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血糖値スパイク

―――――


夢を……見なかった……。


まあ肉体的疲労もだけど、頭の疲れがすごいもんね。そりゃあ短時間でもぐっすりですわな。


夢を見ていたとしても、今なら場面や状況が瞬時に切り替わる、起きた時に何だったんだあの夢……。となる夢を見たとしても、今ならそれが現実と思ってしまいそうな気がする。むしろ夢だったら良かったかなぁ。


そんな事を考えていると、コンコンっとドアをノックする音が聞こえる。


「はーい。」


「グレイスちゃん。ご飯できたわよ!下でゲイル様も待ってるよ!」


「今行きます!そしてちょっとそこで待ってください。」


急いで身なりを整えて廊下に出る。


「何かあったかい?」


「あの、他に部屋空いてます?」


「空いてるけどどうかしたかい?」


「いやちょっとゲイルがうるさくて寝れなそうで。」

さっきガッツリしっかり寝ていたけどなんか変な事聞こえてきそうで怖いしね。


「わかったよ!したら一つ隣の部屋にしな!」


「ありがとうございます!」


そんな事を話しながら階段を降り、食堂に向かうとゲイルが座って待っていた。


「よっ!しっかり寝れたか?いびき凄かったぞ!」


「え?ちょっとやめてよ!」


(さっきうるさくて寝れなそうって言ってたけど……。まあグレイスちゃんも女の子だしね……。それに……。)

何かを勘違いするジョアンナだった。


ゲイルと向かい合わせの席に座る。いい匂いするけどご飯なんだろなー。


ジョアンナは晩御飯を持ってきた。


「はいよ!アロゼ村名物たっぷり野菜のビーフシチューだよ!」


すごい!シチューなのに野菜がたっぷりすぎて、シチューソースというよりタレが絡んでいる炒め物って感じ!

村を出てからは、干し肉などの保存食くらいしか口にしていなかったのでめちゃくちゃ美味しそう!


「いただきます!」


スプーンを手にし、かきこみたい気持ちを抑え(熱そうだし。)一口味わう。



なにこれ!凄い美味しい!何がどうと言えばいいのか分からないけど、少し味の濃いソースと肉と野菜となんかふわぁーってそしてジュワーって来て、柔らかくて口の中でほどけて凄い、凄く美味しい!止まらない!


熱々シチューをハフハフしながら味わっていると、ゲイルも口を開く。


「この料理は……一見シチューソースが少なさにシチューなのかと思ってしまうが、濃いめのソースと肉、野菜共に噛みしめることで食材から溢れ出す肉汁、スープ。旨味に甘みそしてほのかな苦味。それらが濃いソースと一体化して口の中でシチューとして完成する。素晴らしい料理だ……。この美味しさ……。」


コイツめっちゃコメント上手すぎじゃない?ちょっと恥ずかしいじゃん私。なんだよ凄く凄い!みたいな語彙力のないコメント。


「この美味しさ!……言葉にできない。」


「言えやぁー!!!そこはうーん。この美味しさ!おったまゲイルぅ〜じゃないんかい!?」


ゲイルは、「グレイス。ご飯中は静かにしようよ。あまりにも美味しいとはいえさ。」とイケメンスマイルで返してきた。


え?私間違ってるの?注意されてるの?なんで?確かにご飯中は大声出すのよくないけどさ。けどさぁ、アイツ練習してたじゃん?これだな!とか言ってたじゃん?それで言わないっておかしくない?ていうかなんでそんなにコメント上手いの?なんだよもう。本当ムカつく。アレか、スキルが悪いんか?それともコイツが悪いんか?それとも笑いの神が悪いんか?


……ご飯食べたらもう一回風呂入って寝よう。


「あんたら本当仲いいんだねぇ。」


「いや今日会ったばかりです。」


「へぇ~そうなんだ!だったら相性が良いんだろうね!」


「まあグレイスは相方ですから!」


「あらそうかい!」(よく分からん子達だねぇ……。)


反論するのも面倒臭い。早く食べちゃおう。

シチュー、パン、サラダ全てを喰らう。

「ごちそうさまでした!疲れたのでもう一回お風呂入って寝ます!とても凄く美味しかったです!ではまた明日!」


早歩きで元いた部屋に向かう。荷物を持って……ベッドメイキングして、隣の部屋に荷物を置いて、お風呂行こう!


「あんたらどういう関係なんだい?」


「グレイスが奴隷商人に捕まりそうな所をたまたま助けたら、グレイスの村を助ける為に探していた人がたまたま俺だったんですよ。そして怪我してたから休める所を探してたらたまたまこアロゼ村に辿り着いたんです。」


(たまたま言い過ぎじゃないかねぇ……?)


「そしてたまたまお互い笑いの神の加護を持っていた事が分かって、たまたま共鳴して、俺の探していた相方はこの子だったんだ!って感じですたまたま。」


(語尾たまたま!?)


「へ、へぇ~そうなんかい。お互い探してた相手で良かった……ねぇ?」


「いや本当こんな偶然あるものですなぁ!」


(そこはたまたまじゃないんかい。)


「そ、そっか。まあお幸せにね?」


「おう!ありがとう!」


(今の若い子って皆こんな感じなのかしらねぇ……。)


―――――


そんなやりとりが行われているとも知らず、私は湯船に浸かっていた。


うーん。ゲイルは本当凄く凄い人なんだろうけど……。不安しかない。ゴボウでスキルを防いで敵を倒せるし、頭が地面に埋まる程の攻撃でも全然ダメージ無かったし、強い人なんだろうけど……。

それに……。私の精神が耐えられるだろうか……?


そんな悩みの中、お腹いっぱいで少しぬるめのお湯、サイコーな条件に抗えずに意識を失ってしまった。

湯船で寝るのは危ないけど気持ちいいけど危ない

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