第2話 突然の天使(2)
目に見えない存在のはずの魔物がブリだったり
突然目の前に見えないはずのおとぎ話の中だけだった存在の天使が現れたり…どうやらただ事ではない何かにみちるは巻き込まれてしまったらしい。
それでは話を戻そう。
「あ、やばい!早くこれを!」
天使は何かに気付いて突然そう叫んだかと思うと自分の頭の輪っかを取ってみちるに向かって勢い良く投げつけた。
「きゃっ!」
反射的に顔をかばうみちる。
その瞬間、天使の輪っかはみちるの腕にまるで腕時計のように絡みついた。
「これは…何?」
みちるの腕にくっついた天使の輪。
天使の輪はくっついた瞬間に何かゲージのようなものが浮き出ていた。
「それで暴走を制御するんだよ」
みちるは天使の話を聞く事にした。
理解が追いつかなくても聞かなければ何も出来ない。
輪っかが腕にくっついた時点で今までの常識は捨てる事にした。
とにかく目の前の現実を受け入れなければ…。
と、そこからはしばらくは天使のターン!
分からないなりにみちるは何とか状況を把握しようと頑張った。
天使の話によると
空から落ちてきたのは天界で捉えていた魔物
天界でちょっとした騒ぎがあって魔物が脱走
天界で捕らえられた魔物には全て脱走すれば別の生き物になる術式がかけられている
そしてブリの姿になった魔物がみちるの家の庭に偶然落ちてきた
天使は脱走した魔物を回収する為に地上に降りてきた
「と、言う訳なんだ」
天使はちょっと得意そうにドヤ顔で今までの天界での経緯を説明した。
ただ、まさか人間がその魔物を食べてしまうなんてさすがに想定外だったようだ。
「で、これは何?」
みちるは腕にくっついた輪について素朴な疑問をぶつけてみた。
天使はやれやれといった顔でしぶしぶ説明してくれた。
こっちはあんたら天界の住人の不手際のせいでこんな目に遭ってるのになんだその態度は
と、思わないでもなかったが背に腹は代えられないこの状況。
みちるは喉まで出かかった不満の言葉を何とか飲み込んでいた。
「だから力を抑えるためにつけたんだ」
「力?」
「そう、力」
力って何?と思っても天使はすぐに答えてはくれなかった。
そのくらい察してくれと言わんばかりだった。
普通天使って言うのはもっと親切なものじゃないだろうか?
しかし目の前の本物は決してそんなわかりやすい存在ではなかった。
自分の都合だけで話を進めて相手の都合を考えていない。
このままでは一向に話が進みそうになかった。
みちるは元々そんなに頭が賢い方ではないのだ。
「…えっと、意味分かんないんですけど」
天使は彼女の理解の遅さをようやく理解したのか
仕方ないなって顔をしながら少し分り易く説明してくれた。
「君は魔物を食べたよね」
「…。」
そこは素直に頷くみちる。
まぁ事実だから仕方ない。




