君
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「君」を見つけたせいか、以前よりぼ〜っとする事が多くなった。
小さな事に「君」と「雪」の違いを発見する。
小さな事でエデンでの暮らしを思い出す。
「お前、最近ぼ〜っとしてるよな〜。
大学に入ったからって気を抜くんじゃないぞ?」
晶にまで言われた。
食欲と元気だけが取り柄みたいな晶に。
とはいえ、晶もある程度勉強が出来たから同じ大学に入ったわけであり、、、。
言い返す言葉がないな〜と思いつつも、勉強疲れが今頃出たんだよ、と笑っておいた。
なら仕方ないな、と返されたけど、それでいいのか、、、。
そのまま晶は雪に友達を紹介してっと頼み込んでいる。
どうやら雪の友達にタイプの子がいたらしい。
いいよー、なんて雪は返事してるけど。
雪に気があると思っていたと後で晶に言ったら、馬に蹴られる気はねえよっと意味の分からない返事をしてきた。
「君」の柔らかな笑顔。
シャトルで出会った時は砂埃でパサパサになっていた髪。
ほんの少しの荷物。
エデンで再会した「君」は清流のように滑らかな髪を風に揺らして。
沢山の「兄弟」達と笑いあって。
小さな「兄弟」が泣くと聖母のような笑顔で相手をしていたっけ。
「君」が見当たらない時は俺はいつもの大きな木の下に行く。
大抵は星の明るい晩だけど。
君は母星のある方を見つめて、誰にも見つからないようにひっそりと泣いていた。
俺が行くと慌てて泣いてないふりしてたけど。
でも俺はごまかされなかった。
一度、ほんの偶然で君の涙を見てしまったから。
だから「君」の姿が皆の前からなくなると俺は「君」を探した。
「君」にとって良かったのだろうか?
俺は「君」の気が紛れるならと思っていたけれど。
でも、「君」を見つけるのはいつも同じ場所。
「君」を俺が見つけるのを許してくれてると思っていた。




