発案
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「海行きた〜いっ。」
べしゃっと音がしそうな勢いでテーブルに顔を伏せた君。
さらさらと髪が落ちる。
「海??なんで?まだ寒いじゃん?」
「だって〜、去年は勉強してて行けなかったんだもん。
大学に入ったら友達と行きたいって思ってたの!」
そっか〜、なんて納得しつつも晶は行く気がないらしい。
コイツにとっては水着の女の子がいない海は海として認められないらしい。
ちょっとガッカリしている雪に、いつ行く?って聞いたら嬉しそうな笑顔が返ってきた。
「今度の土曜日!」
「分かった。晶も土曜空いてるよな。」
さっきまでは乗り気じゃなかった様子の晶も、もちろん!なんて元気に返事してる。
俺が知っていた「君」は「慈愛」という言葉がぴったりで。
それでいて大抵は悲しそうな顔をしていた。
今生きている世界とは違って「平和」という言葉とは程遠いところだったから。
全身で嬉しいとか、がっかりとか、そういう感情を表現しているような「雪」は「君」とはまるで別人のようだけれど。
それでも俺は「雪」になった「君」を見つけ出した。
「君」の笑顔がもっと見たい。
俺はわがままだろうか。
でも、わがままでも「君」が笑顔になるならそれで良いと思ってしまう。
結局カフェテリアで二時間ほど雑談をした後、メールアドレスを交換し解散となった。
晶も俺も一人暮らしをこの春から始めたのだが、お互いのアパートは結構近かったりする。
帰り道、晶は雪と出会えて超ラッキー、神様ありがとう!!なんて言ってたけど。
俺も一緒になってふざけて神様ありがとう!って言ったら驚いた顔してたな。
「君」以外の女の子には興味なかっただけなのに、どうやら晶は俺のことを誤解していたらしい。
おおっ、とうとう和葉も女に興味を持ち始めたか!今日は赤飯だな!なんて失礼なことを言っていた。




