第14話 魔女のマーリー(2)
「ええのええの!今日はお客さんなんやからゆっくり休んどき!旅の疲れもあるやろ?」
おもてなしの準備が整うまでみちるとレイチェルは家の客間で椅子に座って待っていた。
時間も出来たし暇だったので何となく会話が始まっていた。
最初に口を開いたのはみちるだった。
「ところで二人はいつ知り合ったの?」
マーリーとの出会いについて質問するみちる。
やっぱりまずは二人の関係に関心がいくものである。
「この仕事やってると色々あるんだよ」
「へぇ~」
何となく上手くかわされたような気はしたもののここまでそっけないって事はこの事についてはまだ深く話せる状況でもないのかなとみちるは思った。
なので質問の方向を変えてみる事にした。
「魔法使いの知り合いがいるなら早く教えてくれれば良かったにぃ~!」
「そう言う流れにならなかったからね」
会話の方向変えてみたもののやっぱり会話は弾まなかった。
仕方ないので話の流れを今一番心配な今後の事へ…。
「魔法使いの修行って厳しいのかな?」
「どうだろう?案外楽勝かも?」
「だったらいいんだけど~…」
カチャカチャ…
と、その時美味しそうな匂いが二人の前まで漂ってきた。
「お楽しみの所かんにんな~♪」
何とか会話が弾みそうになった所でマーリーが料理を抱えて部屋に入って来たのだ。
美味しそうな料理が次々と二人の前に運ばれて来る。
あの小さな体でどうしてここまでのものがと感心するくらい沢山の料理がテーブルに並べられていった。
「お待たせ!大したものはないけど、どうか楽しんでや!」
ゆっくりくつろいでいた二人の前に素朴だけど暖かい森の恵がたくさん並べられた。
おもてなしの心が十分伝わる料理の数々。
料理が揃った所で楽しい食事の時間が始まった。
「どう?美味しいやろ?」
料理を口に入れる姿をニコニコした顔で見ながらマーリーはみちるに話しかける。
「美味しいです!すごく!」
流石に自慢するだけあってマーリーの料理はとても美味しかった。
それはまるでその料理に美味の魔法がかけられたみたいだった。
彼女が魔女だけにそれもありえるけれど…しっかりと料理をした上での美味しさだとみちるの舌は感じていた。
食事を終えて、くつろいで、思い出話に花が咲いて…。
そうして楽しい時間はすぐに過ぎていった。




