魔神召喚
「さっそく次の系統の魔法を教えてくれよ!」
ファイアーボールを10発ぐらい打つと俺は完全にテンションが上がってしまい、ピリスに詰め寄った。
「無理よ!」
「え?」
「適性系統は普通一人一つしかないのよ。まれに二つ持っている人いるけど、一つ一つが中途半端な威力になるわ。」
「え?そうなの」
「そ!テツは火に強い適性があるみたいだから二つ目はまず無いわね」
「なんだ、じゃあ火魔法を使いながら回復しつつ身体能力向上とかできないのか…」
「そんなの無理よ」
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「それが、可能になるのです!!!」
シューマルード帝国陸軍魔道部隊第一研究部部長フー・ロットは己の理論を力説していた。
「 「異世界からの勇者召喚と魂の定着儀式の併用による魔神の人工的生成」ねぇ…」
「机上の空論だ!」
「第一に、異世界からの召喚は……」
軍上層部が口々に疑問や、反対意見を言うのを聞いて、フー・ロットは苛立ちを覚えていた。
この理論がどれほど有用なのかわからないほど無能なのかこいつらは、と。
「こんなことが本当に可能なのかね?」
ミラード・ジュン上級大将が口を開くと、会議室は一気に静寂に包まれた。ミラードは三人いる上級大将の中でも、最も力の強いと言われている男だ。
フー・ロットは 今が好機とばかりにまくし立てた。
「勿論です!成功すれば六系統全ての魔法を統べ、魔力量は通常の魔術師のおよそ五十倍という、まさに魔神を我が国は手にすることになるのです」
ガードレールと会社員が召喚される二年と三ヶ月前の話である。