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2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~  作者: take4
第五章 雄飛編(新たなる階梯へ)

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第八十三話(カイル歴506年:13歳)第二回収穫祭

バタバタの準備だったが、なんとか収穫祭を実行するまでに至った。



「遅くなったが、これより第二回テイグーン収穫祭、および戦勝記念祝賀会を始めます。


みんな、本当にありがとう、テイグーンが勝利できたのも皆の協力のお陰です。

改めてお礼を言わせて欲しい。


これからテイグーンはもっと大きな、安心して暮らせる街に、どんどん発展させていこうと思っている。

また、今、準備を進めている、合同最上位大会も、皆の力を是非貸して欲しい。


皆が守った街を、もっと住みやすい街に。

大地の恵みに、そして皆の勝利に、乾杯!」



「皆の勝利に!」

「テイグーンの未来に!」

「我々の街に!」



やっと自分の街、テイグーンに帰ってきたと実感できる。



これからも、やるべきことは盛り沢山だ。



以前に増して開発もできる!

防衛施設も強化できる!

労働力もふんだんにある!

その為の資金も潤沢にある!

辺境騎士団の支部もできる!



以前の、ないない尽くしだった頃と比べると、大きな変化だ。大躍進と言っていい。


この結果を、なにが何でも、明るい未来につなげていきたい。

少し前の状況が嘘みたいだ。


テイグーンの人々は祭りと、自らの手で守り、勝利した喜びを改めてかみしめていた。



因みに今回の祭りは、以前に増して大盤振る舞いだ。

前夜祭を含め、3日間の酒、飲み物は全て無料。

祭りの会場で出される、夜の食事も全て無料とした。


各飲食店には対価を支払う約束で、食事と酒などを無料で出してもらった。


裏方に回る人たちも交代制にして、全ての人が祭りを楽しめるようにお願いもした。


※


そして、収穫祭の振る舞いはグリフォニア帝国軍の捕虜達にも届けさせた。


彼らは街の入り口を入ってすぐ、第四区画の傭兵団屯所の脇に設けられた、臨時の捕虜収容所で暮らしている。


日々の食事と清潔な寝床、行動の自由はないが、身の安全を保障していた。


少ないながら、労役に対する対価も支給している。

衣食住が基本無料で、納税の義務もない。

なので彼らは、商人を通じ故郷に仕送りもできる。


手紙や仕送りについて、勝手に送ることはできないが、こちらが用意した指定商人のルートを通せば、それらは不可能ではない。

手紙は検閲を受けたうえで、の前提にはなるが。



捕虜たちの代表は、マスルールという男だ。

関門の戦いで自ら投降してきた兵らしい。

俺も一度会って話したが、誠実で信用できる男の様に感じた。



「私は帝国の第三皇子に以前、恩を受けた者です。

仕える主君を誤り、不本意ながら第三皇子に敵対する、第一皇子の陣営に身を置いて居ました。

此方の皆様には、もはや何の遺恨もございません。


逆に、多くの同胞を救っていただいたこと、亡骸を丁重に埋葬いただいたこと、感謝しております。

今後は、私のできる範囲で協力させていただきます」



そう言った彼は、言葉だけでなく、行動でもそのことを示しており、我々への協力と、捕虜たちの待遇改善などに日々奔走していた。



「彼は非常に有能な男です。

できれば此方の陣営に取り込みたいぐらいです」



ミザリーさんは苦笑しながら彼をそう評価した。

彼のお陰かどうかは不明だが、捕虜の中にも協力的な者は多かった。



俺は今回の戦役で、大量の捕虜を得たと聞いた時、テイグーンの町では、日露戦争時に四国で設置されていた、松山の俘虜(ふりょ)収容所をモデルにした対応を進めたかった。


個人的な思いだけの偽善、そう言われても仕方がないが、戦役で多くの命を奪った贖罪の意味もあった。



実際、ローザ、ミア、ラナトリアを始め、施療院の者だけでなく、町の人々は、先ほどまで戦っていた敵軍である彼らを、必死に、そして親身に介抱していた。



重傷を負い、味方にも見捨てられた者が、自分たちが襲おうとしていた街の人々から、手厚い看護を受けたこと。


捕虜収容所では、自国ではありえない好待遇と、捕虜に対し、少ないが賃金まで支給したこと。


無聊(ぶりょう)を慰めるため、収容所前では市が立ち、支給された賃金で、捕虜たちは買い物もできたこと。



こういった事が、多くの捕虜の敵愾心をゆっくり、だが確実に消していった。


中には、将来は入植者としてテイグーンで暮らしたい。

そう漏らしている者もいるらしい。


※


前夜祭のあと、祭りの初日は、慰霊祭から始まった。

俺は勝利を祝う祭りの最初に、どうしてもこれをやりたかった。


戦没者へ祈りを捧げる時には、捕虜の中でも希望者は参列する事を許可した。


戦没者に贈る言葉、これを捧げている時も、亡くなった彼らの顔が頭に浮かぶ。


クランのこと。

俺の独走で死なせてしまった騎士たちのこと。

兄を守って死んでいった者たちのこと。

傭兵団の戦死者のこと。



改めて、彼らに心から感謝し詫びた。

気付けば、また泣いていた。



「陣営は違えど、故国のために戦い、戦陣で散ったすべての魂に、哀悼の意を表し黙祷」



なんとか、それを言い切った。

そして、式典が終わったあと、人目がない場所で、また泣き、かなり落ち込んでいた。



俺自身、あれ以来、少し情緒不安定になってしまったことを自覚している。

