325酢鮫。
翌朝早くから、安倍姉妹は精力的に手伝ってくれた。
娘達の教育の一貫として、現場指導をしてくれているのだろう。
マイカもモエも、小さいながらに二人にくっついて汗を流している。
もう一人の娘のマコは、よく魔力が底を尽かない物だと思う。
大規模な工事にもかかわらず、基礎はほぼ一人でやってしまっている。
瑠亜が身重なのもあるが、マコもマイトの事で良心の呵責があるのだろう。
ミーナさんは、フレアスの補助に回ってもらった。
親娘だけあって、気のあった作業具合である。
秋人とイワノフさんには、国境警備隊の訓練を兼ねて黒海へのルート整備をさせている。
幸い、首都のウラジオストクにはシベリア鉄道が現存している。
現在は、高速鉄道化を忙がせている。
俺、俺はする事が無いので錬金術に励んでいる。
マイカやモエの教育玩具や、マコトのオモチャの製作を黙々としている。
郁恵さんと叶さんの所にも、何か作ろうかなぁ。
ネット通販サイトって、便利だよな。
何でも売ってるし、調べれば材料も判明する。
日本だと売ってなさそうな物から、作ろう。
そろそろ、お昼休みだな。
朝は簡単な物にしたが、お昼はちょっと塩っ気のあるがっつりした物にしよう。
メイドさんに、材料あるか聞きゃなきゃ。
「あらら、これマレト君が作ったの?朝もだったし、本当に起用ね。」
「美世さんと子ども達の分は、薄味にしてますよ。」
「パパ、美味しい!」
「パパ、ありがとう。」
「パパ、うまー!」
「みんな、たくさん食べな。パパは、ご飯作るくらいしか出来ないからな。」
「何、言ってるの?この壁を要塞にしたり、高速連絡路にするのってマレトの設計でしょ?あんた、統治の神って呼ばれてたじゃない。」
「フレアス、恥ずかしい二つ名は辞めてくれよ。魔力が使えないから、机に座って考えるだけだよ。それから、マコト達に聖魔術の使い方教えてくれてありがとうな。さすが、ナジロの至宝だな。」
「やめてよ、意趣返ししないで!でも、美味しい。これって、何のお肉?」
「チョウザメだな、キャビアの親だ。から揚げにして、甘酢をかけると臭みもなく柔らかく食べれる。ザワークラウトは、ちょっとパルメザンチーズを多めにかけてあるぞ。アンチョビが大量にあったから、オイルパスタなのはガマンしてくれ。夜は、カレーライスにするよ。」
「ねぇ、マレト君。マイカやモエもいるんだし、家で暮らせば?」
「姉さん、魂胆見え見え。」
「瑠亜、大丈夫か?調子悪かったら、軽いの用意しようか。」
「ウグッ、モシャモシャ!何、何か言った?」
「大丈夫な、様だな。みんなのおかげで、壁も片付きそうだ。近日中に吾郎さんの所に戻るけど、皆さんはどうするんですか?」
「私とイワノフは、ママの結婚式までこっちに残るわ。」
「美世さんも、一緒に式を挙げるんでしょとりあえず、明石に帰りましょ。」
「そうだ、姉さんも挙げるのよね。イワノフが残るんなら、秋人にプライベートジェット操縦してもらおう。瑠亜、秋人なら出来るよね?」
「うん、秋人はエリート自衛官だから大丈夫だよ。」
「じゃあ、午後も無理せず頑張ってくださいね。」
「あのぅ、私達は?」
メイドさんがする事が無くて、困り果てていた。
「じゃあ、観光でも行きますか?飛行艇で、ゆっくり壁の進捗状況を見て回りましょう。」
「ええと、そういう事では無くて。」
「みんなも忙しかったんだから、ゆっくりしなよ。マイカとモエが疲れたから、相手しながら見て回って。どうせ、カレーの用意は出来てるんでしょ?」
「あぁ、マジコテで熟成中だ。」
飛行艇で北側から、ゆっくり巡視する。
南下をしながら黒海を目指していると、イワノフさんの一行に遭遇した。
飛行艇をホバリングさせて、近くに降りる。
「イワノフさん、これ差し入れ。」
マジコテから、大量の熟成バナナを取り出す。
「お前さん、何してんだ?」
「マイカとモエの、お散歩。もう、黒海まで行って来たのか?」
「いや、仮キャンプを設営して来た。明日から、人数を揃えて街道整備に入る。国境が近いからな、無闇に魔人さん動かせないか。」
「兄さん、何かいい方法無い?」
「秋人、何でも頼るな。とりあえずは、自分で考えてみろ。」
「本当に、兄さんみたいだ。同じ事、言う。」
「夜には、帰れそうだな。飯作って、待っているよ。向こうは、危険は無いか?」
「不穏な空気は、無いな。飛行艇なら、ステルスにすれば大丈夫だろう?」
「じゃあ、もう一足伸ばしてみるよ。気をつけて、帰れよ。」
「おう、お前さん達もな!」




