルなんだ?」


「えっと…。自分の耐久より低い筋力の人や魔物からの攻撃を全て無効にするって書いてあるわね」


 は?


(…なんだそのクソチート。僕よりもチートじゃないか)


「どうしたの?目なんて見開いて」


「そのスキルがあまりにもチートくさいからびっくりしてた。今もビックリしてるけど」


「そうなの?でもレベル上げてる人の攻撃は通っちゃうわよ?」


 何言ってんだこいつ。


「そんなの由衣がレベル上げればいいんだよ。ましてやユニーク持ちはステータスが普通の人の倍あるんだから。ユニークなしの人が10レベルでも由衣は6レベルになっちゃえば完全に攻撃通らないし。反則級のスキルだ」


「ならレベル上げ頑張らないとね」


「そういうことだ。持ち物は手ぶらでもいいぞ。僕が持っていくし。10階層までなら危険もないし大船に乗ったつもりでいてくれ」


「私服でもいいの?」


「お気に入りとかはやめろよ?動ける格好ならなんでもいい。ただし芸能人だからマスクと帽子は必須な」


「わかったわ」



 朝食後、各々でダンジョンの準備をし始める。



 9時前になり先に外で待っていると玄関から由衣が出てきた。


「どう?似合ってる?」


 その場でくるりと回る。


 伸縮性のある黒のスキニーに黒のパーカー。その上に白のダウンジャケット。


 まぁ無難な格好だな。

 だけど、



「…足先から頭のてっぺんまで僕のじゃん…」


「仕方ないでしょー。動きやすい服なんてジャージしか持ってこなかったんだから」


 ならジャージでいいじゃん。


 お洒落したい年頃なのだろう。


「…ていうかほぼペアルックなんだが?」


「…偶然ね」



 あきらか目を逸らしました。

 こいつ確信犯です。



 違うところなんて帽子の色ぐらいだ。

 僕が白で由衣が黒。


 はぁ…。


「行くか」


「ええ」





 電車に揺られていると偶にだが視線を感じる。



 原因はペアルックなのか?まぁそうだろうな。

 お互い顔は隠してるから見られる理由なんてそれしかない。


「視線感じるわね」


「お前のせいだ」


「ちがうわよっ!みんな芸能人じゃないかって疑ってるのよ」


「…?なんで?」


「お互い顔を隠してるからよ。よくお忍びでどこか行く芸能人は顔隠すでしょ?だから疑われてるの」



 そういうことだったのか。



「しょうがないな。芸能人じゃないけど外したくないし。我慢」


「そうね。もうすぐ着くんだしダンジョンへ直行しましょ」



 揺られること数分で川越についた。


 ダンジョンに直行するが人だかりがある。

 またいつもの勧誘だろうか?


「すみませーん!そこのペアルックの方々、少しお時間いいですか?」


 と声をかけられた。

 いや。他のペアルックの人だろう。

 そうに違いない。



 進もうとすると由衣がいない。

 振り返るとさっきの声の主であろう女性に捕まっていた。


「はぁ。どうしたんですか?」


 なるべく早くダンジョンに入りたいので素っ気なく聞く。


「そんなにお時間は取らないですよっ!探してる人がいましてですね。私と同じような格好をした人なんです。ご存知ありませんか?」


 そう言われたので観察するが…。

 上下黒のジャージに帽子を被りマスクをした変質者だ。こんなやつ早々いないだろう。



「…」


 どうしてか由衣は何も応えないので代わりに僕が応える。


「いや…。そういった服装の人は見てないな」


「あっ!違います!今日じゃなくてここ最近の話なんです。ネットにあがってるゴブリンとの追いかけっことか見てませんか?その追いかけられてる人を探してるんです」


 おぉぅ…。

 僕のことじゃないか。

 由衣は分かってて黙秘を決め込んだな?


(触らぬ幼女に祟りなしだ)


「僕もその動画は見ましたが心当たりはないです。すみません」


「…そうですか!わかりました。お時間ありがとうございました!」



 そう言い人混みの中へ消えた。


「よしっ行くか」


「そうね」



 ダンジョンカードを提出しダンジョンに入る。


 《10階層、20階層に移動できます。移動しますか?》


 いいえを押して一階層からにする。



初パーティでの探索開始だ。





読んでいただきありがとうございます。


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