280最強のおばあちゃん。
「あら、私の結界じゃないわね。でも、根源は一緒ね。貴方、そのまま突っ切て。」
バタバタ、ドッスン!
「わっ、何だ?」
「あなた、もうちょっと静かに降りなさいよ。」
ドタドタ!
「これは、宗主様ー!王様も、お早いお着きで。」
「老師、だいぶ広くなったわね。誰が、したのかしら?」
後ろからメイドに抱きかかえられた赤子と、となりを歩く幼児がついて来た。
「おじいちゃん!」
「あなた!ちょっと、お話があります!」
「待て、まてー。老師、ちゃんと説明せぬか。」
「この子達は、向こうの皇帝の姪と長女だそうです。」
「ミィママ?」
「今、何て言ったの?もう一度、聞かせてちょうだい。」
「おじいちゃん、この綺麗な人はミィママじゃないの?」
「そなたは、常識を弁えているわ。うん、まこにそっくりだわ。こちらに、いらっしゃい。」
抱きかかえて、頬ずりする美世。
「舞香よ、これはわが妻の美世じゃ。モエも、泣かずに偉かったぞ。」
メイドから奪い取って、モエをあやす闇の王。
「あなた、舞香と言うの?」
「おじいちゃんが、マイカって名乗れって。」
「よいよい、私は美世。あなたの、おばあちゃんよ。」
「えっ、おばあちゃん!」
「わしの時は、素直にじいちゃんと呼んだのに。モエ、じいじは寂しいぞ。」
「あのー、お二人様。そろそろ、落ち着きましょうか。」
【落ち着いておる!】
「マイカ、モエ、あちらでおばあちゃんと美味しいおやつを食べましょ!」
「あのー、宗主様。」
「老師、最高級のおやつとジュースお願いね。」
老師がメイドに指示を出して、マレトのいる部屋に案内する。
モエは鷹人に抱かれ、マイカも美世に抱っこされたままだった。
「ミーママ、降ろして。」
「しょうがない、後でゆっくりとね。」
と、部屋に入った瞬間美世は別の餌に食いついた。
「何、何なの!」
マコが、美世のハグでギュッとされている。
「うーん、美味しそう。」
「誰、あれママが何でここに?あっ、お父さんだ。」
「美世ちゃん、そこのはまこでは無いぞ。マコ、だけどな。」
「何、訳分からない事を言ってるの?同じ香りがするんだから、一緒でしょ!」
「マコレ、どう言う事?」
「この世界の、ミーママみたいな人よ。だから、マコと同じ香りがするのよ。もう、大丈夫なの?」
「色々大丈夫じゃないけど、ね。」
「マコ、小さくて昔を思い出すわ。やっぱり、マレト君も一緒なのね。」
「マレト・スカルです。この度は、息子がとんでもないご迷惑をおかけしまして申し訳ありません。」
「そうね、マイカをくれたら許してあげるわ。」
「いや、それは…。マコレじゃなくマイカは、どうなんだ?」
「又、丸投げして。あたしは、モエが一緒ならかまわないわよ。マコは、どうせ育児放棄するでしょ。」
「なっ、ボクだってちゃんとママ出来るもん!」
「お前、上皇と毎日狩りばかりしてマイカにモエを押しつけてたろ?」
「押しつけてた訳じゃ、モエがマイカがいいって言うから…。」
「赤子が、言う訳ないでしょ。モエは、それでもあたしがいいみたいだけどね。」
「グヌッ、マイカ喧嘩売ってるん?」
「来なさいよ、どっちが上かはっきりさせましょ!」
「おいおい、従姉妹で争うなよ。マコ、お前も幼児相手に本気になるな!あっ、お前も幼児か。」
【ちょっと、そこのアホ坊!】
「痛っ、やめろ!お前らの魔力同時に受けたら、さすがに死ぬわ!」
「皆さん、落ち着きなされ。」
【落ち着いているわ!】
「ハァ…。」
「そっくりじゃな、あ奴らに。」
「本に、とりあえずおやつにしましょう。」
「やった~!」
「はしたない、マコ。おいで、モエ。」
「はぅ~、チャブ、ヴー!」
「モエ、ママはこっちですよ。マイカにばっかり…。」
「絆の重みよ、ハンッ!」
「グジュ、ワーン、グシュグジュ!」
「マイカ、ややこしいからマコトを泣かすなよ。お前も、姪っ子に泣かされるな。」
「面白いわ、マコこっちにおいで。」
「ママ~!」
「あのー、王様。俺たちは、このままで良いのでしょうか?」
「マレトよ、父で良いと言うただろう。とりあえず、マイカとモエは美世ちゃんに預けてくれ。お前さんらは、晴明を手伝ってやってくれ。この世には、まだまだ悪がはこびっておるからの。後で老師に、野口博士と秋人を紹介させるわ。」
「秋人さんと言うのは、確か弟さんでしたか。野口博士と言うのは?」
「希人の幼なじみで、優秀な科学者だ。商売も、上手だぞ。」
向こうのアキトと、ドミヤ兄さんみたいな人かな。
ドミヤ兄さん、どうしてるかなぁ。
「マレト君、マコ、それでいい?あなたたちは、しばらく西町先生の護衛についてくれる。吾朗さんって言う人が、手筈を整えているから。吾朗さんは、秋人君の義父ね。西町先生は、今度日本って言う私たちの国の宰相になる人よ。詳細は、老師に聞いてね。」
「わかりました、老師様お願いします。」
「老師様は、辞めてくだされ。田じぃで、よろしいでの。秋人と野口博士が着いた様でんな。」
マイカ、ママですねぇ。