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第二話(カイル歴496年:3歳)やりなおしの世界(この世界)の考察

2024/1/15追記

・本文中にエストール領の地図を追記しました

3歳になる頃には少し周りの世界も見えてきた。



どうやら前回の記憶も交え考察すると、この世界は産業革命前の中世ヨーロッパになんとなく似ている。


ただ、希少ながら魔法を使える者も存在し、ある側面では魔法頼りになってしまい、文化の発展は少し歪な感じもする。


前々回、ラノベでよく読んだ異世界、それに似ていると感じた俺は、少し嬉しくなった。

俺も相当……、ハマってましたから。



今はまだ3歳の幼児、だから誰も俺の言うことをまともに聞くはずもない、色々やりすぎると不気味がられるだけだ。


幸い、俺には前回、前々回と生きた記憶も今ははっきりと残っている。その為、前回とは全く違うスタートラインに立てていると思う。


更に、俺の記憶がおぼつかない部分、【前回の歴史】で、俺が幼少期の出来事は、正直あまり記憶にない。


だが、今の俺には、俺の魂と共に、こちらに飛ばされてきた【ソリス男爵領史】がある。

これが俺の記憶を補完してくれるはず。



色々実行計画を立てる前に、先ずは現状確認と、必要な情報と状況を整理してみた。




<エストール領について>


俺たちが住まう、ソリス男爵の領地はエストール領と呼ばれ、カイル王国の南側最辺境にある。

辺境のため、領域は広大だが、未開発地も多い。

父や母の活躍により、鉱山と、農業、交易による収益が領地を支えている。



人口約7,000人だが、未開の地も多く、その領地は広大な辺境領で、領主は人口約1,800名のエストの街で暮らしている。


領地は、エストの街を中心に、他4つの町、農村が25か所あり、動員可能兵力は約450人(常備兵+兼業兵士)で、一般の男爵領に比べると兵力は多い。


それは、国境に位置するためで、国境を巡る戦役には常に従軍していることが、一番の理由だ。


挿絵(By みてみん)



<カイル王国について>


この部分は、【前回の歴史】を生きた俺の知識だ。

カイル王国は、周囲の国家と比べても、比較的豊かな中堅の国家で、四方は山に囲まれた内陸国。

農業と牧畜、そして鉱山収入が中心で、国王と多くの貴族が支配する王政を敷いている。


王国の南及び東の辺境区域、他国との国境線の手前には、魔物が生息し、人外の領域となる魔境が広がり、それが恩恵をもたらしたり、唯一通行可能な国境の街道を通じて、紛争の火種にもなっている。



王国全体の人口は、約300万人程度といわれるが、戸籍制度がないので、実際は怪しい部分もある。

国土は、隣国の4か国と接し、南と東の2国とは常に争っている。

特徴としては、魔法先進国で他国に比べ多くの魔法士を抱えることが強みとされている。



制度としては、王家を中心に貴族が王国を支えている。


上位貴族として、公爵、侯爵、辺境伯が要となり、

中位貴族として、伯爵が中堅となり、

下位貴族として、子爵、男爵があり、

準貴族と呼ばれる、準男爵、騎士爵は、世襲が認められず、一代限りの貴族階級となる。




<回避すべき大きなフラグ>



10歳:大洪水:オルグ川の氾濫で穀倉地帯は壊滅する(穀倉地帯中心にある町は濁流に沈む)


13歳:戦災:グリフォニア帝国軍の侵攻で兄を失う(男爵軍も多くの兵を失い、弱体化する)


16歳:疫病:父、母、妹、家宰が疫病にかかり病没(領民の2割も病死、領内は大きく混乱する)


19歳:干ばつ:大飢饉で領内は困窮し飢餓に喘ぐことに(領民2割が逃散や死亡し領地は大きく傾く)


20歳:終焉:グリフォニア帝国の侵攻で敗北し処刑(俺の刑死で男爵領は消滅し、男爵家は断絶)



