自由転移
これは、神と悪魔との戦争のお話し。
黒い空間、そこには悪魔と4人の人物が存在した。
悪魔は、この世界と異世界の境界線をなくすため、この世界に存在する人々に言い聞かせた。
「我は、この世とは違う世界を知っている。だが、神はこの世界と異世界との境界線を渡ることは許さぬ。
神は世界間の移動を制限し、本当の自由を奪っている。君たち四人に境界線を与える力と異世界の力を与えた。
しかし、神は君たち四人を殺そうとしている。その為に神はこの世界にいる4人の人々に同等程度の力とを与えた。
もし、その四人を倒せば君たちに願いをかなえてあげよう」
眼鏡を掛けている小さな男性が手を挙げた。
「なぜ、我々が選ばれた。理由を教えてほしい。」
悪魔と思われる存在は深呼吸をすると、
「知性、力、富、渇望どれかが一つ異常値を持つ者、それが判断基準だ。あと日本でしか異世界に移動できないからな、日本在住も条件になった。君は異常なほどの知性を持っているから選ばれたのだ。」
「知性、力、富はわかりました。おそらく私は富によって選ばれたのでしょう。それで渇望とは何の渇望ですか。」
そこには女性がいた、すらっとした体格の女性だ。
「異世界に対する渇望だ。この世界の存在が異世界に行くことによって、この世界と異世界の境界線が薄くなるからな。」
僕は異世界に対する渇望が異常なんだろう。
異世界転移や異世界償還や異世界転生、それに対する小説を学校をさぼって読み続けた、同じ本を何百回単位で読んだこともある。
そして僕は、家の近くの道路にトラックが飛び出すタイミングを見計らって飛び出した。
しかし、僕が異世界に行けたとき初めに思った感情は、喜びでは無かった。それは無感情だった。なぜなら、自分にとっては異世界に行けることが必然としか思えなかったからだ。しかし、異世界に行くことが異常事態だと気づいたときに無感情から喜びに変わった。しかし、知らないうちにこの世界に戻ってきてしまった。
そのとき、異世界に行けたのは夢だと感じたが、異世界に行きたいと思った瞬間に異世界に移動できた。
そして、戻りたいと思えば戻れ、行きたいと思ったら行けた。
そして、魔法を使える能力がその世界では異常なほどだったことも思い出した。
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6月10日 15:00
、異世界に移動したとき、誰かのベッドで眠っていた。
目を開けると、30歳ぐらいの女性が僕を見ていた。
僕は気づいた、異世界に行けたのだと。
「せい・・こうか・・・」
「せいこう?」
・・・言葉が普通に伝わるのか。赤ちゃんになっていないということは、転生ではなく転移か。
「貴方は、誰ですか。」
「私はリューダっていう者だぁ、そういう君は一体どういう名前だ?」
「僕?、僕は猪口 章という名前です」
周囲を見渡す、どうやら木造の建築物らしい。パソコンもテレビもない暖かい場所だった。
僕は、今までいた世界を冷たい世界だと感じていた。
それは、機械の普及により人間に要求される能力が高くなってしまい。有能と無能の境界線の位置が上の方に移動した、そんな世界を冷たい世界と感じていたのである。
異世界に移動すればチート能力がもらえるってよくある話だけどそれは疑わしい、まあそれでもいいさチート能力が無くても知識チートができる。異世界ものを読みすぎている結果、知識チートの方法も一語一句、記憶しているのである。
「誰です?」
部屋の扉が開き、少女が入ってきた。部屋の扉の隙間から土が見えたこととそれ以外に扉が無いことからこの部屋が一部屋しかないことに気づいた。
警戒せよ・・・警戒せよ・・・
脳の中で何か言葉が響いた。
「ああ彼ねえ~果物を取りに行ったとき、倒れていたのよ。そして心配だからこの部屋に連れてきたの」
少女が何か、真剣な表情でこちらを見ている。その表情には、何か気づいてはいけないものに気づいてしまったという表情も含んでいる。
「あり・・・ない・・・」
少女は、呟いた。何か重いものを吐き出すように、信じたくないものを吐き出すように。
そして少女の顔が笑顔に変わる。
「ねぇ、君すごい魔力だね、宮廷魔術師の何十倍の魔力量があるよ。まあいいや」
「魔力?そんなものが存在するのか・・・」
チートキター、と思った。交感神経が刺激され、瞳孔が大きくなる。でも心を落ち着かせる。
「ところで君の名前は、ああ僕の名前は猪口 章」
自己紹介をして、相手に名前を聞こうとする。
「私の名前か。みつ・・・え・・・えっと・・・シビリーだよ」
「しかし、不思議だね何で君、魔力のことを知らないの?こんなに魔力があるのに」
何か言われた、しかしすぐに言い訳を思いついた。
「僕、僕ね自分の名前とかそのへんのことしか思い出せないんだ」
はぁ、しかしこんなド田舎じゃあ、異世界小説とか読めないよな。
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6月10日 15:40
そう思ったら、現実世界に戻っていた。
長く続く道路が目の前に見えた。
立ちながら寝ていたのか・・・?
