不能解の解
6月13日 22:20
黒い空間
さてと、敵が誰かが分からない。これは非常な問題だ。
答えを仮定しよう。あり得る天使の組み合わせは二つとなる。
一つ目は "殺人鬼" "食人鬼" "ゲーマー" "今回現れた天使"
二つ目は "殺人鬼" "ゲーマー" "今回現れた天使" "章"
もう一つは四人目つまり人を狂わせるものの正体が誰だ、という話だ。
ただ、これは肉夫、章の行動を調べればわかる話。
人を狂わせる魔法、それは魔法の原理によって近づかなければ発動しない。
いや肉夫に接近した人物を調べれば答えはでる。
「なあ、山羊。自分たちの行動は全て記録しているんだな」
真は山羊に質問をする。
「ああ、そのとうりだ。」
「肉夫に魔物化の薬を飲ませたのは誰だ」
「全ての記録から検索する。・・・いないな」
いないだと・・・。いや魔物化の薬を媒体にして魔法を使えば記録には残らない。
「肉夫がゲーマーに接近する前に接近した人物は"殺人鬼""食人鬼""今回現れた天使""章"の中のは誰だ」
「記録に存在しない」
なるほど。つまり人を狂わせたのはゲーマーというわけか。でもおかしい、魔物化の薬を飲ませのは異様なほどの知力を持っていなければなら
ない。なぜなら
初めに戦闘が始まったのに気づいたのは「6月10日 19:40」
に肉夫の家が襲撃したのは 「6月11日 12:00」
こちら側の作戦そのものを無視する程度の知性しかない存在が、この短時間に魔物化の薬の存在に気づき、それを入手した?
馬鹿なふりをしていただけ?いや馬鹿なふりだけで、自分の命を危険にさらす?
自分の命を危険にさらしてもいいほどの目的。こいつの本当の狂気は一体なんだ。判別不可能だ。
章が天使と戦闘をしたのは「6月10日 20:50」、一時間程度しかたっていない。そうか、つまり魔法を使えない食人鬼は近くにいた人?ちょっ
とまて、映像によると食人鬼は冷蔵庫に入っていた、いつからだ。
いや、それじゃあ、すでに食人鬼が誰か警察とが調べて、すでにわかっているはず。
いや、違うそれはない、死体は誰ともわからない状態だった。
真は考えてた。いろいろと思考を混ぜ合わせながら、答えを導けるように考えていた。
章が天使だと仮定する。
しかし、章は異世界に対して異常な渇望がある。つまりレジスタンス側につく。
天使でありながらレジスタンスは天使の中でも厄介もの、つまりいつ裏切られても仕方がない、つまりゲーマーが章を抹消しようと、周囲の少
女を狂わせた。そして襲撃。しかし失敗。
アップロードという行為により、章は天使側だと思わせる。いやそれは逆効果だ。
いや効果的だと考えていた。しかし、あまりうまくいかなかった。だから2体1で戦い抹消しようとした。
もちろん記憶喪失のことは伝わっている。しかし途中で私が介入した行為により失敗した。
そして次、3人で都市ポポロスにいたときにシビリーが襲ってきた。しかし私たちは真のことを疑っていた。
なぜ、そんなときに襲ってくる?天使にとってうまくいっていたのにだ。
これは章が天使だと仮定したことによる矛盾だ。つまり章は天使ではない。
つまり、一つ目のパターンだ。
"殺人鬼" "食人鬼" "ゲーマー" "今回現れた天使"
ゲーマーが4人目でなければ矛盾し、四人目であっても矛盾する。
ただこれはゲーマーが狂人だからで説明できる。本当にこれで説明してもいいのか。
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6月13日 22:40
「腹減った。」
章がつぶやいた。
