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十二話 問題解決





それから数時間たち少しは冷静になりじんさんがいないことに気付いた。



「あれ……。もしかして夢?」



顔をつねってみる。


「いひゃい」


これは現実だと分かった。



あれ?でもなんでいないの!?

まさかさっきまでの夢だったの!?



「んなばかなぁぁぁぁぁぁぁ!!!カムバックじんさああああん! カムバック一億ぅぅぅ! カムバック僕の夢ぇぇぇぇぇぇ!!!」



病院棟に僕の声が響いた。



僕はこの日、夜な夜な泣き続けた。







日が昇り僕の顔に朝日が当たる。



「…朝か…」



もう切り替えよう。


一億なんて僕にかかればすぐだし…。

刀だって自分で見つけるし…。



「そうだ。あれは夢だったんだ!もう忘れてダンジョンのことを考え『コンコン』よう?」



誰だこんな朝早くに。

まったく不謹慎なやつだな。



「はいっ」



外面は外さないようつとめる。




「朝早くにごめ『じんざぁぁぁぁんっっ!!』んね…?」


「うんっ! 来てくれるって信じてたっ!夢じゃないって!現実だって信じてたぁっ!もう一生離さない!!」



じんさんの足に顔をすりすりする。もう外面なんて捨てちゃう。


今だけはこの幸せを噛みしめさせて。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




…これが大人の策略か。

未成年の子供を一度地獄へ落とし、それからこうして希望を持たせる。

なんと卑怯極まりない手だ。




「……」


「…たぶんだけど、なぎ君が想像してるようなことは断じてしてないと思う」



まぁ確かに。じんさんにメリットないもんね。




「昨日の僕に罪を償わせましょう」


「…何があったかわからないけど。ポジティブだね」


「過去はもういいんです。未来を見据えましょう」



「それもそうだね。さっそく昨日の話に戻るけど、セーフティゾーンの情報提供に一億、それとなぎ君には探索者としてスポンサー契約をしてもらいたい。どうかな?」



これは夢ではない。

また聞いてしまった。1億という言葉。



「情報提供はさせて戴きます。ただスポンサーのことをよく知らないので説明してもらえませんか?」


「おぉ! ありがとう! スポンサーのことだね。スポンサーは簡単に言うと支援者だね。スポーツで例えると選手に服や道具、靴などを提供しそれを選手は使う。その選手が人気になったりトップ選手になると自ずと客やファンの目に留まり売り上げも上がる。ウィンウィンの関係だね」



なるほど。

探索者として契約してほしいということは僕に探索者としての装備を支援してくれるのだろう。

だけど、ダンジョンができたのは最近だ。ダンジョン探索者の装備に手を出している会社はほとんどないのが現状だ。僕が知っているのでも二つしかない。




「スポンサーの会社名聞いてもいいですか?」


「会社名はハンストだよ」


あれ……?

聴き間違えたかな。今、世界の売り上げランキング1位の会社名が聞こえたような。



「すみません、聞き取れなかったみたいなのでもう一度言ってもらえますか?」


「何度でもいうよ。あのハンストだよ」



…まじか。さすがの僕でもこの現実を受け止めるには無理がある。



「大変嬉しいのですけど。 どうして僕が選ばれたんですか?」



ハンストは2日前にダンジョン産業にも手を出すという発表をした。


これには世間もびっくりだしニュースにも取り上げられているのを病室のテレビで見ていた。

誰が優秀かもわからない段階で僕を選ぶのは早すぎやしないだろうか。



「選ばれたのはもう二人いるみたいだよ。計三人だね。どうやらハンストの社長が君のお父上、秀様と縁があるみたいでね。さらに今回の川越ダンジョンのことを真先に知り、君を選んだみたいだ」



おいおい。父さんなんでハンストの社長と縁あるの?確かに父さんもすごいけど相手は世界だよ?

グッジョブすぎる。あとでお礼言っとこう。



「理由はわかりました。スポンサーになることで何か制限されたりしますか?」


「君の容姿なら絶対に広告塔として表に出ることになると思う。それ以外は特に制限がないみたいだよ」



うわぁ。大問題じゃん。素顔晒さないように生きてるのに…。



「まい様から事情は聞いたよ。でも今の君、素顔隠さなくてもいいんじゃないかな? ゴブリンをあの数倒せるみたいだし」



確かに一理あるが、


「ストーカーだけはどうにもできないんですよ」



そう。男やお持ち帰り目的のやつらは追い払える。だがストーカーは違う。あいつら接触してこないで家だったり僕のプライベート写真をこっそり撮ってネットにアップするんだ。

 悪質だ。僕に人権などない。



「引っ越せばいいんじゃないの?芸能人が住んでるような防犯完備のタワーマンションとか」


「そんなお金……あ…」



目の前でアタッシュケースを開く男がいる。


お金あった。こんなに。




こうして僕の長年の悩みはお金に解決されることになった。





読んでいただきありがとうございます。



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