349晩餐会。
向こうのメイドさんに着飾ってもらって、旧領主館へやって来た。
聖騎士団の護衛で、ミルス義母上とカミロ様も一緒だ。
結局、まこは来なかった。
希人が来たので、親子水入らずにさせてあげた。
ダスティは、どこに行ったのやら知らない。
昔は晩餐会と言えば、過度な演出とご挨拶には辟易していた。
今は、ちょっと豪勢な立食パーティーみたいでそれほど苦にならない。
ただ、ご挨拶に関してはミルス義母上はもう皇家が無くなったのでそうでもない。
カミロ義姉様は、ビリド義兄様がドミヤ商会の会頭に就いたのでひっきりなしにここの商会やら生産組合の者が繋がりを持とうと押し寄せている。
私は、もう諦めた。
公爵令嬢で無くなった私は豊穣の女神と呼ばれ、アニスでは私のおかげで作物が豊作になったと崇められる。
半分は、聖母マコのせいなのに。
早く、戻りたい。
最初に歓迎の意を皆に介していた、司教が高齢の聖職者を連れて来た。
ここの元司教は領主でもあったが、色々あってスカル軍にプチッとされた。
今の司教は、元ホーリヤの司祭だった人だ。
つまり、ドミヤ商会の息がかかっている。
「ルアン嬢、お疲れでございましょう。しばらく、別室で寛ぎなされませ。」
カミロ義姉様には申し訳ないけど、聖騎士団を伴って退場する。
「そちらの方は?」
「私めは、聖地の管理を任されておりますフウラム司教であります。」
「あら、これからお世話になる所だったの。よろしく、お願いいたします。」
「こちらこそ、女神様が聖地に降臨なさるなぞ祝福の極みであります。」
「フウラム殿!」
「これは、失敬。まぁ、建前はそんな所かな。ルアン嬢、実は聖地なのですが今立ち入り禁止でして。」
「えっ、聞いてないわよ。」
「はい、ここ最近の話なので伝わっていなかったのでしょう。私も事実確認出来たのは、一昨日なのです。」
「どうして、入れないんですか?」
「実は、聖地にアンテッドが巣食っておりまして。聖地なのにと思って、確認が遅れました。」
「原因は、わかっているのですか?」
「聖地の式典で斃された、あのアカテの殺戮者では無いかと。」
「アカテの首領と、もう一人はここから聖器を持ち出した元アニスの高位聖職者です。おいそれとは、手が出せません。今、アニスの魔術師とスカルの冒険者を調査に当たらせております。しかし、芳しくありません。誠に、申し訳ありません。」
「フウラム司教の、せいではありませんわ。それなら、心配無用ですわ。同行しているのは、初代と二代目の魔導軍司令官です。それに、Sランク冒険者にホーリヤ軍実行部隊の最強の戦士もおります。万が一の時には、私の神威もありますわ。」
「しかし、女神様を危険にさらす訳には。それに、ドミヤ商会の会頭の奥様。後、あの魔王陛下の皇后様に何かあったら。」
「こちら側にも、それなりの用意はあります。あの聖母が、同行しております。あの、災厄です。私達が聖堂に入る時には、聖地全部に避難勧告をなさい。」
「げっ、あの聖母ですか?半径10キロ圏内は、規制しないとですね。」
この世界では聖母と言えば、災害みたいなんだなぁ。
まぁ、あの子は特にアニスでやらかしたからね。
これで、探索はやりやすくなった。
アンテッドって、私達には聖魔術があるから苦でも無い相手だな。
まこは、闇魔術か。
アンテッドに、効くのかしら。
あの子なら、魔力の多さで押し切るか。
舞香ちゃんも、目を離すと危なそうだな。
あの子の魔力なら、聖地どころか色々起こりそうだ。
「フウラム司教、アンテッドの情報はありますか?」
「此度、Aランクの冒険者チームが入っております。その者の言うには、リッチが居る様でアンテッドに統制がとれているようです。後、ゴーレムもアンテッド化しており魔術師の行く手を阻んでいます。女神様も、お気をつけてください。」
「わかりました、聖騎士団にもゆめゆめ聖地に着いたら避難した住民の支援に回る様に言い含んでおいてください。聖地の騎士団にも、同様に。敢えて本音を言いますが、足手まといです。」
「やはり、お荷物を背負わせて申し訳ありません。」
「良いのですよ、民には聖騎士団は憧れですから。」
「では、私は一足先に聖地へ。」
「真面目な方なのですね、フウラム司教は。」
「聖地は不祥事が続きましたから、元法王も子飼いの者を派遣したのでしょう。」
「あなたの様に、適材適所って所ですね。では、後の事はよろしくお願いします。」
「はい、お任せを。」
ミルス義母上とカミロ義姉様を回収して、アンパンマンバスに戻る。
館や宿に泊まるより、ここが一番安全なのである。
宿営する時は、横幅が3倍になりスペースも余裕がある。
早速、みんなでお風呂に入り疲れを癒す。
明日は、聖地だ。
まこが帰って来たら、アンテッドの事を皆に伝えなければ。
希人から、何か絶望的な道具か武器もらおう。