晩御飯は今日は食べていなかった。
「悪いな、今日は君たち以外、誰もこの家には入れられない、からそこまでいい食べ物を用意できない。持ってくる」
葵は話す。
「男性二人に女性二人」
真は笑いながら・・・
「まあ、私と私の娘に変なことをしようとしたら、なぜか行方不明になるという噂をよく聞くんだが、どうだろうな」
葵も笑いながら話す。
「へいへい」
葵は移動する。
「てか、葵の娘、名前知らないけど、さっきから静かにしてるなあ」
章はつぶやく
「まあ、人見なんだろう」
「真の顔が怖いからじゃないか」
「身長的に近い年だと思えるから話かけてこいよ」
葵の娘は章と同じぐらいの少女だった。
「お名前は何ですか」
章は何ですか。
「三月です。てかなんですか。うちにきて訳わからないはなしして。なんかお手伝いさん達は帰らせられるし」
そうとう、つんつんしている。
「ほら、食事だ食え」
っと葵が戻っててきて、なにかの袋を投げる。
「ってこれカロリーメイトーじゃないか」
章は返す
「だから、言っただろう。マシな料理は用意はできないって」
「ママ、説明してよ。最近、へんだよ。金庫の中にこもったりとか!」
「じゃあ、食べるか」
「ママ、無視しないで」
「まったく、おとなしく食べる。そして寝る。遅くなったのは悪かったから」
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6月14日 4:00
「う・・・体にぃ」
葵は寝ていた、しかし、体が痛みを嘆き起きてしまった。
「痛い、救急車」
葵は全身に痛みを抱えている。魔法で救急車を呼ぶ
ただ、あまりにも声が小さく周りに聞こえない
(あれ、使えるというはずじゃ・・・)
葵は体を動かそうとするが動かせない
(そうか、麻痺毒か・・・)
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6月14日 7:00
「ママ、ママ」
三月は騒いでいた。
「うぁ、どうした。」
章は寝ぼけながら起きる
「ママが冷たい」
「は?」
真が起きすぐにその部屋からすぐに出ていく。
「あれ、真どうして逃げるんだ」
章は質問を投げる
「違う、逃げるんじゃない、証拠を探しにいく。おそらく食べ物に混ぜられたんだろう」
「わかったよ」
章はすぐにスマホを取り出し、109に電話をかける。
ただ章もう葵はすでに助からないと思っていた。
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昨日食べたカロリーメイトーの袋の位置、それはこのゴミ箱に
「おかしい、毒殺だと思ったが、穴が開いていない。魔法か」
とりあえず、これをもっと見せる。
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「あの、救急車は呼びました。」
「ママ、ママどうしちゃったの?ねぇねぇ」
「たぶん、もう遅いが。」
真は考えた。
現在、魔法を使えるのは3人、私と章とそして昨日、現れた天使。
そして人の心を狂わせるゲーマーは死んだ。
確実に、章か昨日現れた天使そのどちらかが、魔法による毒殺をしたと言うことになる。
しかし、章はありえない、もはや相手は、現れた天使だ。
しかし、魔法による毒殺になぜ葵は気づけなかった。
"殺人鬼" "食人鬼" "ゲーマー" "今回現れた天使"が四人ではなく
"殺人鬼" "三月" "ゲーマー" "今回現れた天使"が答え?
たしかに、そうすれば辻褄があう。でもなぜ三月は葵だけを殺した?
