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第8話
〜通常世界にて〜
俺は刀を下ろした状態で言う。
「来い、極夜!」
その瞬間、左手の刀ーーー極夜丸が黒光りし、そこから禍々しい黒い靄が発生する。
その靄はその街の半分を包み込む。
「その靄はなんだい?嫌な気配しかないんだけどねー?」
前を見ることも困難な状態でブラッドは呑気に言う。
「そんな余裕で良いのか?前、見えんのかよ」
俺が笑いながら言うとブラッドは気にもしないように、
「それは君のことじゃないの?」
「残念だが、俺は見えるんだな。極夜、《眼》を貸せ」
『はーいよ』
俺の眼が紅く染まる。
「なるほどね、でも君、吸血鬼を舐めてない?これぐらい、見えるよ!」
ブラッドは刀を右手に持ち、間合いを詰めてきた。
俺は左手の刀、白夜丸で横払いするとブラッドは軽々と走りながら避ける。
そして刀で切り払ってくる。
それを右手の刀、極夜丸で止める。
「極夜、やれ!」