277帰還、ラトリアへ。
「すんまへんな、聖母様の魔力減らしてもうて。」
「ラトリアの、せいじゃないわ。マコは、マイトが心配なんですよ。」
「そればっかりは、何とも。」
「老師様、気にしないで。後、足らない所あったら言ってね。あたしが、やるから。」
「マコレいや、舞香ちゃんおしゃべり上手になりましたね。」
「えっ、そうかしら。何でかしら?」
「そいじゃ、ついでに転院門の修復をお願い出来るかな?」
「老師様、あれはそのままの方がいいんじゃない?あたしかマコがいれば、直せるんだし。向こうも、聖母様がいらっしゃるでしょ?」
「確かに、そうでんな。落ち着くまでは、このままにしときましょうか。いやー、聞きしに勝る聡明さでんな。ほな、夕餉になったら、呼びに来るでな。何かあったら、メイドに言いつけておくんなまし。」
「おじちゃん、モエが起きたよ。マコに、何か言いたそうよ。」
「パパ~、マ~マチュッ!」
「えっと、マコトにキスしろって事かな?」
「知らないわよ、そうなんじゃない。」
「チュッ!」
「ワッ、ワワワワ~!もう、このスケベ親父!」
マコトに殴られて、マレトが堕ちた。
「マ~マ、メッ!」
「マコ、いい加減にしなさいよ。」
「あれ、ここドコ?」
「ごめん、起きてマレト!」
「大丈夫だよ、マコの一撃はご褒美だから。」
全く、この変態オヤジめ。
「どこ、どこが痛いの?痛いの痛いの、飛んでけ~!」
「おい、あんた等!」
【はい、すいませーん!】
「オゥ~!」
モエが、憧憬の顔でマイカを見つめる。
「マコ、今度はちゃんと話聞きなさい。マイトはね、消されてもおかしくない状況だったの。こちらの、聖母一家を罠に嵌めて殺そうとしてたんだから。でもね、聖母の父が闇の世に堕とすだけにしてくれたのよ。」
「闇の世だったら、命は無いも同然じゃない。」
「そうね、でもマレトおじちゃんも闇に堕ちた事があるそうよ。」
「へっ、マレトも。生きてるの、マレト?」
「どうだろう、あまり自信は無いな。」
「そこから這い上がってこれなければ、それまでよマイトは。」
「マコレ、マイトを助けてよ。お願い!」
「バカね、あたしがどんな思いかわからないの?それに、私は今日からマイカよ。昨日までの私は、死んだの。」
「凄ーな、マイカ。それにしても、流暢にしゃべってるな。何が、あったんだ。」
「覚悟かしら、マコにいちばん足りないものよ。」
「マ~マ、マ~マ。」
「まだ、ムリかなぁ。マイカだっけ、ボク正直わからないんだ。」
「ムリしなくて、いいわ。マコは、マコらしくよ。」
夕餉に呼ばれた様だ、話はここまでだ。
「お腹、減ったぁ!」
「うふふ、マコ。」
マイト、早く這い上がって来い。
お前の嫁さん、どんどん化け物じみてるぞ。
「秋人、どうする?」
「瑠亜、ちょっと待ってね。」
『はい、私です。…そうですか、良かった。…姉さんは、今どちらに?…えっ、異世界!何で、そんな所に?…はい、野口さんと合流してラトリアに向かいます。…それでは。』
「兄貴達、異世界に行ったて。」
「はぁ、何考えてんのよ!」
「後処理は、晴明君がやってくれているそうだ。」
「あの、ボンクラが?」
「召喚魔、何億も呼び出したんだって。」
「どう言う事?」
「わからないけど、野口さんに合流してラトリアに行くよ。イワノフさん達は、どうするのかなぁ?」
イワノフ夫婦は、残る事にした様だ。
後でレイナックお父さんに、怒られなければいいんだけど。
私は、瑠亜の転院法術でフェリーに到着した。
「秋人、お疲れ!」
「野口さんも、凄いですね。ミサイル、一発も飛んできませんでしたよ。」
「あれは、元々まこの法術を使っているからな。あいつは、化け物だから。」
「何なん、あの子?」
「姉さんだよ、瑠亜。」
「すいませーん、ミーナさん。娘さん、置いてきちゃいました。」
「レイナックが、半狂乱になるわね。イワノフさんの命日も、近いわね。」
怖いよ、ミーナさん。
「物資もたんまり渡したし、ラトリアに帰るぞ。」
メイドさん達も、ほっとしている。
又、撮影会が始まった。
好きだね、瑠亜…。
《かわいいよ、えるおーぶいいー瑠亜ちゃ~ん!》
相変わらず脳筋な、秋人。