いや、・・・
警戒せよ・・・警戒せよ・・・
また脳内に響く
頭が回らない、ただ、そのことは後ろから車のクラクションに気づいた。
間に合わない、と思った瞬間、体が急激に加速し歩道まで移動した。
車から誰かが出てきた。
「あ・・・当たりましたか?突然?現れて・・・」
何か相手が混乱していることに気づいた。
しかし、自分はすぐにこの現状を解釈できた。あれを夢ではなく現実であると判断した瞬間にわかったのだ。
急激な加速は魔法で、突然現れたのは異世界から世界への移動しただけのことだと解釈した。
「当たってませんよ、大丈夫です。」
そう言って、人気のない路地に移動した。
ふむ、魔法が使えるなら瞬間移動だって使えるはず。ふふふふ。
路地裏で思考していると、体格の大きい男性が肩を無理やりぶつけてきた。
「いってー、マジいってー、これは医療費として30万頂かなきゃだめだ」
体格の大きい男性はそんなことを話した。
「は?お前馬鹿?」
魔法という手段があるので、余裕がある。まあ使える魔法は【加速】以外に知らないが。
「って、てめー」
不良が右手を振り、殴りかかる。
【加速】
相手のこぶしより早く、後ろに下がった。
【加速】
そして上空に上がる。重力に釣り合うように【加速】を使っているため落下しない、
「はぁっ?ど、どんな手品だ。」
怯えてる怯えてる。
右手を見る。電流がバチバチと乱雑に流れている。
こんな魔法も使えるのか。まあ、ある程度強ければ、死んでしまうので手加減をする。
【電撃】
「ぐ・・・」
気絶はしていないが、体を動かすのは一定時間は不可能だろう。
【瞬間移動】という魔法が存在するかどうか知らないがやってみる。
【瞬間移動】
周りの空間が歪み、周りが一瞬暗くなり、空間がもどり、家の裏にいる。
「これだけか」
瞬間移動とは存外あっさりとしたものだった。
玄関に移動する。
「ただいま・・・」
誰もいない、当たり前だ父も母も居ないのだ、こんな時間だから当たり前だ。
二回にある自室に入る。夜になると自室にある。
スマホを使おうとするが電源が付かない。一応、充電器を指してみると、起動できるようになった。
スマホの電源はあと三時間ぐらいは大丈夫だったのだはずだった。
はあ、あの異世界はどうなったのだろうか、そういったことを疑問に思った。
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6月10日 16:30
いつの間にか異世界にいた。ベッドの上にいた。
「あら、いつの間に帰って来たんだい?」
リューダは話した。
「全く、突然消えてしまったことに驚いたよ、まさか瞬間移動を無詠唱で使える人物だったとは」
「ちょっと、外に出ます。」
空の色は赤くなっていて、夕日が見える
これは異世界に行きたいと思えば行け、戻りたいと思えば戻れるのでは、実験してみるか。
【異界転移】
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自室に戻っていた。
こちらの世界でも夕日が窓から夕日が見えた。
【異界転移】
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戻ってきた場所はベッドではなく前、異世界で世界に移動した場所だった。
場所が記憶され、時間というか太陽の位置は大体同じか。っとすると一日の長さも大体同じかな。
まあわかる話だ。
リューダが部屋に場所に戻る。質問したいことがたくさんあるからだ。
「このあたりの地図を持っていませんか」
「地図、うーん、村長なら持っているけど。」
地図が貴重なのかもしれない
「村長に合わせてください」
「いいわよ」
リューダが前に立ち、村長の家まで案内する。
村長の家は他の家とは近い、結構な大きさがあった。
「ここだよ」
リューダはドアをノックした。
「ゲラルトさん。出てきてください客人ですよ」
ゲラルトという名前のなのか。
