10話
1. 卒業式の朝、ファミレスは閉まっていた
「今日、ファミレスやってないんだって」
西野が言った。
文学部らしく、袴姿でミネストローネを恋しがっていた。
「じゃあ、大学の中庭でやるか。
最後の金曜会議」
佐久間が言った。
経済学部らしく、ホワイトボードアプリは今日も起動していた。
翔太は、ポテトの代わりにコンビニのポテチを持ってきた。
陸は、水筒に入れた麦茶を静かに飲んでいた。
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2. 恋愛の答え合わせ
「今週のテーマは、“恋愛の答え合わせ”だ」
佐久間が言った。
「俺、答え出てない。
でも、出なくてもいい気がしてる」
西野が言った。
「俺、ちょっとだけ出たかも。
“言えなかったこと”が、俺の答えだった」
翔太が言った。
「俺は、答えを隠してた。
でも、隠してたことが、俺の答えだった」
陸が言った。
佐久間は、スマホのメモに書いた。
“恋愛=答えが出なくても、語れば前に進める”
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3. 卒業式のあとで
式が終わったあと、4人は中庭に戻った。
袴姿のまま、少しだけ笑って、少しだけ黙った。
「俺たち、結局“彼女がいない理由”を探してたけど、
それって、“自分を知る理由”だったのかも」
西野が言った。
「恋愛って、誰かを好きになることだけじゃなくて、
自分のことを好きになれるかどうか、でもある」
翔太が言った。
「俺、彼女がいることを隠してたけど、
この会があったから、ちゃんと向き合えた」
陸が言った。
「じゃあ、俺たち、卒業しても“未満”のままでいいんだな」
佐久間が言った。
4人は、笑った。
その笑い声が、春の風に混ざった。
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4. 俺たちは、まだ知らないことがある
「この会、またやろうよ。社会人になっても」
西野が言った。
「“彼女がいない理由・社会人編”とか?」
翔太が言った。
「それ、絶対ネタ尽きないやつ」
佐久間が言った。
陸は、静かに笑った。
その笑顔は、“友情の答え”だった。
——俺たちは、まだ知らないことがある。
——でも、語り続ける限り、前に進める。




