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生きるコツ

 ――ギャ気。


 それは主に笑いの神の加護を持つ者から発生する。

 別に面白い人が出すとか笑いが起きたとかそんな感じで出たりするものではない、謎の力。

 ゲイルにグレイス。その他加護を持つもの。誰もどういうものかよく分かってないが、一般人に魔物。すべての生物がギャ気を取り込む事により、加護を持つ者の言動に対して徐々に違和感を持たなくなる、正直危ない物質である。


 因みにゲイルから出るギャ気の量はなんかめっちゃ凄くとんでもない。


 この世界にはどれだけ研究しても解明されることの無い、魔法やスキルがある。ただなんとなく理屈はわかるが。


 しかし、ゲイルのスキルG.W(ギャグ漫画ワールド)や笑いの神の加護を持つ者のスキルに関しては、基本的には誰もが、なにこれ?どうなってんだあれ?と単純に理解が出来ない。笑いの神の加護スキルは人々にとっては異物なのだ。


 しかしギャ気に侵されると、そういった疑問すら感じなくなる。ツッコむ事なくそれが()()だと思うようになる。


 そう。ジョアンナはすでにギャ気に侵されている。


 呼吸する時に、成分を分けて吸うことは出来ない。故に防ぐことは出来ない。最早公害に近い。


 しかし人によって耐性はある。ギャ気に侵されてもなお疑問を持ちツッコむ事が出来る者もいる。


 ツッコミのスキルを持つグレイスは別だが。


 こんなしょうもない話を読んでいるあなた。

 もしかしたらすでにギャ気に侵されているかもしれない……。


 もしくは日常での疲れや不安などが溜まっているかもしれない。

 そんな時は美味しい物を食べて、しっかり寝よう。そうすればある程度は回復するだろう。


 だがしかし、ストレスの原因は根本からどうにかしないと、ただ臭いものに蓋をするだけである。


 例えば攻撃してくる敵を倒す、または敵から退避しなければ、ずっと防御や回避をしなければいけないのと一緒だ。


 立ち向かうも逃げるも選ぶのは君だ。


 時には諦めも肝心だ。

 但しこの諦めというのはあくまで現状を把握した上で、()()()()()()を変えると言う意味だ。


 壁を乗り越えずとも、壁の横を通れるかもしれない。そうしたら同じ目的地に辿り着けるかもしれない。


 あくまで()()()()()()だが一度立ち止まってみるのも悪くはないだろう。



 ―――――


 グレイスはジョアンナさんのように出来たらどれだけ楽だろうかと思ったが、ギャ気に侵される事は無いので無理矢理自分で適応するしかないのであった。


「まあとりあえずエストの事は終わりにしましょう。」


 ちょっとエストは落ち込んでいるような気がする。ごめん。大事な話しなきゃなんだ。


「ねぇゲイル。私の村、ウインドベル村を救ってほしいって話なんだけどさ……。」


「うん。ちゃんと覚えてるよ。」


「ありがとう。でも報酬がね依頼の規模の割には、金貨15枚だけなの……。」


 金貨1枚=日本円で10万円

 物価、基本的な年収等は日本と同じくらいとする。面倒臭いので。


「ああ、別に俺は金で動いてるわけじゃないしな。」


「ありがとうゲイル!!!」


「それにさ……。相棒と出会えたからそれだけで十分さ……。」


「えっ……ええ。ありがとう……?」


 ちょっと照れながら言ってくるのなんか嫌だな。


「なあグレイス。その依頼、どのくらい急ぎなんだ?」


 とても急いでいる


 やや急いでいる


 どちらともいえない


 あまり急いでいない


 全く急いでいない


「なんかどこかで見たことあるアンケート出てきた!」


 何を言ってるんだ私は。

 この世界において見たことがある訳が無い。だけどなんだろう。イメージが頭に流れてくる?見たこと無いのに見たことがある。


 まあいい。流れに乗れ!


「えぇ……。どちらかというと、やや急いでいると、どちらとも言えないの間なのかなぁ?」


 結界が弱まってきているだけで、まだ余裕はある。


「ちくしょう。5段階で答えろと言っても無理があるか……。」


 別に普通に状況説明すればいいだけなのにな……。


「まあまだ時間があるなら、先に寄りたい所があるんだ。」


「どこ?」


 ゲイルはどこからか地図を取り出し開いた。


「アロゼ村がここだろ。んでここ。バナン」


 正直ずっと村にいた私は地理に疎く、父の「あのでっかい岩覚えてるか?あの岩を左に曲がって真っ直ぐ行ったらウンタラカンタラ……」と言う説明だけで動いていた。

 父の雑さもだが、よくそれで私も言ったなと今になって思う。

 いや自分を褒めてあげよう。


 元々、目的地はバナンだった。父の知り合いがギルドにいるらしいので、その人を頼りに依頼を出そうと思っていた。


「うん。元々バナンのギルド行きたかったし、大丈夫だよ!それで何しに行くの?」


「そりゃギルドに行くのと、後は装備を整えたり。あと……。」


 そう言うとゲイルは顔を赤らめながら、上目遣いでこう言った。


「そろそろさ……俺達も作らないか……?仲間……?」


「子作りの誘いみたいに言うな!」


 ていうかそろそろって言っても昨日会ったばっかりだろ。


「でも……いた方がいいと思うよ。」


「まあ、人手はあったほうがいいわね。で、どうやって探すの?」


 ゲイルについてこれる人材が果たしているだろうか。お金を気にしない人はいたとしてもねぇ……。


「まあどうにかなるだろ。」


 どうにかなればいいけど……。


「じゃあ着替えたら軽く買い物して行こうぜ。」


「あんまり地理わからないから距離感分からないけど、どのくらいで着くの?」


「歩いて二時間くらいだったと思う。」


 聞いといてアレだけどなんか当てにならんな……。  


「まあいいわ。さっさとご飯食べて出発しましょ。」


 サクッとご飯食べて、着替えて、荷物持って、ジョアンナさんに挨拶して、宿屋を出た。

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