十九話 デカスラ降臨
15階層への階段を見つけ降りるとそこは
「ドーム型かよ…」
あの苦い思い出の詰まった、ゴブリンと青春鬼ごっこを繰り広げたドーム型だった。
もうしないぞ!全速力で抜けてやる!
僕は周囲を確認しスライムがいないことを確認。ダッシュを開始する。
前方に魔力探知反応あり!
「炎弾」
スライムを屠り魔石を拾い走る。
何度か進行方向にスライムがいたが屠って拾って走ってを繰り返してたら階段を見つけた。
上層への。
「なんでぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
真っ直ぐ走っていると思ってたが魔物を倒すたびに少しずつずれてたみたいだ。
これなら壁際から行けばよかった…。
悔やんでも仕方ないし今回は右から行こう。
やることは同じだ。
屠って拾って走る。
これを何度かしながらようやく下層への階段を見つけた。
時間を確認するとちょうど正午のようだ。
階段で携帯食を食べる。魔力探知も忘れない。
この調子なら20階層行けるんじゃないだろうか。
スライム足遅いし。
近づかなければ溶解液も届かないし。
休憩を終えて16階層に降りる。
「やっぱ洞窟か…」
前までとあまり変わらない。
大きさの違う個体が出てくるようになったが魔法で一撃なので僕にとっては些細なことだ。
魔石の大きさもちょっと違うぐらいで値段もかわらないだろう。
40分ほどで17階層への階段を見つけ降りることができた。
17階層もこれまでと変わらないと思い魔力探知を使いながら進む。
前方に反応があり確認すると人型のシルエットが見えた。
(どういうことだ?自衛隊か?)
もう一度確認してみると、
プチュンっプチュンっ
という音が聞こえた。
「人型スライムか…。本当にスライムは便利だな」
炎弾を撃つと消えた。
「少し期待したけど、紙装甲なのも変わらないか」
急いで進もう。
その後も何度か人型や魔物の姿になったスライムと出会ったが一撃のもとに屠り続けた。
違和感のある壁も探しながら探索したがこの階層にはないみたいだ。
18階層に降りる前に少し休憩をとる。
「3時前か…。今日中に20階行けそうだな」
気になるのは自衛隊が20階を突破しているかどうかだ。まだ苦戦していることを祈る。
よしっ!いくか!
階段を降りるとそこはドーム型になっていた。
「18階だよなっ!?なんでっ!?」
魔力探知を急いで使い魔物がいないか確認する。
ふぅ…。近くにはいないみたいだ。
あくまで近くには。あの見えてるやつは後回しだ。
今回も壁際から行こう。
右側から小走りぐらいで警戒しながら進む。
かなり進んだがこの階層に普通のスライムはいないみたいだ。
だが進んだことによって入り口からでも見えたバカでかい筋肉スライムの全貌が明らかになった。
体長10mはあるだろうか。人型の筋肉美の美しい巨大スライムだ。
「でかすぎだろ…。あいつに叩かれたら一発で溶けるだろうな」
約100mほど離れているが…。
ずっと顔だけこっち向いてるんだよな…。
(まじこえぇぇぇぇ!!!)
もう少し進み、巨大スライムが横にくるところで攻撃が始まった。
巨大な口から溶解液を発射してくる。
ビュッビュッビュッビュッビュッビュッ!!!
この距離でも届くのかよっ!
全力ダッシュしながら溶解液を避けていく。
走った場所全てに溶解液がかかっている。
「あいつ鬼畜だっ! お返しにこれでもくらえ!!炎弾!」
炎弾は真っ直ぐ巨大スライムに向かっていく。
胸にあたりその周りが燃えて風穴が空いた。
「よし!僕だってこの距離でも届くんだよ!舐めるな!」
ははははははっ!!
笑いながら走っていると巨大スライムに空いた穴がみるみる再生していくではないか。
…そんなのあり?
さっきの攻撃で激怒したのか、巨大スライムが四つん這いになる。
なにするつもりだ?
嫌な予感がするため炎弾と雷弾をぶちかます。
がジャンプで避けられる。
「とべんのかよ…っ!!」
どぉぉぉぉんっ!!!!
「グラアアアァァァァッ!!」
四つん這いで溶解液を発射しながら激しく向かってくる。
いぃぃぃぃ!!??
無理無理無理無理!!!
反則だってっ!!
身体強化を発動し全力で階段を目指す。
「うおおおおおおぉぉぉぉっ!!後ろっ!!すぐ後ろまできてるぅぅぅ!!!」
四つん這いで迫りくる筋肉スライム。
こんなに怖いことがあるだろうか。
もうエイリアンにしか見えない。
少し振り返ると溶解液の発射モーションに入った。
やばいっ!
「炎弾!」
溶解液が出てくる口に風穴を開ける。
なんとか阻止できたがすぐに回復するだろう。
足にも炎弾を撃ち時間を稼ぐ。
その隙にスマホを取り出して全速力で逃げる。
スマホのカメラを内カメにし自撮り動画をとる。
カメラ越しに見るともうほとんど傷が再生しているではないか。
階段まで残り100mといったところか。
全身全霊で逃げる。
うおぉぉぉぉぉぉっ!
ドンドンドンドンドンドンッッッ!!!
「グラアアアァァァァッ!!!」
お前は逃がさん!
みたいなこと言ってるんだろうなっ!!!
だがもう階段は目前だ。溶解液は飛ばせても入ることはできないだろう。
最後の悪あがきなのか溶解液を大量に飛ばしてくるが、残念。内カメで全て見えているのだ。
当たりそうな溶解液に炎弾を飛ばして防ぐ。
よしっっ!!
階段に入った!!
まだ危険かもしれないので19階層に降りる。
魔力探知を発動し辺りに魔物がいないか確認し巨大スライムに備える。
少し待っても上からは降りて来れないようだ。
一気に緊張感が抜けその場に尻餅をつく。
「今回はまじで危なかった…」
ドーム型では鬼ごっこをするのが僕の中で定番化しつつある。
そんなの嫌だ。
リュックからペットボトルを取り出して水分補給する。
よくよく考えると自衛隊達はここをどうやって切り抜けているのだろうか。
20階層のボスを倒せないということは帰りもこの道を通るということだ。
何か方法があるのだろう。会ったら聞いてみよう。
改めて19階層を見ると洞窟だった。
「ありがとう…。洞窟。君は僕の心のオアシスだ」
魔力探知を使いながら進むと反応がいくつかあった。
…3匹ほどいる。
オアシスなんていった僕がばかだった。
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