炎と殺人の物語
「どうした突然そんな顔をして」
黒い空間、暗闇というよりも黒かった。
突然ということは、あの黒い空間にいた時間はここでは一瞬だったということだろう。
リューダが指をさしている。
「あ・・・あ・・・燃えてる燃えてる部屋が燃え始めてる」
「もしや、いや・・・魔法は章が発生源ではないように感じる。一体どこに、いや考えている場合ではないとりあえず逃げるぞ」
「う・・・うん」
(もしや神の四人の中の一人が)
村長は窓を開き、この窓を通り外に出るように言う。
その窓を自分、リューダ、村長の順に出た。
そして、そこに少女がいた。シビリーだった。
「な?何があったんですか?まさかそこにいるよそ者が」
「いや、ちがうんじゃよ。章が魔法を使ったことは察知できなかった。たぶん章以外の人が魔法を使ったんじゃ。うーむ仕方がない一応、東門と西門の警備を厳しくしよう。ただもう逃げられてるかもしれん。」
「は、はい」
「あの、僕、都市に行きたいんですが、」
「ああ、そうじゃな。ただ今日は暗いから寝ていきなさい。わしの家には空いてる部屋もある」
「あの、今燃えたんですが」
村長はもしかしたらぼけているかもしれない。
「いやいや、わしの家は、複数あるぞ。まあ倉庫のことじゃがな、ハハハ。一応寝れるようになってる」
いやいや、村長はどうするんだよ。
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6月10日 20:00
ふう、一応、寝室で寝るふりして戻ってきた。8時か、電気がない世界だとこの時間が当たり前なのか。
スマホで撮った地図を確認する。都市ポポロス。この都市は一体何があるのだろうか。
周りが黒く染まる・・・黒い空間。
「またか・・・」
山羊人間はため息をつきながらこう言った。
「まったく、またかとは、まあ質問したいことがあるだろう。君はいつでもこの空間に訪れることができる。なのにこの空間に訪れず・・・質問したいことがあれば何でも聞くとよい。まあこの世界のことについてよくしらないが、君が聞いたことにより我の知識となった。」
「この世界のことについてよく知らない?まあ質問があることも事実です。どうやって神に選ばれた四人を探せばいいのですか」
「警戒せよ・・・警戒せよ・・・っと聞こえなかったか。それは自身に災いが起きるかもしれないときに聞こえる声だ。」
そのときを思い出す。
「あっ。確かに火事の前に、あと車に轢かれそうになる前に。いや、でもこれだけじゃ見つけることはできないぞ」
山羊人間は困りながらも言った。
「神に選ばれた四人は異世界にいてもこの世界にいても場所が分かる特殊能力を持っている。だから神に選ばれた四人に見つけられる。まあ神に選ばれた四人は私たちのように警戒する力を持っていない。ただ別に神に選ばれた四人を見つける必要は実際のところないのだ。実際、生き残ればよい。」
その発言にあきれた、なんだこの一方通行は
「まあ、わしも味方を探す方法についてかんがえてるんじゃが、方法が・・・」
「神に抵抗するのにバカじゃないですかね。」
知性が異常値を出した男が現れた。
「まったく自分の意思で入れるなら教えてくださいよ。ここで話せばいいだけの話じゃないですか」
「いや、でも、それでどうやって探すんだ」
さすがにこの山羊人間がバカだと思ってしまった。ちょっとまて。
「メールというものを知っていますか」
「馬鹿にするな。えーとだな、文章を書くやつのことだろ」
こう、山羊人間は返答した。
そうか、頭が悪いのではなく単純にこの世界の知識が足りないということか。この知性が異常値を出した人にいちいちこのことを言う必要はない。どうせ気づいている。
「ってかめんどいので用語作りましょう。」
・・・?用語なんの用語だ。突拍子もない。
「例えば、神に選ばれた四人を天使、そして我々をレジスタンス。この世界の名前をアース、あちらの世界の名前をファンタジ」
ああ、そう言うことかいちいち言うの面倒だったからな。
「あと、そこの少年、メアドを交換しましょう。あと名前教えてください・・・いや当ててあげましょう・・・翔ですね」
「いや違います。猪口 章です。」
「ふむ、間違えましたが、これは失礼。」
今の当てたら、天才ってレベルじゃないよ。
「でも、ここで自己紹介するのは、全員がそろった時の方がいいんじゃないか」
「別に構いません、ここでは時間が流れませんので」
あ・・・うん・・・面倒という考えはないのかよ
「あの、メアドじゃなくてLinerの方がいいような」
メールなんて最近、使われないだろ。って言うか集団会議もできないし。
「まあ、そうですね。でもメルアドも教えてください、手段は多い方がいいです。」
こうして、メールアドレスとLINERIDを交換した。
「私の名前を言い忘れていましたね 大下 真です。」
「ちょっとまて、どうやって時間を合わせたんだ?」
不自然である。なぜならば、この黒い空間の時間の流れはそとの時間と違い時間を合わせるのはいくら頭が良くても不可能であるからだ。
「ああ、それ気になっちゃいます?」
真は異様などや顔を見せてくる。
「単純に初めからいただけですよ。でも手品のように見えたでしょう。しかし、この空間、情報の通信に使えそうですね。たとえ電波が届いてなくても、この山羊に頼めば一瞬で集合できるのだから」
何やら真がこの空間を情報の通信の為に利用しようと考えた。まあ頭がいいんだこのくらいは普通だ、もしかしたら初めから気づいていたかもしれないけど。
「そうだ、魔法についての知識を教えてくださいよ章君」
こいつは頭がよいけど、なんだかイライラしてくる。上から目線だ。
