354闇の聖魔術師。
「マレト、先に行くね。」
マコトが、小町ちゃんの気配を感じたのだろう?
外に、滑空して出て行った。
鷹人さんも、それに続く。
俺は、アーテファクトをマジカルコンテナにしまい込んでエリクサーを三本たて続けに飲んだ。
耐性が全方向な俺が飲んでも、どれほど効果があるのか?
精力剤代わりにはなったから、多少効き目はあろう。
さて、俺も行きますか?
「小町ちゃん、何で来たの?」
「だって、晴様お一人で抱え込んでしまはるから。」
「それでもね、危ないからお祖父様の所におり。」
「嫌どす、あてはどこまでも晴様について行きますへ。避来矢は、見つかったのどすか?」
「あぁ、あるにはあったけど魔力が足りないみたいだな。俺だと、法力になるし。」
「あては、魔力持ちどす。やり方を教えていただければ、魔力をお込めいたします。」
「ダメだよ、小町ちゃんの身に何かあったら。」
「あてかて、晴様のお役にたちたいんどす。やらせて、おくんなまし。」
「最初は、ゆっくりな。そうそう、負担に成らぬ様に少しづつだよ。」
一生懸命魔力を込める小町の横顔が、すごくかわいい。
この子の為なら、この世など滅ぼしてもかまわない。
周りが美女や美少女だらけの環境だと、普通に芸能人など見ても何とも思わない。
だが、この子は違う。
外見だけでは無く、内から知性が湧いてくるのだ。
天の才賦なのか、読む詩の心地よさ。
さすが、世界三大美女と謳われるだけはある。
おっと、そろそろ避来矢も。
さすが、闇の世のプリンセス。
これくらいは、屁でも無いらしい。
「小町、そろそろいいよ。疲れただろう、抹茶オレ飲みな。」
「晴様も、お疲れでしょ?あてが、回復術を施しますえ。」
小町が晴明を抱き寄せて、
[爽はやぐ!]
と、唱える。
緑色の発光が、二人を包み込む。
温かくて、気持ちが良い。
「小町、すごく身体が軽いよ。もしかして、聖魔術か?」
「はい、回復術でありんす。あては、聖魔術師でありんすから。」
「闇のプリンセスが、聖魔術師ねぇ。まこは、聖母なのに闇魔術師だしな。」
「晴様、マコが残っておりますえ。あの子がいると邪魔でありんす。あてが、排除しますえ。」
「そうだな、無理するなよ。押さえつけておくだけで、いいからな。」
「晴様も、お気を付けあそばせ。きっと、マレトさんが邪魔しに来ますえ。」
「あぁ、諸共潰してやるよ!」
小町は心配だが、あの子には千年の経験値がある。
無理をしなければ、あの化け物のマコを容易に足止め出来るだろう。
問題は、オレだよな。
魔力量は、マレトおじさんの方が膨大に多い。
しかも、向こうには異常耐性もある。
俺が勝っているとしたら、術の多さくらいだ。
それでも、届けばの話だ。
奥義を出せば、ねじ伏せられるかもしれない。
しかし、タイミングを見誤ればやられてしまう。
召喚魔にある程度削いでもらって、タイミングを計るしかないな。
魔人程度では、歯が立たないな。
[出でよ、魔神!]
「お呼びいただき、光栄の極み。王様、何なりとご下命を。」
「これより、聖人と呼ばれる者を排除する。闇の賢者よ、我に続け!」
「はっ!」
ましんさん、怖ー!
魔人なんて、目じゃ無いやん。
ありゃ、宇宙の深淵とかにいそうだな。
何か、後ろに隠れてこそこそしてようと。
「小町ちゃん、鷲羽山行かなかったん?」
「マコちゃんも、残ったんどすね。ちょっと、結界張りますえ。」
「凄っ、海の上なのにこんなに安定してる。小町ちゃん、闇のプリンセスなのに聖魔術師なん?」
「マコちゃんかて、聖母なのに闇魔術師ですやん。」
「ねぇ、晴が何しようとしてるか知ってる?」
「人類の膿を消毒しようと、してはりますねんやろ。」
「そうなんだけど、無関係の人達もいっぱい巻き込まれちゃうよ。」
「無関係?止める事もせず加担した者が無関係だなんて、虫が良すぎますえ。」
「向こうの人達は、関係ないでしょ!」
「それは、身びいきでありんすね。あの者達も、何もせず怠惰に過ごしただけ。まるで、平安の頃の様ですえ。」
「いいじゃない、それでも一生懸命生きているのよ。あなた達に、それを決める権利は無いわ。」
「もう、遅うございます。今ごろ、晴様が大陸を墜とす手筈を整えておりますえ。」
「僕のマレトが、そんな事させない!マレトに、出来ない事はないもん!」
「さようで、ございますか?勝手にしたら、ええんどす。」
「僕も、止めに行く!」
「させませんよ!」
[天つ風雲のかよひ路
吹きとぢよ
をとめの姿しばしとどめむ!]
小町が詩を詠むと、マコの身体が動かなくなる。
「何これ、うーん動け!」
「無駄です、千年も詠み継がれた拘束術どす。解けるまで、永遠の時を紡ぐのどす。」