グリフォニア帝国との関係も、今の状況は詳しく知らない。

俺が知る知識は【前回の歴史】の16歳以降、男爵家当主になってから得たものだ。


ちなみに、現皇帝の統治している間は、国境紛争と呼べる小競り合い程度。

常勝将軍と呼ばれるヴァイス将軍が、第三皇子に重用され始めると危険信号。


第三皇子が帝国の南方で勝利すると、フラグが発動する。皇位継承権に勝ち、帝国の体制が固まる。

彼が皇帝に即位し、勅命を受けたヴァイス将軍が軍団を率い侵攻してくると、そこで終わり。


予想外の侵攻ルート、侵攻速度の2つに翻弄され、俺は敢えなく敗退し、降伏する事になる。



だが、実は……

俺が10歳になる以前にも、エストール領は、色々な災厄に見舞われていたらしい。


俺は幼少で、記憶になかったが、【ソリス男爵領史】には記載があった。


これに依ると、正直言ってそれなりに大きな災厄が、俺の知る最初のフラグの前に起こっている。

これらでダメージを蓄積し、余力を削られ、最後に、この5つの災厄に見舞われたことになる。


まさに、踏んだり蹴ったりの惨状だ。

これら全てを回避する方法、あるんだろうか?


なんとしても考えなくてはならない、そう思う俺の前途は、まだ真っ暗だ。




<この世界における権限と固有スキルについて>


〇権限について


領主の統治能力に応じて発現するスキルが【権限】で、権限の発現には領主、一族の能力が一定値以上必要となるらしい。


権限は、治める領地や領主の特性により異なり、領民や領地に、加護を与えるものらしい。

ソリス男爵(父)の権限は商業発展向上で、領地の商業発展の一翼を支えている。


【権限なし】とは、権限が発現しない領主の蔑称で、領民からは信頼されていない。



〇固有スキルについて


【固有スキル】は権限と連動しもたらされる物で、領主だけでなく、直系の領主の一族にも発生することがある。


固有スキルが発生した者は、特定の魔法が使え、異なる固有スキルを持つ親に生まれた子は特殊な固有スキルをもつことがある。


固有スキルの魔法は、通常の魔法士適性とは全く別のもので、ごくごく稀に両方を持つものがいる。


一旦使える様になった固有スキルは、領主が引退、罷免などで交代したり、娘が他の領地に嫁いだりしても消えない。




<魔法について>


魔法士とは、固有スキル以外の魔法が使える者を指し、彼らは【魔法士】と呼ばれ重用されている。

彼ら魔法士の存在は、5,000人に1人程度と言われ、非常に希少。


魔法士になるには、魔法適性に合わせた儀式を、教会で受けることが必要で、儀式には、本人の属性に適合する触媒が必要になる。


その触媒は、魔境に生息する一部の魔物からしか取れず、非常に高価で、一般の領民では購えない金額になっている。


魔法士の適性を持っている者が非常に少なく、魔法士になるために必要な触媒が非常に高額なため、

誰もが気軽に魔法適性を確認できるものではないのが現状だ。



仮に魔法士の適性があっても、適性に合った正しい触媒を使用しないと、高額な儀式、触媒は無駄になる。


儀式を受けなければ、魔法士適性があるかどうか、わからず、当然魔法も使えない。


言い伝えや伝承をもとに、明確な根拠がないまま、様々な適性の儀式を、アタリが出るまで受け続けること、それは金額的にも精神的にも大きな負担だ。


そのため魔法士は、一部の有力貴族やその支援を受けた者、大商人や教会有力者が支援しているものなど、実質、限られた者しかなれない。


魔境があるカイル王国は魔物から触媒が得られることで、他国に比べて魔法士の数が多く、魔法先進国の地位を確かなものにしている。


そのカイル王国でさえ、魔法士の人口比は5千人に1人で、他国はもっと少ない。


近隣国は魔法士の脅威排除、魔境から得られる触媒の利権が欲しいため、グリフォニア帝国を筆頭に虎視眈々とカイル王国を狙っている。




<過去(未来)から送られた歴史書について>


両親は福音書と呼び、大切に保管していたので、3歳になって再び手にしたとき、初めて気付いた事があった。

この本、何故か全て日本語で書かれている。

当然……、俺しか読めないよね。



本の表紙には【ソリス男爵領史】と記載されており、文字は何故か日本語で記載されている。

そのため、俺以外は読めない内容だが、両親はこの本を天からの授かり物と思い、大切にしている。



ソリス男爵領史には、男爵家の紹介、俺が処刑されるまでのソリス男爵が治める領地の歴史が叙事詩の形で記載されていた。


その他、20歳時点での領地の地図、農地や収穫量、鉱山の概要が記載され、最後に領民一覧(8,000人以上……、見る気がしない)が記載されていた。

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