旅立ち
「ところで俺の力ってこの世界ではどのくらいなんだ?」
次の日の朝、俺たちは広大な大地を歩いていた。因みに俺が目覚めたこの場所はリール平原という場所らしい。
「さっきも言ったけどひ弱よ」
「具体的には?」
「一般人ね」
「はぁ…」
「なによ!私がいるじゃない!」
「ガードレールじゃねぇ…」
「うっさいわね…こんなに強くて頼りになる、なんだっけ、があどれいる?テツの世界には居ないでしょう?」
喋って歩いている時点でガードレールではないと思う。だが、実際ピリスは相当強いようだ。
数時間前に遡る、目がさめると二、三の魔物の死体が転がっていた。所謂ゴブリンのようなものと、巨大な狼のような魔物だ。ピリスが夜通し守ってくれていたらしい。
「あ、おはよう」
「…おはよう」
「それで、こっちの世界に慣れるまで、私があなたのサポートをすることになったの!」
朝食(狼肉)を食べながらピリスの話を聞いていた。ひ弱な俺のために天使様が謝罪代わりに遣わせたのがこのガードレール妖精だそうだ。
「テツがこの世界で一人でもなんとかなるって判断したら私の務めは終わり。そうなんなかったら一生のパートナーね!」
「独り立ちできる可能性は?」
「極めて低いわね!」
……父さん、母さん。俺の墓にはガードレールが一緒に入ることになりそうです。