310スシ、食いねぇ。
「へい、らっしゃい!」
「希人、何その格好。それに、いつの間にこんなの用意したの?」
ダイニングに行くと暖簾がかかげられて、中にカウンターとガラスのネタケースがあった。
そして、希人は手拭い巻いて板さんになっている。
「どうぞどうぞ、こちらへ。あがり、一丁。」
「ねぇ、まここれって何?」
「あっちだとね、高級寿司はコックさんに食べたいものをその都度注文するの。んで、この温かい飲み物が、一緒にいただくお茶。後は、このピンクのがお口直しのガリ。ジンジャーのビネガー漬けみたいなの。行儀は悪いけど、手で摘まんで食べるのね。大将、コハダちょうだい。こんな風に、頼むの。みんなは初めてだから、おまかせにしましょ。」
「お客さん、通だね。先ずは、光り物ね。」
「さっ、ミルスさんからどうぞ。舞香は、玉子な。」
「希人、何を塗ったのじゃ?」
「煮切りって奴でさ、とりあえずそのまま一口で食べてくんなまし。」
「んぐっ、あらら生魚なのに臭みが無いわね。ライスも、ふっくらしてビネガーがちょっと効いているのかしら。軽い口当たりで、食べやすいわ。」
「さっ、カミロさんもどうぞ。」
その後、一通り烏賊やらサーモンそして海老や雲丹最後に中トロを出す。
「ムフゥ、美味しい。まこと舞香は、何食べてるの?その黒いのは、何?」
「ん、かんぴょう巻だよ。瓜の漬け物を海苔で、巻いたの。」
「海苔って、この黒い紙みたいなのですよ。海藻を乾かして、作るんです。じゃあ、お二人にはこれ。カッパ巻きと鉄火巻き、瓜とツナを巻いてみました。少し、ワサビって言うスパイス多めにしたんでゆっくり食べてくださいね。」
「あらら、この黒い紙って風味がいいわね。辛~い!泣けて、きちゃった。」
「お茶を飲むと、落ち着きますよ。それね、涙巻きって言うんですよ。慣れると、そればっかり注文する人もいますよ。最後は、だし巻き玉子ね。真と、舞香も食べな。」
「温かくて、ほんのり甘いわ。美味しい、希人もう一つちょうだい。」
「はい、カミロさん。大体、締めに食べるんですよ。お腹は、どうですか?」
「お腹いっぱいだけど、もう一つくらい食べたい。」
「妾も、死んでまうかもしれんがな。」
「じゃあ、最後にボタン海老ね。」
【甘~い!】
小沢さんか!
「ふう、満足じゃあ。」
「妾も、じゃあ!」
「いいな、まこ達は。って、玉子とかんぴょう巻とか言うのしか食べてないよね。」
「真は、好き嫌い多くてなぁ。舞香は、さすがにまだ赤ん坊だからね。」
「難儀だな、お前さんも。」
「幸せですよ、カミロさん。」
「確かに、だからお姉ちゃん放ておいてね。遊びに来る位は、構わないから。」
「わかったわ、毎日来るわね。」
「帰れッ!」
「まぁまぁ、カミロさん落ち着きましょう。お茶、淹れますね。ミルスさんも、いかがですか?」
「もらうわ、このお茶って苦いだけかと思ったらほのかに甘みもあるのね。」
「さすがに、舌がこえてらっしゃる。でも、種類は皆さんが飲んでるお茶と変わりませんよ。手間が、違うだけなので。」
「希人君、向こうからご両親が来るのでしょ。マコレやモエも、連れて来れないかしら?」
「そうですね、今は難しいかもです。義兄さんが何度か行き来する予定なので、落ち着いたらラトリアまでなら連れて来てもらいましょう。前もって、連絡しますね。皇帝と皇后は、無理ですよ。」
「ありがとう、手間かけるね。」
「いえいえ、真がアカテに行ったら門の開閉はミルスさんにお願いするので。」
「へっ、妾か。」
「他に、いないでしょう。」
「お姉ちゃん、私も連れて行ってね。マコレは、私の大事な娘なんだから。」
「じゃあ、毎日遊びに来てもいいでしょ?」
「もう、お姉ちゃん暇なの?」
「皇后の時から、妾はずっと暇よ。」
「はいはい、希人何か姉さんにやらしてよ。」
「イヤー、俺なんかがあれしてとか言えないですよ。」
「希人君、妾に出来る事なら何かするぞ。」
「ミーママ、ホーリヤの閉鎖された聖堂を開放してほしいな。」
「アルフヘイムの丘の、事ね。あれは、マコが封印したものだから。私は無理だけど、舞香ちゃんなら出来るかもよ。」
「えっ、舞香はそんな事した事ないよ。ねぇ、舞香。」
「出来ると、思うよ。んとね、あたちなら鍵開けれそう。ラトリアから、トシおじちゃんの魂喰いを取り寄せられたらね。」
「希人、作れるでしょ?」
「イヤ、舞香のだとこちらの材料では無理だ。それに繊細な加工しなきゃだから、野口にしか作れん。」
「魂喰いって、何だ?」
「カミロさん、防御魔術使えるでしょ?あれの、魔導具バージョンですよ。」
「だから、お姉ちゃんに頼んだのか?」
「そっ、ミーママの防御魔術は無敵だから。」
「今度ラトリア行ったら、おっさんに頼んでおくわ。出来たら、カミロさんに舞香を連れてアルフヘイムの丘に行ってもらっていい?」
「わかった、お姉ちゃんも頼むね。」
「うん、いいよ。やっぱり、妾はヒマだのう。」




