第16話 これからの生きる道
「マーリー、いえ、師匠!今まで本当に親身になって教えて下さり有り難うございました!」
みちるはそう言って深々と頭を下げた。
レイチェルも今までの事を思い出しながら感慨深くなって胸が熱くなっていた。
「ええってええって!みちるに才能があっただけの話や!」
マーリーはそう言うと急に真面目な顔をしてみちるの顔をじっと見つめた。
「で、これからの事は何か考えとんの?」
この言葉にしばらくの間沈黙の時間が流れる。
そしてみちるは真剣な顔をしてマーリーを見つめ返し、意を決して口を開いた。
「私はこれから魔女として世界を色々見て回りたいと思います」
マーリーの問いかけに凛とした顔で答えるみちる。
魔法の力を手に入れた事で自分に自信がついたのだ。
「それでこの魔法を使って困っている人の役に立ちたいです」
みちるのその言葉にニッコリと笑顔になるマーリー。
みちるの熱意はしっかり彼女に伝わっていた。
「いい心がけやね!頑張ってな!」
マーリーはそう言ってみちるを快く見送ってくれた。
みちるはもう一度深々と頭を下げ、そして魔女の森を後にした。
これからは一人で生きていかねばと、そう心に強く誓いながら。
「待て待て!誰か忘れてやいないか?」
その声に振り向くとそこにレイチェルがいた。
みちるはびっくりした顔で彼を見つめていた。
「なんだよそれ、忘れてたみたいな顔しやがって」
「えっ?あっ!もしかしてまだ私についてきてくれるの?」
「当たり前だろ!最後まで付き合うぜ!君が嫌がったとしてもずっとな!」
レイチェルの言葉に顔がほころぶみちる。
その顔を見てレイチェルはちょっと照れくさくなるのだった。
「うん、これからもよろしくね!」
みちるはそう言ってレイチェルを抱きしめた。
レィチェルもまた彼女を抱きしめていた。
この笑顔を一生守っていく、そう誓うレイチェルだった。
その後、彼女は困っている人を助ける魔女として評判になった。
その魔法は弱きを助け、強きをくじく民衆の伝説の存在となっていった。
傍らにいつも天使を従えて凶悪な魔物ですら彼女には敵わない。
いつしか彼女は魔物魔女と呼ばれるようになっていった。
魔物魔女はその力を人助けに使いながら各地をさすらっていく。
もうそこにかつてのぐーたらなみちるの姿はなかった…
か、どうかまでは詳しく伝わってはいない…。
(おしまい)
この度は魔物魔女を最後までお読み下さり有り難うございます。
この物語はその前に書いた「森の魔女」のタイトルを入力する時に
打ち間違えて魔物魔女って書いてしまった時にこの響き面白い!
って思ったのがきっかけですw
物語の内容じゃなくてタイトルから構想が始まったので書き始めると
結構難産でした。
とは言え自分でも先が分からないまま書き進めるのは結構楽しかったですw




