306冥王。
なんで、冥王様がこんな所におんねん。
ここは、闇の世。
冥府とは、似て非なる世界だ。
聖王と聖母の息子が、冥王なんてあり得ないだろう。
まっ、何にしろ助かった。
あの方にお仕えしていれば、上手くやれる。
このヴァーリーの天下も、そう遠くない。
〈おい、真面目にやらないと潰すぞ!〉
「冥王様、何故にここに?」
〈マイトって、呼べって言ったよな。これは、俺の多元意識の一つだ。〉
「申し訳ありません、マイト様。我の忠誠をあなた様に。」
〈そんなのいらんから、とっとと仕事しろ!〉
「はっ!」
はぁ、親子そっくりだな。
大して攻撃力も無いのに、絶対逆らえない。
親父より、質が悪い。
それでも、話を聞いてくれるだけ度量がある。
真面目に、ついて行こう。
あのお方こそ、神を喰えるかもしれないのだ。
ヴァーリーに、西の魔人を連れて来る様に頼んだ。
後は、北と南だが。
南は、厄介だな。
サッキュバスって、あの淫魔だよな。
童貞の俺に、太刀打ち出来るかなぁ?
マコレの等身大ポスターで、耐性作ろ。
心臓が無くなったせいで、耐性が無限になった。
ただ、俺も健全な青少年。
まぁ、父ちゃんも母ちゃん以外としっぽりやってた様だし。
俺も、マコレに失礼の無い様に経験を積むのは悪くないか。
「親分、何エロ本なんか見てるんすか?西の魔人、連れて来ましたよ。」
こいつ、どっから現れやがった。
魔人の能力かも、しれないな。
「おい、こいつがお前の言ってた人族の子供か?」
「あぁ、そうだ。」
「なかなか、旨そうだな。」
「おい、ヴァーよ。お前、どんな説明したんだ?」
「親分が連れて来いって言うから、それとなく上手い話を。」
「まぁ、いいや。おっさん、名前は?」
「そんなもの、あるわけ無いだろう。」
「そうか、じゃあザフトと名付けてやろう。」
「何、勝手な事を仰っておられるのですか?冥王様、果てしない忠義を受け取りください。」
「よし、ザフト。北の魔人を連れて来い!」
「はっはー、仰せのままに!」
「親分、どうなってるんですか?あいつ、相当強いですよね。」
「名付けをしたから、俺の従魔になった。ただ、それだけだ。ヴァーよ、南の魔人を連れて来い。それから、これは今回の褒美だ。」
「凄え、こんなに魔力が込められた物なんて見た事ねえや。これ、もしかして親分の魔力ですかい?」
「あぁ、だいぶ余ってるからな。それだけあれば、元の戦闘力取り戻せるだろう。」
「その力で、親分を攻撃したら…。ウソですよ、簡単に消滅しちまいますわ。親分、ありがとうございます。では、行って参ります。」
何だかヴァーの奴、気安くなりやがったな。
まっ、いいか。
俺は、多元演算で晴明先生の位置を割り出す。
近くにいる召喚魔に意識を飛ばし、先生に接触する。
「おっ、マイトか?意外と、早かったな。」
「これも、晴明先生のおかげです。」
「んで、困った事でもあったのかい?」
「いえ、闇の世に残っている魔人はこちらで使役してよろしいのですか?」
「いいよ、足りなかったらそっちに戻してもいいけど。」
「大丈夫かと、思います。又、逐一報告はさせていただきます。」
「硬いな、マイト。もっとフレンドリーに、行こうよ。」
「いえいえ、先生の教えがなければここまで出来ませんでした。清濁併せ呑むなんて、俺には無理だったんです。」
「そっか、気楽にな。マコレちゃんは、元気にやってるから心配するなよ。マイトの事、黙っていて良いのか?」
「はい、まだまだ許される事は無いでしょうから。」
「ほな、のんびり頑張りや。」
「ありがとう、ございます。」
まだまだか、確かにそうだな。
冥王って言っても、目覚めたばかりのガキだしな。
自覚はある様だから、これからだろう。
しかし、あいつの敵がこの神である俺だとは思うまい。
希人も真も、異世界は俺が作り出した物だとは信じられまいな。
まぁ、良い。
なかなか、面白い物を見さしてくれる。
落ち着くまでは、介入させて貰おう。
しかし、この収支報告書って何だよ。
経営者って、こんなにやる事あんのか?
アイツら、荒事は好き好んでやる癖にこういう事は誰も代わってくれない。
闇の派遣業者なんか、やるんじゃなかったよ。
異世界からも派遣頼まれたし、給料明細とかやる事多過ぎ。
幼児に社長は、ムリ!
父ちゃんに、丸投げしようかな?
「父ちゃん。」
「あぁ、マージンは50%な。晴明、息子だからって甘えるなよ。」
「そんな、殺生な!それで、いいです。よろしく、お願いします。」
母ちゃん、世界一のお金持ちは父ちゃんだよ。




