戦争
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俺達が最初に出会ったのはどのくらい昔なんだろう?
それすらも分からないような遠い昔。
「君」と俺は出会った。
戦地から逃れるためのシャトルの中で。
「君」は不安そうな顔をしていたけれど。
それでも他の子供のように泣いたりはしていなかった。
次に出会ったのはエデンに移住してから。
「君」は穏やかな表情だった。
俺はそう思った。
誰と話すときも慈愛に満ちている表情。
柔らかな声。
きっと「君」は運命を受け入れたんだと思った。
そう錯覚するほどの笑顔だった。
でも。
ある夜「君」を見てしまった。
月明かりの中、ひっそりと涙を流す「君」を。
衝撃だった。
「君」は運命を受け入れていると思った。
他の泣きわめく子供達とは違うと思った。
戦災孤児仲間とは、昔聞いた聖母みたいだって言っていた。
そんな「君」が泣いていた。
俺は、その瞬間から君を好きになったんだと思う。
一段上の存在ではなく、自分と同じ生き物として。
尊敬すらした。
そして俺は「君」に近づいた。
「どうしたの?君は笑顔なのにまるで泣いているようだね。」
俺がそう言うと「君」は驚いた顔になったね。
それから俺達は戦争の事や親の事、友達のことなんかを話した。
そして俺は「君」が一人ぼっちになってしまった事、それでも他の戦災孤児の面倒を見るボランティアをしていることを知った。
「私には沢山の兄弟がいるのよ。
きっと今、この瞬間にも兄弟達は増えているんだわ。
だから泣いてなんかいられないの。
だって私が泣いてしまったら、兄弟達も泣いてしまうかもしれないでしょう?」
「君」は沢山の戦災孤児を「兄弟」と呼んでいた。
そして「兄弟」達のために君が笑っている事を俺は知った。