玄関のドアが開き、白い髭を生やした老人の男性が出てきた。
「ほう、客人とは、珍しいのう。まあ上がれ」
村長が、テーブルの前の椅子に座ることを促し、それに従い座った。
「あ、あの、僕この当たりのことよくわからないので、地図を見せてくれませんか」
「ほぉー地図とな、まあよかろう見せてやろう」
村長は立ち上がり、部屋の扉から出ていった。
「都会に行きたいなあ」
そう、つぶやいた。
「都会かあ、私もあこがれていわ」
リューダが僕の独り言に対して返した。
村長が出て行った扉が開き、村長が現れた、村長の右手には地図と思われる紙がある。
「地図を実際と同じ向きに置いたから、方向に気づかう必要はないじゃよ」
距離の単位がわからないが、この村は山に囲まれている。いわゆる盆地である。
そしてこの地図を見てから左向き、そっちの方に都市があるのか。まあいいや、
スマホで写真を撮ろうと思ったが、スマホは充電中だった。
「ちょっと待っててください」
外に出て【異界転移】を繰り返しスマホを持ってくる、スマホのバッテリーは100%ではないが写真を撮るには十分だ。
スマホで地図を撮ろうとしたら。
「そ・・・それはなんじゃ?」
「これは、スマートフォンというものです。まあ、いろいろなことができます。」
「あれ?記憶喪失っていう話だったのでは」
「なぜか、これについての記憶はありました」
そして写真を撮った。一瞬、フラッシュが光った。
「うわ・・・なんじゃ」「光?」
周りが混乱している。
「写真を撮っただけです。」
っと写真を見せる。
「なんだこれ、ありえん、現実をそのまま映したかのようだ。普通こんな精巧な絵を作るのには一日では足りないぞ」
一日では足りない・・・つまり時間をかければ出来るということか。
異世界人恐るべし
「あと、質問したいことがあるんですが」
「なんじゃいな、こんな奇抜なものを持っていて、質問があるのか」
「魔法ってどういうものなんですか?」
「ブッ、瞬間移動を使えておいて魔法ってどういうもの?いったいどういうことじゃ?」
「記憶喪失ですから仕方がありません」
「まあ、いいのう、魔法というのは物の性質を取り出し、それを再現するものだ。だから魔法には媒体となるものが必要じゃ」
「しかし、媒体となるものが必要・・・」
警戒せよ・・・警戒せよ・・・
また脳内に?
「ん?どうした?」
「いや、なんでも」
気のせいかな「警戒せよ」という言葉は・・・
「例えば熱を発生させるという性質を再現したいとしたい場合、木が必要になる。最近の噂では、違う種類の布どうし擦ると、光る線を発生させる媒体となることが分かっている。しかし媒体となるものが無くても本人自体の性質を使う魔法もある、ものを加速させたりな。しかし、どの魔法にも魔力という物が必要じゃ、特に媒体となるものが必要ではないものにはより大きな魔力が必要となる。あとその性質が性質ゆえに魔法に制限があるものがある。例えば、光を発生される魔法は木を媒体とする場合は、水の中では光を発生させることが出来ないとかじゃな。あとは使えるものはあまりいないが瞬間移動とかは、本人がそこまでの移動経路を知っていることが必要じゃ、しかも、例えば警戒が多い城には瞬間移動は使えないということだ。そもそも瞬間移動とは本人の移動の性質を使うものだから、本人が移動できない場所には移動できないものじゃな。あと媒体は自分の手に届く範囲ではないと意味がない。通常より魔力を多く消費することである程度の制限は緩和できるが、それは【加速】の移動速度が若干早くなるぐらいじゃな、まあ長々と話しをしたがそのくらいじゃな。」
「魔法って意外に活用しにくいって言われたことがあったけどそんな理由だったの」
リューダがつぶやいた。
電撃の魔法はスマートホンのバッテリーを使ってたことに気づいた。
周りが黒く染まっていく、そして黒い空間にいた。
目の前には、山羊の顔をした人?がたっていて、その周りに4人の人々がいた。冒頭に戻る。