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二十三話 振りまわされる



 テレビを消したあとお腹がなった。


「よしっ。由衣腹減ってるか?なんか食べようと思うんだが」


「そうね、オムライス作りましょ」


 作りましょ だと。


 完璧美少女に唯一ある欠点。

 それは料理だ。

 もう壊滅的にダメ。まず料理に入れない。

 言ってることがわからないだろう。

 見ればわかる。



 キッチンに2人で並び卵を冷蔵庫から取り出す。


「いいか?割ったらこっちのボールに入れるんだぞ?間違えるなよ?」


「そんなの常識よ。…何言ってるんだか」


 ため息吐かれても困る。

 その常識が通じないのがお前という存在なんだよ。


 コンコンッ パカッ!




 …彼女は中身をゴミ箱へ。

 殻をボールに入れた。



「頭おかしいんかぁ!」


 由衣のほっぺを軽くつねる。


「お前は殻食うのか!? おかしいんかっ!」


「たまにあるじゃない。冷凍庫に卵入れちゃったり。それと同じよ」


「サイコパスかっ!!見ろ!このゴミ箱の卵!お前のせいで切なくて歪んでるわ!」


「ごめんなさい。もう一度いいかしら?」


「食い気味に言って無理。僕がオムライス作るから由衣は座ってて! ゴミ箱の卵に黙祷!」


 はぁ…。まじで疲れるな。



 僕はオムライスをささっと2人分作りテーブルに持っていく。


「出来たよ。 …由衣?」


 なんか部屋の隅で体育座りしてるし…。


「…私ってなんで料理できないんだろ。才能ないのかな」


 これは下手に慰めるよりも完全に潰しにかかった方がいいだろう。



「ああ。由衣には才能がない。0を超えてマイナスの領域だ。料理は諦めろ。それ以外はピカイチなんだから。天は二物を与えないっていうだろ。由衣は与えられすぎて逆に料理が壊滅したんだ。料理だけできないんだからまだいい方だろ。これを機に諦めろ」



 やばい。なんかうるうるした目してんだけど。

 ボロクソに言いすぎたか?でもそう言わないと食材たちが可哀想だ。



「なぎ君に…美味しい料理作れないの…?」


 うおおおぉぉぉぉ!?

 なんという破壊力!?

 なんという上目遣い!?


 やばい。写メとっとこ。

 パシャッ!


 ていうかこいつ僕のために料理しようとしてくれてたのか。

 可愛い奴め。

 なら希望を与えよう。



「料理スキルがあればできるかもな…」


「…!?ほんとに…?」


「ああ。スキルは偉大だ。人間ができないことをできるようにしたんだ。料理ぐらい訳ないだろ」


「うん…!料理スキルゲットしてなぎ君に美味しいご飯いっぱい作るね!」


 どうやら吹っ切れたようだ。


 やっぱ笑った顔は世界一だ。

 髪を撫でる。


 照れ臭そうにしてるが昔から好きだもんな。



「冷めないうちに食うぞ」


「うん」



 オムライスは残さず完食しました。







 食後ソファーに並んで座りテレビを見ている。


「そういえば明日ダンジョンに行くんだろ?由衣行ったことないよな?何をしに行くんだ?」


「そうだった。一応レベルを上げたいの。ステータスが強い人に襲われたら成す術なくなっちゃうでしょ。あとは料理スキル!」


 もう料理スキル視野に入れてるのか。


「料理スキルはオークション見てた方が早いと思うぞ」


「オークションって?」


「携帯貸してみろ」


 ダンジョン探索者協会のホームページを開き



「ここに探索者カードの番号と自分の名前を入れるとオークションページにいけるようになる」


「入れたわ! ここにあるかもしれないの?」


「今はない。このサイトはダンジョンから出たものでも値がつけれないものや珍しいものなんかをオークションとして出すんだ。スキルスクロールはここに出るから1日1回ぐらい確認すればいいんじゃないか?」


「わかったわ!」


「明日は由衣のレベル上げな。目標レベルはあるか?」


「10レベルぐらいまでは上げたいかな。それより今のうちにパーティ登録しましょ!」



 ん?パーティ登録ってなんだ?



「知らないのね…。ステータスを開いて名前の欄を長押しすると自分の名前の下に枠がいくつかあるの。そこにスライドして名前を入れればパーティ登録完了よ」



 要はドラッグ&ドロップか。



「ステータスオープン」


 奥崎 由衣

 職業 聖女

 Lv1


 HP. 100/100

 MP. 100/100


 筋力 20

 耐久 20

 敏捷 20

 器用 20

 知力 20


 ユニークスキル

『女神の加護』


 スキル

 聖魔法


 スキルポイント0





 由衣が名前を長押しすると枠が増えた。

 そこに僕の名前を引っ張ってきて完了だ。


「ほら!ちゃんとなってるでしょ」


 なってはいるんだが…。

 聖女という職業と女神の加護が気になってやばい。というか女神っているのか?

 もう眠いし明日聞くか。


 奥崎 由衣

 パーティメンバー

 奥崎 なぎ


 職業 聖女

 Lv1


 以下略



「パーティ登録すると何があるんだ?」


「経験値を等分するみたいよ。ちょっと怖いからなぎに手伝ってもらうのよ」


「わかった。明日楽しみだな」


「そうね。少しドキドキするわ」


「もう僕は寝るから電気とテレビ消しといて」


「待ちなさいよ…。私をどこで寝させるつもり?」



「ああ…。一緒に寝るか?」


「…ね……る」


「ん? なんて?」


「…一緒に寝るわ」



 こいつまじか。

 別にいいけれども。


「全部消すぞー」



 電気、暖房、テレビを消し寝室に向かう。


 真っ暗なため由衣はちょこっと僕の袖を掴んで歩いてる。


 暖房をタイマー式でつけベッドに入る。


「入らないのか?」


「…入る」



 恥ずかしいのだろうか。昔は一緒に寝てたのに。



「なぎ君」


「ん?」


 もう眠れそうだ。

 今日の探索が一番疲れた。



「おやすみ」


「ああ…おや…す…み…」



 僕は意識を手放した。




読んでいただきありがとうございます。


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