「ふむ、それについては私が説明しよう・・・というかホログラムを表示しよう」
あれ、そこには村長が映っていた。村長が僕に対してした魔法の説明をしている。この山羊人間は僕たちが起こしたことを全て記録していたのか。
「なるほど、魔法についてよくわかりましたよ。ところで、こんな話を知っていますか。スマホのチェスプログラムはグランドマスター並みだと」
「そうなんですか。それはすごいですね。」
何言ってんだこいつ。
「気づきが悪いですね。チェスプログラムを入れたスマホを媒体として、チェスの最善手を打つ魔法を作ることができるということです。なぜならチェスプログラムを入れたスマホはチェスをするという性質を持っているということですから。」
なんだ、そんなにくだらないことか。
「まだ、わからないのですか。つまり、魔法は使いようです。」
ジビリーにあったときを思い出す。
「っあ、そうだ。異世界にジビリーという女の子が居たのだが僕が大量の魔力を持っていたことに気づいたけど、僕は誰がどれくらい魔法を持っているかわからないよ」
「すまない、それはまだ、対応できるように作ってなかったのだ。神がこんな方法で対抗すると思ってなかったからな。
まだしばらく、待っててくれ」
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6月10日 19:20
「ははは、あいつ簡単に騙されやがった。」
ジビリーは他人に聞こえない声でつぶやく。
その後。
「あれ?村長の家が燃えてるどうして?嘘でしょ何が起きたの?あのよそ者め何かやったか」
その発言は全体を見るものから見れば滑稽なものだった。しかし全体を見るものなどはどこにもいなかった。
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神は悪魔の策に対抗するために、四人の頭のおかしい少女を英雄にしようとした。
なぜなら、人を殺すのに抵抗がある人物では意味がないからだ。
しかし、この四人の中に神を後悔させる人物がいたとは神も含めて何人も知らなかった。
一人目の少女が話す
「ねぇ、ねぇ、人を殺せばいいんでしょいいんでしょ」
二人目の少女が話す
「最近のゲームはつまらなかったんだ、命がけのゲームってどんなに楽しいのかな。」
三人目の少女が話す
「ねぇ、殺した子を食べていい?食べていい?食べていい?食べていい?」
四人目の少女が話す
「みんな、面白い~」
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6月10日 21:00
警戒せよ・・・警戒せよ・・・
「やぁーこんにちは。ねえ君死にたい死にたい死にたい?」
そこには少女がいた。
「死にたくはないね」
真はそう返す。真は少女の右手にあるものを見る。少女と同じぐらいの大きさの鎌だ。
「その鎌、普通の鎌じゃないね」
「うん、そうなのそうなのそうなのそうなのそうなの。人を殺すために作った特製の鎌。ねえどうどうどう?殺したくなちゃった」
「じゃあ、殺すよ」
真は無理やり表情をゆがませながら言う。
「やっ、やめてくれぇー。いやだ死にたくない死にたくない」
演技だ、時間稼ぎだ。
「えーどうして?」
「それは・・・」
異世界に逃げるか。
「異世界に行けないだと・・・」
「無駄だよ、お互いにね。」
まず、自分の部屋にあるものを頭の中で確認する。自分の部屋はマンションの12階、窓から落ちたらしぬ。
おそらく、いろいろ実験をしてわかった魔法の条件は、目的と可能性だろう。
だからあの鎌を媒体とすれば人を殺す魔法を使うことができるだろう。
さて、どうやって身を守るか。
まず方法としては、部屋の中にあるものをこの少女に投げつける。
とりあえず相手の戦闘能力を調べる必要がある。目の前にあるテーブルを少女に投げつける。
少女はなんの躊躇もなく、鎌でテーブルを破壊した。
「そんなもの聞くと思ってるの?」
「魔力で身体能力を上げているだと・・・」
「そうだよ、あれ?神の話だとまだ魔力検知はできないはずだけど。まあいいや」
やはり、神が関係していたか、当たり前といえば当たり前か。
「じゃあ、行くよ」
【結界】
鎌が自分の前でふりおろされる。しかし、その鎌は自分には届かなかった。
「どうして・・・」
「魔法だよ」
「何を何を媒体にしたぁああ!」
部屋の中で守ったり、攻撃したりするものはない。しかし、家という概念は中にいる人間を守るという性質がある。
しかし、家の中にいる存在からは身を守れない。けれど条件を満たすことができる、なぜなら―
「さて私の番だ」
攻撃はしない、何もしない何もしない。さて、この天使はどう動くかな
こいつは馬鹿だ、何回も何回もこの結界を攻撃している。
これはこの20階の建物、そのものに対して攻撃していると同じこと。
そして、数分間、たったところだ。
部屋の扉が開き警察が入ってくる。
―だから、この天使を追い出すことができる。
そう、スマホは電話をするためにも作られていた。だからそれを応用して電話をかけることができた。まさかテレパシーのように会話できると思っていなかったが・・・
「ちっ、覚えてろ」
どうやって逃げるつもりだ。
少女は窓に突っ込んだ、ガラスが割れて破片が飛ぶ。
「自害か・・・」
そして窓をみると少女が飛んでいた。
あれ?もしかして、私、魔力によって空気を媒体とすることで空を飛ぶことができたんじゃ。
「大丈夫ですか」
「ああ大丈夫だ、負傷はしていない」
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