表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女がいない理由を、オレたちはまだ知らない  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/10

1話

1. 金曜午後6時、大学近くのファミレス


「今週のテーマは、“清潔感とは何か”だ」


佐久間が言った。

経済学部らしく、ノートPCを開いている。

画面には、“恋愛成功率と清潔感の相関グラフ”が表示されていた。


「それ、どこから持ってきたの?」


西野が聞く。

文学部らしく、手元には文庫本とミネストローネ。


「Twitterの恋愛垢と、某婚活サイトの統計。あと、俺の主観」


「主観入ってる時点で、信頼性ゼロじゃん」


「でも、清潔感って、定義できると思うんだよ。髪型、服装、匂い、姿勢、声のトーン。全部、数値化できる」


「それ、恋愛じゃなくて就活じゃん」


「恋愛と就活は、構造が似てる。自己PR、第一印象、継続的な関係構築」


「じゃあ、俺たち、恋愛のSPI落ちてるってこと?」


「たぶん、そう」


翔太は黙ってポテトを食べている。

でも、スマホのメモには「清潔感=他人が感じる安心感」と書いてあった。


陸は、静かに水を飲んでいた。

彼は、今日も“彼女がいる”ことを黙っていた。


---


2. 恋愛未満の自己分析


「俺さ、LINEの返信、早すぎるって言われたことある」


西野が言った。


「それ、好感度下げるやつ。返信速度と好感度は、逆相関になることがある」


佐久間が即答。


「でも、好きな子から来たら、すぐ返したくなるじゃん」


「それがダメなんだよ。恋愛は、感情のタイミング戦争」


「じゃあ、返信は何分後がベストなの?」


「平均は、37分後。即レスは“暇人”認定される」


「それ、誰の統計?」


「俺の失恋履歴」


翔太は、スマホを見ていた。

LINE未読のまま、3日経っている。

でも、誰にも言っていない。


陸は、彼女からのLINEを“非表示”にしていた。

この会の空気が、壊れそうだったから。


---


3. 俺たちは、まだ知らない


「結局さ、俺たちって、なんで彼女できないんだろうね」


西野が言った。


「分析はしてる。でも、答えは出ない」


佐久間が言った。


「たぶん、答えって、出すもんじゃなくて、出てくるもんなんだよ」


翔太が言った。


「……俺は、答え、知ってるかもしれない」


陸が言った。

でも、その言葉の続きは、誰にも聞こえなかった。

ファミレスの店内放送が、ちょうど流れたから。


「次回のテーマは、“いい人止まりの構造”でいこう」


佐久間が言った。


「それ、俺の人生そのものじゃん」


西野が笑った。


「俺たち、まだ知らないこと、いっぱいあるな」


陸は、黙って頷いた。

彼女からのLINEは、まだ非表示のままだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