うるせぇよ、クズ
「ふははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
「な、何を笑っている?!早く!」
「……ちっ…うるせぇよ、クズ。」
ひぃいい!
西川君はポケットから小さめのハンマーを取りだし、それを振り回した。
「おいクズ!てめぇ、今から何されるか分かってんだろうな!あ!?」
「や、止めなさい!こんなこと!」
「うるせえ!」
ガツン!
「ぐああ!」
西川君はハンマーを思いきり私の頭に降り下ろした。
顔を伝っていく生暖かい液体。
それが血だと直ぐに分かった。
「いいか、クズ。てめぇはこれ程の社員をリストラしたんだよ!思い知らせて殺る!」
西川君は私に血走った眼を向けた。
西川君は部屋を出て、数分後にまた戻って来た。
「ひぇぇぇぇ!」
手には黄色い外装のチェーンソーが…
「くくくく。さあて、何処から斬ってあげようかなぁぁぁ?」
地の底から響く様な声で私を脅す。
「に、西川君!分かった!直ぐにもう一度…」
ブロロロロロロロロロロ!!!
西川君はチェーンソーのエンジンを掛けた。
「今更遅えよ!」
西川君はぎりぎりぎりぎりぎりぎりぎりぎりぎりぎりと歯ぎしりをする。
「決めた…先ずは腕だ!あははははははははははははははははははははははははははははは苦しめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ブロロロロロロロロ!!
ブシッ!グチョチョチョチョチョチョチョチョグチャァアアア!
「いぎあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
西川君は私の肩を断裂させた。
損傷部から夥しい量の血が吹き出す。
「くくくくくくくくくく!最高の気分だ!堪らない!!ふはははははは!!」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
息を荒げる私。
「つ~ぎ~は、ど・こ・が良い?」
「も、もうやめてくれ!」
「あはぁ!き~めた!左足!」
ブロロロォォオオン!
「や、止めて!ひいいいい!」
「おらぁ!斬れろ!」
西川君は刃を太ももまで持ってくる。
ブロオンブロオン!
ズズズズズズズズズズズズグチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチブシュアアア!!
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」
ごとりと音を立てて落ちる足。
同時に噴き出す大量の鮮血。
「ああ、チェーンソー飽きた。次はノコギリね。」
そう告げて、別の部屋へ入って行った。
ああ……意識が……
大量の血を流した私は意識が朦朧としていた。
「お待たせ~。」
西川君が次に持って来たのは、錆だらけの汚いノコギリだった。
チェーンソーより、さらに痛いだろう。
何せ錆のおかげで斬れないのだから。
「残りの部位はこれで逝こう!」
西川君が楽しそうに笑う。
私はそれとは真逆の顔をする。
「に、西川!もうやめ、もうやめてくれぇぇ!ぐあいあいいあああ!ひぎいいいいいいいいいい!!」
西川君はノコギリを私の肩に宛がい、そのまま前後に動かした。
中々斬れない腕。
骨から先に行かない。
「ああもう。」
西川君はポケットからハンマーを取り出した。
そして…
「おら!」
バキバキバキ!
私は自分の腕の骨が折れる音を聴いた。
「ううあああ!」
痛みに身悶えた。
西川君はさらに折れた骨の隙間からノコギリを入れ、肉を切り刻んで行く。
ごりごりごりと。
「うううう!!く…うう!止めろ!く…」
「おい!これ以上命令したら殺るぞ!」
「うう!糞!」
最後に残った薄皮を切り、腕は終わった。
気付けば全身汗だくだ。
「よーしぃ、お次は足だ。んー、3つに分けよう。足首、関節、太ももでいいか。」
何だと?くそ!誰か…警察……
「じゃあ、逝くよ!」
西川君は笑みを溢した。
そして、ノコギリを足首へ……
ごりごりごり……
「ううううううううう……くあああああ…」
私は気が狂いそうだった。
精神が着々と崩壊していくのが分かる。
それに…もう意識が殆どない。
ごとん。
足が落ちた。
次は関節……
またごりごりごりごり……
「くううう!うああああ!いぎいいいいい!」
もう声は無意識に出ていた。
頭はふわふわしていて、何処にいるのかも解らない。
もう、もういっそ殺せ。
「西川…殺せ。これは命令だぞ。」
「そういうと思った。でも、もう、その脅しは無しです。」
くそ…もっと早くに命令するんだった。
ごとり…
太もも……
私は自分の足元…いや椅子の下を見た。
自分の足と膝が転がっている。
それに血の海。
豪雨の後の水溜まりの様だ。
「んー、やっぱり太ももは硬い。」
西川君はハンマーで私の骨を叩き割る。
「うっ…」
「わあ、もう殆ど意識無いね。後で傷口塞いであげるよ。」
私の太ももをぎこぎこと切りながら西川君が言う。
ごとっ。
ああ…これで…私はダルマだ。
ちょっと待っててと西川君は告げ、部屋を出た。
戻って来た時手に持っていたのは火炎放射機だった。
「これで傷口を焼けば塞がるよね!」
西川君が悪魔の笑みを浮かべる。
カチャン
ゴォォォォオオオオオオオオ!!
「くああああ!」
じゅううううううと焼ける音。
左肩から白い煙が上がる。
それを右肩、左足、右足にもしていく。
「うんうん。これで止血は完了!次は……顔!そろそろ、クライマックスだな!」
私はその言葉に歓喜した。
やった…もうすぐ死ねる!
また西川君は別の部屋に入って戻って来た。
手には工具箱。
何を?
「先ずは眼を行こう!」
西川君は電動ドリルに長いビスを装着した。
電源を入れるとぐるぐるとビスが回転を始める。
そして…
ぐちゃっ!ぐちゅ!にちゃ!
カラカラ
ドリルが空回りした。
私の眼が一つ、右目がえぐられた。
西川君は次に左目にドリルを向ける。
ぐるぐるぐる
ぐちい!めちゃ!ぬちょ!
また空回り。
私は視界から光が無くなった。
もう声は出ない。
多分ショックが強すぎたのだろう。
「次は鼻行きまーす!」
ガツッ!
ボキィ!メキメキメキ
鼻の骨が折れた。
数秒後耳に違和感を感じた。
これは綿棒か?
ごすっ!
ああ、右耳の鼓膜を破られたな。
どすっ!
左耳もか。
ああ、無音だ。
そして両耳に激痛。
耳を…千切られたな。
もういいや。
考えるだけ疲れる。
そして私の意識は途絶えた。
«想»
私は最後に社長の頭にボウガンを放った。
普通のボウガンではない。
対称物に当たるとその中えぐりながら侵入し、その中で矢から4本の刃が飛び出す。
獲物を確実に仕留める為の物だ。
私の心は満たされた。
もう良い。
死のう。
このお腹の赤ん坊と共に…そう、
そう思っていたのに。
私は何もせずに死んだ。
一瞬見えたそれは私が社長に射った筈のボウガンの矢だった。
«想終»
«想二»
私は…彼女を……幸せにしたかった…
それだけだ…
«想二終»