322錬金術師。
野口に政府の一行を任せて、ウラルにやってきた。
イワノフさんに案内されるが、酷い有り様だった。
こちら側は、シベリアの勢力が持ち堪えた。
占領軍に荒らされた旧ロシア帝国は、見るに耐えない惨状だった。
一度マコトの飛行魔術で、サンクトペテルブルクに飛んだ。
ただの穴が空いた、クレーターと化していた。
モスクワは瓦礫に埋もれて、あちこちに絶望を抱えた人達がウヨウヨしている。
郊外のまだ食糧がありそうな所は、私設の軍隊我等が言う傭兵が盗賊として占拠している。
とりあえず、闇の王様が作った壁を排除したいらしい。
俺は壁を排除するより、有効利用する方を選んだ。
せっかく、魔力持ちが沢山いるのだ。
俺は何も出来ないが、みんなで頑張ってもらいたい。
まずは多元演算で必要な資材を計算して、秋人にラトリアに取りに行ってもらう。
そして、マコトを始めとした魔女達に色々動いてもらう。
イワノフさんから、ロシア帝国の旧領についても頼まれた。
そちらは、魔人達を中心に人道支援をしながら様子を見ているらしい。
俺も、しばらく落ち着くまではそのままがいいと思う。
まだ、傭兵達がコソコソやっているのだ。
無闇に、火中の栗を拾う必要は無い。
イワノフさんは、俺をこの国の統治に関わらせたい様だ。
助力はするが、関わる事は出来ない。
俺は、スカルの皇帝として国を滅ぼしたのだ。
しかも、異世界の人間だ。
マコトも、巻き込みたくない。
マイトはとんでもない事をしたが、許すならなんとかしてやりたい。
そして大好きなモエに、嫌われたくない。
ダメな親だよなぁ。
こちらの世界に来てから、少し変わった事がある。
まず、多元演算の処理速度が跳ね上がった。
そして、色んな物が創造出来る様になった。
所謂、錬金術だ。
何も無い所からは無理だが、素材があればある程度の物は作れる。
幸いマジコテには、色んな物が入っている。
こちらで見かけた玩具を作ったら、マコトが大喜びで遊んでいた。
後は、内緒でスマートフォンを作ったりもした。
向こうに無い物を沢山見たせいで、能力の限界が無くなったのか?
だから、こちらの世界にあまり関わらない様に気をつけている。
マイトの事もあるので、頼まれればやれる事はやる。
「マコト、秋人が帰ってきたらフェリーに戻るぞ。」
「アイ!」
「マコレ、向こうはどう?やっぱり、ママと帰ろう。」
「ママ、あたしは帰らない。モエを育てなきゃいけないし。向こうで、色んな事を学ばなきゃ。」
「マコが、いるでしょ?あっ、あれはダメか。」
「それに…。」
「それに、何?」
「マイトが、一人で冥界に堕とされたの。自業自得なんだけど、待ってあげないとね!」
「マコレ、あなた幾つよ。一人で抱えこんじゃ、ダメよ。ママも、おばあちゃん達もいるんだからね。」
「うん、ママ…。久しぶりに、ママのおっぱい飲みたい。」
「フフ、おいで。」
「ゴクッ、ゴクッ、チュー、チュッパ!オイチ、ゲッフ!」
はぁ、この子が戻って来る頃には。
それには、旦那やコルザのクソおやじが頑張らないと。
お姉ちゃんは、モエを手放せるかなぁ。
自分も行くとか、言い出しそうだな。
もう、時間も無い。
お姉ちゃんの所に、行こう。
一晩だけでも、マコレを抱けた。
旦那に会わせたかったが、時間も余裕も無い。
手紙は、預かった。
何が書いてあるかわからないが、そのまま娘に渡した。
娘?
まぁ、いいか。
「マコレ、ゆっくり出来た?おばあちゃんに、抱っこさせるっちゃ。」
「ミーママ、モエはいい子にしてましたか?」
「マイカママ、モエいい子にしてたもん!」
「あらら、マコレはいつの間にかお母さんなのね。」
「お姉ちゃん、マコも面倒かけているわよ。」
「マコレ、ごめんね。あの子も妾も、子育てが苦手なんだっちゃ。」
「大丈夫、あたしはママの子供だから。」
「はぁ、それってビリドに似たのよ。お父さんの手紙、持った?」
「うん、それにしても分厚い。お父さんらしいってば、らしいけど。」
「モエ、いっぱい甘えなさいね。あたしは、あなたを大切に育てるから。」
「アイ、マイカママ!」
「じゃあ、ミーママもママも体に気をつけてね。皆に、よろしく。」
「マコレも、モエも何かあったらすぐ帰っていらっしゃい。」
「マコレ、これ携帯電話ね。新月になったら使えるから。」
【行ってきまーす!】




