表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女がいない理由を、オレたちはまだ知らない  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

5話

1. 金曜午後6時、ファミレスにて


「今週のテーマは、“告白のタイミング”だ」


佐久間が言った。

経済学部らしく、今日もホワイトボードアプリを開いている。

画面には、「告白=感情のリスク投資」と書かれていた。


「俺、告白したことない」


西野が言った。

文学部らしく、今日もミネストローネ。


「好きって言うと、物語が終わる気がして。

言わないままの方が、ずっと続く気がして」


「それ、物語じゃなくて、停滞だよ」


佐久間が言った。


「でも、言ったら壊れるかもしれないじゃん」


「言わなくても、壊れるよ。

“言わない”って、相手にとっては“興味ない”に見える」


翔太は黙ってポテトを食べていた。

でも、今日は、少しだけ言った。


「……俺、言えなかったこと、あります」


3人が、静かに彼を見た。


---


2. 告白の“しなかった”記憶


「高校のとき。

同じクラスで、席が隣で、文化祭も一緒で。

でも、言えなかった。

卒業式の日、LINEで“ありがとう”だけ送って終わった」


翔太が言った。


「それ、言ってたら、何か変わってたと思う?」


西野が聞いた。


「わかんない。でも、言ってたら、今も思い出さないかも」


佐久間は、スマホのメモに書いた。


“告白=記憶の分岐点”


陸は、静かに頷いた。

彼は、“告白したことがある”側だった。

でも、その記憶は、誰にも話していない。


---


3. 告白のタイミングは、誰のものか


「結局、告白って、いつすればいいの?」


西野が言った。


「相手の好感度が“60%以上”になったとき。

それが、経済学的な最適解」


佐久間が言った。


「でも、それって、測れないじゃん。

恋愛って、数値じゃないよ」


「じゃあ、文学的には?」


「“言いたくなったとき”が、タイミング。

でも、それが一番、失敗する」


翔太は、スマホのメモに書いた。


“告白=感情の暴走/でも、暴走しないと届かない”


陸は、黙って頷いた。

彼は、告白したときの“相手の表情”を、今も覚えていた。


---


4. 俺たちは、まだ言えていない


「次回のテーマは、“彼女がいる男の空気感”でいこう」


佐久間が言った。


「それ、俺、観察してみたい」


西野が言った。


「俺、ちょっとだけ、わかる気がします」


翔太が言った。


陸は、静かに笑った。

でも、その笑顔の奥に、“言えていないこと”があった。


——俺たちは、まだ言えていない。

——でも、言えなかったことが、今の俺たちを作っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