十六話 僕はソロだ
相変わらず人が多いようだ。
ガヤガヤとしている。
ダンジョン前の自衛隊にカードを渡し帰還したことを伝える。
それから少し離れたところにある川越支部に行き今日の探索で手に入れたものを出す。
「こちらゴブリンの魔石80個で800円。大きい魔石がゴブリンチャンピオンの魔石1個で3000円。計3800円になります」
「ありがとうございます。どうして1つだけ高いんですか?大きさそんなに変わりませんけど」
「魔石を鑑定できる人が必ずどこの支部にもいるんですよ。さらにボスということで魔石に込められている魔力が高いんです。だから高く買い取ってもらえるみたいですよ」
そうか。ボスって優秀なんだな。
「ところでなぎさんの仲間の方たちはいつも来ませんがどうしてなんですか?」
ん? 今ディスられた? ちょっと心にヒビが…。
少し落ち込んでいると
「ああっ、気を落とさないでください。普通パーティを組んで探索に向かうので他の人はどうしてるのか気になっただけなんです」
これには僕もびっくり。
「え?パーティ組むの普通なんですか?」
「え?パーティ組んでないんですか?」
質問を質問で返されてしまった。
「まぁ。10階層まで潜りましたが1人でも十分だったので」
嘘は言ってない。決して友達がいないとか誘われないとかそういうことじゃない。
なんかギョッとした目で見てくる。
「パーティ組みたくなったらダンジョン前の広場に行ってください。人だかりできてませんでした? 皆さんパーティを組む人を探してるんですよ」
そういう理由で人が多かったのか。
「わかりました。 その、パーティ組まないと魔物って倒せないんですか?」
「1人でも浅い階層なら倒せると思いますが優秀なスキル持ちじゃないと苦戦すると思います」
あれぇ?そんなにみんなステータス低いの?
おかしいな…。
「…。機会があれば探してみます。 それとボスからドロップしたこの緑色の液体鑑定してもらえませんか?」
「わかりました。少々お待ち下さい」
そう言い奥へと消える。
今日はもう帰ろう。根を詰めすぎても良くないし。明日から11階層の探索をしよう。
「おまたせしました。鑑定結果、HP回復ポーション(小)だということがわかりました。今お売りされると1万円で買取ますがどうしますか?」
1万かぁ。
1億あるしお金には困ってないから取っておこう。
命の危険があるかもしれないしね。
「すみません売らないことにします」
「わかりました。またのご利用お待ちしております」
川越支部からでてダンジョン前を通り帰る。
まさかあれ全員が勧誘とは。
見たところ50人以上はいる。
早々に帰ろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
家についたが時刻は3時過ぎ。
調べることがいくつかあるがまずは、
「ステータスオープン」
奥崎 なぎ
職業???
Lv17
HP 1700/1700
MP 700/1700
筋力 340
耐久 340
敏捷 340
器用 340
知力 340
ユニークスキル
『炎竜王』
派生スキル
炎弾Lv1
『雷帝』
派生スキル
雷弾Lv1
スキル
刀剣術Lv3
派生スキル
飛斬Lv2
斬鉄Lv1
居合Lv1
鑑定妨害Lv5
身体強化Lv1
気配探知Lv2
魔力探知Lv2
HP自動回復Lv1
MP自動回復Lv1
称号
殲滅者
スキルポイント50
取得可能スキル
ユニーク
炎矢
雷矢
おぉ。レベル3上がってる!
ボスがおいしかったのかな。
まず試したいのがユニークスキルのレベルアップだ。
恐る恐る炎弾を押してみる。
『スキルポイント2消費してレベルを上げますか?』
「はははは…。 終わった…」
普通のスキルの倍ポイント消費とは。
まぁ使ってればレベルも上がるため当分はこのままでいいだろう。
次にSNSを開きアイテムボックス、異空間庫などと検索してみる。
誰もが憧れるだろう異次元ポケット。
リュックだけだと容量にも限界がある。
検索してみたがみんなも思ってることは一緒みたいで情報を求めてる。
これといっていい情報はないみたいだ。
調べたいこともないのでチューバーという動画サイトをみる。
最近ではダンジョンチューバーなる人たちが増えているためステータスの検証結果だったり魔物との戦闘だったりを録画し公開しているみたいだ。
何か得られるものはないかと再生数の高い順から見ていく。
すると気になるテロップがでてきた。
『スキルを使いまくってレベル上げ!』
15歳の女性チューバーで名はみかん。
顔は童顔で大人受けが良さそうな可愛らしい子だ。体の発育が絶望的なのが難点だろう。これで出るとこが出ていれば登録者数はもっと伸びることだろう。
僕はこれからのこの子の成長に期待して登録した。
動画を見ているとみかんはダンジョンの壁に魔法を打ち始めた。
なんとこれをMPが尽きるまで3日やったそうな。
するとどうだろうか。スキルレベルが1だったのが3まであがったそう。
「これはすごいんじゃないか?」
スキルポイントを温存しているにも関わらずレベルを上げることができる。
つい先ほどユニークスキルのレベル上げで絶望したばかりだがこれは期待を持てる。
「明日11階層で試してみるか」
(ぺちゃ◯いダンジョンチューバーみかんに祝福を)
読んでいただきありがとうございます。
もし、この作品が面白いと思ったら下にある評価をしていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。