もっと、別の情報だ。真はあることが頭に浮かぶ、シビリーのことについてだ。
あのときシビリーについて調べたはず。"「私の名前か。みつ・・・え・・・えっと・・・シビリーだよ」"
ゲーマーはシビリーのことを三月と思いこませた。そしてシビリーに対し自分がシビリーとして行動し潜入捜査をさせた。
まあ、ただ人間の能力は思いこませても有限だから、永遠に思い込ませてはいないはず、これはどうでもいい。
三月が天使だとしたら、天使達のゲーマーが沢山爆弾を持っていたことが説明できる。
葵はお金持ちだ。だから三月もたくさんの現金を所有しても不思議ではない。
しかしAK-47はどうだ、お金があったとしても所有が不可能だ。
これは不能解だ。どうやってもAK-47を所有という矛盾が出てくる。いや、初めから所有していた?誰が?ゲーマーはもらったものだと言って
いた。じゃあ三月が持っていた。
何が何だかわからない。
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神の空間
「おぬし、この戦いをまじめにやるつもりはないな?」
神は少女・・・三月に尋ねる。
「何をいっている?こんな遊びに真面目にやるって?ハハハハハばっかじゃないの」
「私の権限で諸君を消滅させ。この戦いで白旗を上げる」
「馬鹿じゃない、真面目にやっていないとしても。勝ちは近づいているんだ。」
「神が作る英雄は気高く従順ではなけれならない、そうじゃなければそれは自分を律しない悪魔と同じだ」
「ふーん、まあいい、死ね」
三月は手榴弾のピンを抜いて神に投げつける。
「そんな、攻撃が効くはずがない」
手榴弾が爆発する。
そう本来ならそんな攻撃では神は死ぬはずがなかった、しかし・・・
「あれ、あれ、どうしたの。効かないじゃなかったの」
「どうしてだ」
血だらけの神がそこにはいた。
そのとき、神はこの少女を選んで後悔した。
「なぜ、我はこんなやつを選んで・・・しま・・・たのだ。こんな奴は候補・・・には上がらないように・・・しているのに」
「まだ、生きてるのかしぶとい。それはね――だからだよ。」
「な・・・!そん・・・な・・・」
そういって神は息を引き取った。
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6月14日 8:00
病院
「あら、あなたたち。葵とはどんな関係で」
誰かが話しかける
「友人みたいなものです。」
真が答える
「そうですか、胸中お察しいたします。まさか社長になってから一年で・・・」
「あの、あなたは」
「私は、金谷の秘書です」
そこには章もいたが、葵が死んでしまったことを十分理解していなかった。
「ああ、ちょっとトイレへ」
真が伝え、移動する。
「何が起きているか教えてくれるって言ったのに」
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6月14日 8:10
病院
真がトイレから戻ってくる。
「章、レジスタンスを辞退することにした。確認、したければ山羊に聞いてくれ」
そう章に伝えた。
体の全身がこのことを信じられなかった。それは二重の意味で信じられなかった。
真がレジスタンスを辞退することに決めたこと。そしてレジスタンスを辞退することが成功したこと。
そもそも、真が"レジスタンスを辞められるとは思っていない"と思っていた。
このことが脳みそを弄るような不自然な感覚を出している。
ただ、心では信じられなくても、脳では信じられたことにできた。
だから、質問をした。
「どういうことだ」
「辞退したいと告げたら、できた」
そのときなぜ、真がレジスタンスを辞退できたかわからなかった。
今まで、辞退できないものだと勘違いしていたと解釈したが・・・
「じゃあ僕も辞退する」
章は黒い空間に移動した
「レジスタンスを辞める」
「認めるとでも」
レジスタンスに選ばれた段階から拒絶することすら許されなかった。だからレジスタンスを辞退できないのは明確だった。
だけれど、それならなぜ真がレジスタンスを辞めれたのかが問題となる。
「じゃあ、なぜ真は辞めれた」
章は強く山羊を追求する。
「それはね、簡単な理由だ。やつは四人目を殺すことをあきらめたからだ」
「それなら僕だってあきらめている」
「別にそういうものじゃない、章は諦めることが本当にできるの。命を狙われても?ね?」
この山羊の言葉を聞いて不思議と別の何かをイメージした。その別の何かはわからなかった。
ただ、この言葉の内容は章にとって腑に落ちないものだった。
「なあ、真はトイレにいって一体、何を見たんだ。記録はあるだろ」
「単にトイレ行っただけだが、それがどうした。役にたつような記憶はないはず」
「・・・、本当にトイレ行っただけなのか」
「記録にはそれ以外のものは映っていない、記録外には何かあるかもしれないが、記録から探すことはできない」
「そうか」
章は黒い空間から出て行った。