348親子の一夜。
ヴゥヴゥ文句を言いながら、晩餐会に向かうスカルの三女帝。
メイドさんも、付き添いでついて行ってもらった。
ダスティは、悶々として夜の街へ消えて行った。
「パパ、ママねひとりで泣いてたにょ。」
「どうしてだい、舞香は泣かなかったの?」
「うーん、まいかにはわかりゃにゃい。おそらをみあげて、泣いてた。」
「今日はパパが、美味しいかんぴょう巻きを沢山作ってやるからな。」
「わーい、巻き巻き!」
「希人、お腹が空いた!」
バスを見送りに行った真も、戻って来た。
「かんぴょう巻き、作ってるから待っててな。」
「やったー、巻き巻き!」
「ママ、パクらないでよ。」
「えっ、何?」
「真、つらい事は無いか?異世界は、不自由だろう。」
「確かに、そうだね。コンビニも無いし、モスバーガーも無い。」
「何で、モスバーガー?」
「ボクね、イライラが募るとモスバーガーでドライブスルーするんだ。」
「ママ、オニオンリングたべたい。」
「へぇ、舞香もモスバーガー好きなのか?」
「しゅきー!」
「タワマンのテナントは、マクドナルドだもんな。」
「しょうがないよ、マクドナルドの方が集客力あるもん。ビリーお兄ちゃんなら、そっちにするでしょ。」
「かんぴょう巻き、ちょっとワサビ入れるか?舞香は、無しだな。他は、何か食べたい物あるか?」
「かんぴょう巻きだけで、いい。後、冷たいお茶も。舞香は?」
「まいかも、つめたいお茶。かんぴょう巻き、たくさんたべりゅ。」
「美味しいね、久しぶりのキャンピングカーなのもいいよね。」
「だな、魔石で動くからこっちでも大活躍だな。むしろ、こっち仕様なんじゃね。」
「希人、この世界ってもう終わっちゃうの?」
「どうした、急に。」
「ううん、なんでも。さっ、食べよう。」
真が聖地巡礼をしているのは、おそらくこの世界の存続を疑っているからだろう。
オレも、闇の世とつながっているのには驚いた。
晴明は、何か知っていそうだな。
こちらで繋がりを持った者、縁ができた人達。
何とか力になろうとは思っているが、それとは関係ない話だ。
目の前で、かんぴょう巻きを食べている二人だけは守りたい。
果たして、それでいいのか。
「希人、お酒は飲まないの?」
「元々、そんなに飲まないし。飲んだら、真と舞香と遊んでやれないだろう。」
「パパ、遊んで!」
お腹いっぱいになった舞香が、抱きついてきた。
「ようし、その前に歯みがきしような。」
歯みがきが終わると、真が片付けをしてくれていた。
何だかんだでも、母親らしくなってきたな。
「まいかね、かめんライダー555ね。へんちん、まじんかかってこい!」
携帯をスカートにはさんで、ポーズを決める。
古いなぁ、舞香。
真は、世代か。
魔人さんが、遊んでくれるんだろうな。
「ヤーッ、トゥー!」
「うわぁ、やられた!」
「わーい、わるいまじんたおしたにょ!」
ずっと、ニコニコ見つめる真。
うーん、理想の妻じゃないか。
どうした、気持ち悪いぞ!
「トゥー!」
「なして蹴る、真?」
「舞香、シャワー入りましょ。」
「うん、メロンパンナちゃんがいい。」
俺が、寂しかったんだよな。
真、ガマンしてんだろうな。
キャビネットを開けて、テレビをつける。
何も映らないので、ブルーレイで田舎の秋田の映像を流す。
懐かしいな、友三さん達元気かなぁ。
「ふぅ、メイドさん無しでシャワー浴びると時間かかるわ。はい、舞香こっち向いて。」
「ふぁ~、温かい。」
髪の毛を魔術で、乾かしてあげている。
「希人も、入ってきたら。あっ、これって笑内の駅じゃん。」
「良く、わかったな。向こうの世界が、懐かしくてな。」
「あれから、随分経った気がするね。」
「オレも、入ってくるわ。ゆっくり、してな。」
「パパ、さびしそうだね。」
「舞香は、さびしくない?」
「パパはいにゃいけど、ママがいるもん!パパ、じいじとばあばにあしょんでもらえないの?」
「みんな、忙しいみたいよ。」
「しょつかぁー、パパにヨシヨシしてあげりゅ。」
今こちらで希人が悩みを共有出来るのは、ビリドさんくらいだろう。
でもあの人は、清廉潔白で濁ったモノに対して容赦ない。
そう言う意味では、ドミヤさんは話が会いそうだ。
せめて、野口のおっさんがいれば楽なんだろうな。
ボクが聖地巡礼しているのは、この世界を闇の世に引き摺り込ませない為だ。
向こうに行ったマレト皇帝とマコト皇后、それにボクとマレトしか気づいていない。
やろうとしている闇の王晴明には、マレト皇帝が立ち向かうはず。
ボク達では、情が湧いて躊躇してしまう。
そして、この大陸を浮遊させている力がどこかにあるはず。
それがマコト皇后が閉じ込められた事で、急激に力を失っている。
ルアンがいるから何とかなっているが、あの子も身重だ。
ボクが、力を込めねば何ともならない。
舞香がいるのは、心強い。
この子の法力は、ボクより膨大だ。
そこに行けば、舞香の法力もコントロール出来る様になる。
急ぐ旅ではあるが、晴明の配下の魔人に気づかれてはならない。
「舞香、寝ちまったか?」
「うん、天使みたいでしょ?」
「お前もな。」
熱い口づけが、降りてきた。




