二話 最高のご褒美です
ダンジョン発生から一週間がたった。
未だにダンジョンには入れていないけど、時間の問題だ。
自衛隊がダンジョン内に入り探索したところ魔物がいたらしい。1階から10階ぐらいまでは弱い魔物しか出ないことがわかった。他にも魔物を倒すと魔石と素材を落とすみたいで魔石は高純度のエネルギーみたいだ。様々なものに組み込めるらしい。素材はダンジョンの魔物を倒すときにこれを使った武器だと有利みたいだ。
他にも宝箱があったり、トラップがあったりと、僕の想像通りのダンジョンだった。
海外では既に一般解放されているところもあるみたいだ。
今はその知らせを待っている状態。
自宅警備員だから他にやることもないしね。
「僕は世界一のダンジョン探索者になる!」
「はいはい、そんなこといってないでリビングの掃除してちょうだい」
そう応えたのは母の奥崎 まいだ。
仕事が忙しいため2ヶ月ぶりぐらいに顔を見た。
息子の夢をバカにしやがって。いつか超稼いで今よりもっと贅沢させてやる。
ふははは
僕は不敵な目をしながらもしっかり手は動かし掃除していく。
抜け目なく。
この埃どもを魔物だと思って
「おらおらおらおらぁっ!」
「ふぅ~。いい仕事したな」
額の汗を拭う。
「何いってるのよ、リビングしか終わってないじゃない。客間もキッチンも寝室も全部よ。 夕方6時までに終わらせたらご褒美あげるわよ?」
ただいまの時刻2時。
あと4時間しかないじゃないか!!!
この家は広い。豪邸といっていいほどには。
「マミーよ、褒美とはなんだね?」
「そうねぇ……」
そう言うとリビングを出て行く。
なんだ?お金か?でも財布はそこにあるし…。
がちゃ…
リビングを開く音が聞こえ何かみてみると、
「そそそれはっ!あすかきら◯の限定生産版DVDだとっっ!!!」
僕が朝早くから並びに行っても買えなかった限定版…。ネットでも散々探したのに。
なぜ持っている。
そしてそのしたり顔。
いや。今は理由など気にしている場合ではない。
僕は母上の方へ歩み寄り、誠意を見せる。
土下座だ。
「麗しき美形の母様!どうか僕にそのDVDをください!お願いします!お願いします!ほんとまじでたのんます!」
あれがあれば…。
最近いまいち捗らなくてね。新しいジャンルを見つけようか考えていたところだった。
このタイミング。
これからは母神様と呼ばせていただこう。
「ふふっ、さっきも言った通り家全体の掃除を6時までに終わらせたらご褒美であげるわ」
「了解しました!!全身全霊で行います!」
「気張ってらっしゃいっ!!」
「イエスマム!!」
こうして僕の1日は掃除一色となった。
はぁはぁはぁ
なんとか…終わった…。
現在の時刻5時56分。
「母神様、お勤めを全うしました」
「ご苦労様。 本当に綺麗になってるわね、ありがとう」
「いえ! これも母神様のためを思ってのことですので! …ところでご褒美のことですが…」
「ふふっ、そう急かさないでもちゃんとあげるわよ。年頃の男の子は大変ねぇ〜」
「ありがたき幸せ!!」
(いやー、まじでいい仕事したなぁ。今夜が楽しみだなぁ。えへへへ。えへっえへっ)
妄想と息子を膨らましていると母の視線が気になった。
「どうしたんですか?母神様」
「あんた顔はいいのにねぇ…。 喋ると残念なのよねぇ」
ざ、残念だと!?
反論させてくれ
子は親に似るんだ。この母あってこその僕だと言うことを。
まぁ言ったらご褒美取り上げられそうだから言わないけど。
「もうこんな時間ね。晩ご飯準備するから手伝いなさい」
「わかりました」
「いつまで敬語なのよ、悪ふざけはここまでよ」
「わかった」
食器を出したり料理を運んでいると緊急速報がテレビで流れた。
緊急速報の内容はこういったものだった。
ダンジョンが一般公開されること。
ただし探索者の説明が各地の場所であること。受けないと探索者にはなれないこと。
また15歳以上。明日から開始らしい。
ダンジョンについては試験の時に詳しく説明があるらしい。
「ついにきた!!母さんっ!明日説明会行ってくる!」
「無理はしちゃダメよ」
「大丈夫!」
この知らせを一週間まったんだ。明日楽しみだなぁ。
…今夜も超楽しみだけどねっ!
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