僕のともだち
ぼくの側にはいつもゆいちゃんが居る
前髪ぱっつんで目が大きくて、いつもにこにこ笑ってる
ぼくが話しかけると、“にぱっ”て笑って僕を見上げるんだ
可愛いゆいちゃんの背中には大きな黄色い羽がついている。
いつでも飛んでいけそうだから、
「その羽で空飛べる?」って聞くと悲しそうな顔で横に首を振るんだ
ゆいちゃんはいつも笑ってるんだけど、
その時だけは悲しそうに笑うんだ。
だから、ごめんね。
僕はもう羽についてふれる事を辞めたんだ。
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僕は虐めらていた。
貧乏で、お父さんが居なかったから。
僕の事を「汚い」「くさい」と言ってみんなは僕から遠ざかるんだ
でも、僕は毎日お風呂に入ってるし、ちゃんと着替えているのに、
皆と何も変わらないのに、僕の生い立ちを見て、みんなは僕に「汚い」「くさい」と言っている感じがするんだ。
人は皆そん感じに人を見下す。
そんな人間が僕は嫌いだ。
そんな僕の側にいつも笑っていてくれるゆいちゃんだけ居たらそれでいいんだ
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ゆいちゃんは誰にも見えないんだ
ある日、僕がいじめられっこに突き飛ばされてこけた時、
ゆいちゃんは目の前を笑いながら歩いてく子を追いかけたんだ
そして、
突き落としたんだ。
だけどゆいちゃんは誰にも見えないから
その子は自分で足を滑らして落ちた可哀そうな子、になった。
皆が真っ黒い服を着て、
その子の家の近くの寺へ向かう。
大人たちはみんな泣いていた
「まだあんなにちいさいのに」と言いながら
子どもはみんな笑っていた
夜に外に遊びに出れる事を喜んでいた。
僕もその中の一人だった
ゆいちゃんは眠かったと思うんだけど、僕に付き合ってくれた
僕が友だちと遊んでいる時にはニコニコしながらお寺の境内に座っていた
僕が一人になると側に来て、僕に笑いかけてくれるんだ
そうぎ?が始まって境内の中に皆入っていった。
ゆいちゃんは来なかった
僕の手を離して怖い顔で境内にある小さな長方形の箱を眺めていた
怒った顔で
何があったんだろう、、、
僕はそう思いながらも皆の流れにそって歩く
みんなと同じように長方形の箱を覗く、、、、、
そこには僕が居た
僕はしんだんだ。
皆、僕の葬儀に来たんだ
あの時ゆちゃんが押した子はどうなったんだろう、、、、
あれ?そういえば居なかったな
どうゆう事なんだろう。
僕はゆいちゃんの所へ戻った
ゆいちゃんの羽は黒くなっていた
ゆいちゃんの顔から血が出ていた
とても怖かった
だけど、ゆいちゃんは笑ってくれた
いつもの“にぱっ”て笑顔を向けてくれた
ゆいちゃんは僕の手を握った
強く強く、痛いくらいに握った
ゆいちゃんの手は小さいはずなのに大きかった。
そしてそのまま
高くたかく飛んで行った
どこまでも高く飛んで行った
上を向いて僕の方を振り向かないゆいちゃんに
「ねーどこに行くの?」
と聞いても上を向いたまま
だけど、キラキラと光る光が溢れていた。
ゆいちゃんは泣いていた
そして空高く、誰もたどり着いた事のないくらい高い所へ着いた
ゆいちゃんはやっと手を離してくれて、
「助けられなくてごめんね。ばいばい」
そう言うといつもの“にぱっ”て笑顔を見せてくれて、
砂がとけるように消えていいった。
僕も
「ありがとう、さようなら。またね」と声をかけた
ゆいちゃんにその声が届いたかは分からないけど、
僕にとって大切なゆいちゃん。
またどこかで会えたらいいね。
ばいばい