331キャメロン兄妹。
翌朝、離宮へ両親を迎えに行く。
ボムコプターの魔石を交換して、出発だ。
「お前と旅に出るなんて、あまり記憶にないな。」
「秋人とは、良く出かけてただろう。」
「あんたを連れて行くと、まこが泣き叫ぶからね。私たちも、気を遣ったんだよ。」
「どういう、意味だ?」
「あんたとまこを二人っきりに、させてあげようと思ってね。」
「へぇ、あいつがまだ男の子だった頃から気付いていたのか。」
「いや、只まこが家の子になるにはどうしたらいいかなぁと思ってな。」
「何か、オレ不憫だなぁ。」
「いいじゃない、あんたには勿体ないお嫁さんだよ。」
「だな、オヤジ、オフクロ、ありがとうな。」
「オイクさんって言うのは、医学に精通しているのかい?」
「こっちでは、魔術を使わない治療は普及していないんだ。彼女は、その分野の第一人者だ。」
「お土産、お酒でいいのかな?出産、間もないだろ?」
「まぁ、腐る物でもないし。無類の、酒好きなんだと。日本に限らず、世界の銘酒を用意してくれたんだろう?」
「ああ、プロパーさん達がかき集めてくれたよ。」
医者って、あまり恵まれた職業では無い。
少し前までは、不浄の者として差別を受けたりもしていた。
こちらでも、未だに偏見や差別を向けて来る者はいる。
特に富裕層は、治癒やポーションに頼っているのでなかなか医学が進まない。
アカテから始めるのも、そう言った事情からだ。
そろそろ、ホーリヤ総合病院が見えて来た。
屋上のヘリポートに機体を降ろすと、キャメロンさんの子息達が出迎えてくれた。
「始めまして、父母がお世話になっています。私が長男の、ジョージです。」
「次男の、レオです。」
「長女の、パトリシアです。リズと、呼んでください。では、ご案内しますね。」
なかなかしっかりした、子息達だ。
息子達は、ギルマスの母親に似たのか屈強な身体をしている。
娘さんはキャメロンさんに似た、知的なかわいい感じの女性だ。
先ずは、オイクさんに挨拶を兼ねてドレイク君の予後診察だ。
「失礼、致します。希人先生と、ご両親をお連れしました。」
「その後、どうだ?両親も連れて来たから、助力を頼むよ。」
「お初に、お目にかかります。ドミヤの妻で、オイクと申します。ご指導、ご鞭撻よろしくお願いします。」
「堅えーな、ほら向こうの銘酒たくさん持って来たぞ。無理せずに、ゆっくり味わえよ。」
「すごい、希人マジックボックス持ってない?カリン様に見つかると、やばいのよ。」
「しょうがねーな、ほら。」
「ラッキー、これなら魔力無くても使えるもんね。」
「オイクさん、本当に魔力使えないの?」
「生活魔法くらいは使えるけど、いわゆる魔術と言うのは使えないですね。だから、医学を学ぶ事が出来るんです。」
「マコトちゃんも、医学使えてたね。オイクさんが、教えたんでしょ?」
「えぇ、大変でした。あの子は、大魔術が使える魔導師でしたから。魔術を使わない医学を覚えるのは、並大抵の努力では無かったと思います。」
「旦那のマレトが、魔力使えないので。色々、アドバイスや改造道具を渡してたみたいです。魔力で、魔術を使えなくする。よくわからない事をマレトとマコは、してましたね。」
「よくわからないな、やっぱり魔力とか魔術って言われても。」
「オイクさん、ドレイク君は何所だ?ちょっと、オヤジに診察してもらおうと思っている。お前さんも、オフクロに見てもらえ。」
「ドレイクなら、カリン様と両親の元に居るわ。この先の礼拝堂の、孤児院に居るはずよ。」
「レオ、ボムバス用意して。リズ、孤児院の保健室使える様にして。では、行きましょう。」
ドナドナして、皆で孤児院へ向かう。
お昼前なので、小さい子しかおらず閑散としている。
両親が連れて行かれたので、ジョージと厨房へ行く。
「シェフ、久しぶり。忙しい時に、悪いな。」
「昼は、人数が少ないから暇だぞ。いつも、差し入れ感謝している。」
「まぁ、砂糖やバターは高級品らしいからな。子供達のおやつには、いくらあっても足りないだろう。今日の昼飯は、何だ?余裕があったら、おすそ分けしてもらっていいか?」
「何人だ、今日は玉子丼だからいくらでも追加出来るぞ。」
「7人だな、俺たちも食堂で食べていいか?」
「あぁ、小さい子が多いから面倒見てやってくれ。」
「わかった、もう少ししたら連れて来るよ。これ、個人的な差し入れな。」
「うおっ、ジンじゃねぇか。ありがとうよ、兄ちゃん。」
「シェフといつの間に、仲良くなったんですか?」
「ドレイク君の、出産の」時だな。大量の布を熱湯消毒するのに、手伝ってもらった。その時からの、付き合いだな。」
「不思議な、人ですね。一見強面で、他を寄せ付けないのに。とっても暖かくて、懐が深い。」
「あながち、他を寄せ付けないのは間違っていない。オレは、利己主義者だからな。さっ、保健室へ行くか!」