戦いのない世界に生きた、【ニシダ】の常識に、俺の心がさいなまれる。


心の中でニシダだった俺が、敵味方、多くの命を奪ってしまった俺自身を責める。

人目を忍んで、俺はうずくまっていた。


そんな時、背中がすごく安心できる、優しい感触に包まれた。

そう、俺は後ろから抱きしめられていた。


またアンに、余計な気を使わせちゃったな……

そう思っていた。



「タクヒールさま、クランをはじめ、52名の騎士たちは、領主さまから、こんなにも思っていただいて、きっと喜んでいると思います。


彼らは、自分達のために、タクヒールさまが悲しみで沈みこむ、そんなお姿は見たくないと思います。笑って送ってあげてくださいな」



この声は……、クレアだった。



「クレア、ありがとう。


テイグーンが襲撃された時も、ミザリーさんの窮地を救ってくれたこと、敵を撃退するため、心ならず最後の決断をしてくれたことも聞いた。


クレアが仲間でいてくれて、本当に良かったと思う。

最後まで悩んだけど、クレアをテイグーンに残していって、本当に良かったと思ってる。


クレア、こんな形で俺に見送らせるような事は、絶対にしちゃダメだぞ。

そうなったら俺は、もう立ち直れない」



あれ?

慰めてくれてた筈のクレアが……、今度は泣いていた。


※


夜になって収穫祭第二夜が始まった。


俺は、会える事をずっと楽しみにしていた、ある人物と再会するため、中央広場の屋台の一角に居た。



「この度のご戦勝、おめでとうございます。

領民の一人としてお祝い申し上げます。


また、私のような身分の女に対して、わざわざこちらまでお越しになり、お声を掛けていただいたこと、大変申し訳なく恐縮する気持ちでいっぱいです」



昨年、たまたまこの場所で会って話した、ヨルと名乗った女性、彼女は演説中のミザリーを助けた、今回の防衛戦での立役者のひとりだ。


そして余談だが、彼女の言葉のお陰で、娼館誘致の件でも母の怒りに触れることもなく、事なきを得た。

俺はどうしても彼女に再会し、礼を言いたくてここに来てもらった。


俺が直接娼館まで出向くわけにはいかないし。



「いえいえ、ヨルさんの言葉で、テイグーンは救われたんです。

貴方の言葉があったから、皆は俺の残した言葉を聞いてくれた。

本当にありがとう、ずっとお礼が言いたかった」



俺は彼女の名前が、【ニシダ】が知っていたキャラクターと同じ名前で、黒髪ロングの美人だったから、凄く印象に残っていて覚えていた。



「勿体ないお言葉、恐縮です。

ここに住まわせていただいている者の一人として、当然のことをしたまでです。

以前お会いした時は娼館で使っておりました名前の、ヨルと名乗っておりましたが、本当の名前はヨルティアと申します」



「えっ!」



俺の中に衝撃が走った。


魔法士候補者のリストの中で、めちゃめちゃレアな魔法スキル、重力魔法士のスキルを持つ、ヨルティア・クライス。


エストの街で暮らす、貴族以外では珍しい、ファミリーネームを持つ女性。


簡単に見つかるだろう、そう思っていたが、消息も全く掴めず、全然見つからなかった。

その人が、ここに、目の前に居た。



「失礼に当たったらゴメンね。もしかしてヨルティア・クライスさん?」



ヨルさんは、目を丸くして驚いた顔をしていた。



「仰せの通りです。既に名乗るのを止めていましたが、父はエストの街で商人をしておりました。



クライスは何代か前の当主が、クライス男爵家の3男で、家門は継げない代わりに、苗字だけは名乗る事を代々許されておりました。


父は商売上の投機に失敗し、全てを失いました。

借金の返済も滞り、私がエストの街の娼館に引き取られ、テイグーンに娼館ができる時に、こちらに移り住みました。


それにしても、どうして私の苗字をご存じだったのでしょう?」



「あ、父が商人達とは交流があったから、色々と……」



うん、言い訳としては30点以下だな。



「それより、ヨルティアさんには今後、行政府や受付所など、俺の下で働いて欲しいんだけど……

ダメかな?」



「私の様な者が、タクヒールさまの元で働くなど、お名前を汚してしまいます。

また借金の返済もありますし、ご容赦ください」



「それは気にしないで、ヨルティアさんの正直な気持ちだけ聞かせて。

働きたい? 働きたくない?」



「……、私も以前お会いした時に、領主さまから掛けられた言葉に感動した者のひとりです。

こんな私でも、叶うのならば、働きたいです!」



はいっ! ありがとうございます。



これで決まりだ、俺は大喜びだった。

ご覧いただきありがとうございます。

ブックマークやいいね、評価をいただいた皆さま、本当にありがとうございます。

凄く嬉しいです。毎回励みになります。

また誤字のご指摘もありがとうございます。

こちらでの御礼で失礼いたします。


これからもどうぞ宜しくお願いいたします。


<追記>

七十話~まで毎日投稿が継続できました。

このまま年内は継続投稿を目指して頑張りたいと思います。


日頃の応援や評価いただいたお陰と感謝しています。

今後も感謝の気持ちを忘れずに、投稿頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 誤字? 以前は娼館で使っておりました名前→手前、ヨルを名乗っておりましたが、本当の名前はヨルティアと申します
[良い点] アニメ化したらキャスト決まったやつですねヨルさん 重力魔法とかあるのか 土で塊を作り重力で空に落下、風で前方に押して火で燃やせば必殺メテオストライク!
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