登場人物紹介① 一般(カイル歴511年時点)
今回と次回の登場人物紹介ですが、追加エピソードなども反映した結果、非常に長くなってしまいました。申し訳ありませんが、その点ご容赦ください。
● 最近の話題に登場している人物
〇 最近の話題に登場していない人物
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ソリス家一族
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●ソリス・フォン・ダレン伯爵(44歳)
タクヒールの父で、2男1女の伯爵家の家長。
武勇に優れた指揮官で、帝国が初めて侵攻してきた際の武功で、騎士爵から男爵へと昇爵し、エストール領の領主に任じられた。
本来武勇で名を馳せ、商才をいかし領地を豊かにした人物であったが、次男の登場で立ち位置が大きく変わってしまった。相場を活用した投機や、戦役での褒賞や鹵獲品、好景気に沸く領地で一気に豊かになってしまった結果、貴族としての嗜み(娼館通い)を満喫するようになってしまった。
幾度となく妻や娘から断罪イベントに召集されるが、それに懲りている様子はない。
かつて知るの父の姿(2回目の人生)から、歴史改変に伴う変貌に、息子が罪の意識を感じているのを知らず、今は魔境伯領の制覇(テイグーン、宿場町、イシュタルの全娼館)を目標に掲げている。
幾度となくあった戦役で名を馳せ、男爵から子爵に、内乱鎮圧で子爵から伯爵に昇爵した。
●ソリス・フォン・クリス伯爵夫人(37歳)
タクヒールの母で、かつてはコーネル家の将来を嘱望された、内治に優れた才女。
現在もソリス伯爵家の采配は、彼女が握っており、事情を知る辺境伯も彼女を高く評価している。
次男の告白により、肉親の中では唯一彼の秘密を知っている理解者となり、母親として、息子を守るために、全てを打ち明けられる女性(妻として)配するなど、その行動力と先見の明に秀でている。
まれに、夫や長男のご乱行に対しては、般若と化し断罪するものの、ある程度は大目に見ている。
疫病発生時にエストの街が機能不全に陥ったのも、彼女が病床に伏したことが原因と言われている。
最近は、自身の血を濃く受け継ぎ、持ち前の気の強さと政治力、あざとさを兼ね備えた娘に対し、婿のなりてを心配している。
●ソリス(ハストブルグ)・フォン・ダレク子爵(21歳)
長じてからは唯一の1敗以外は、無敗の剣の腕を持ち、剣聖の称号と、軍略や用兵の才能、兵たちからの高い人望でハストブルグ辺境伯からも後継者に望まれた。
反乱鎮圧ではその将才を如何なく発揮し、勲功第一を表されている。
唯一の敗戦、無様に大地にへばりつかせたのが、弟の妻であったことを、彼は誰にも語らない。
光魔法の使い手で、ソリス家の若き勇として、戦場で幾度も活躍した結果、準男爵から男爵、さらに子爵へと昇爵し、反乱軍に参加した、子爵家と男爵家の領地を拝領し、領主貴族となっている。
現在は辺境騎士団の将として、4,000騎を率いる、打撃部隊を任されている。
かつては優秀な弟にコンプレックスを抱いていたが、成長するにあたってそれを克服した。
戦友の死を忘れるため始めた、娼館通いも、母、特に妹に弾劾されたことに猛省し、自制した結果、復権派の罠をうまく脱することができた。
●ソリス・フォン・タクヒール魔境伯(18歳)
過去の歴史知識を活用し、家族を窮地から救い、ソリス男爵家を子爵へと昇爵させた影の功労者。
テイグーン一帯の領主として街を開し、自ら発掘した魔法士を率い、転生前の知識を使い活躍する。
彼の意向により、用意周到に開発された街とその一帯は、幾度となく戦禍を乗り越え、王国中にその名を轟かせた。これらの戦功により、無位無官の身から、一気に男爵まで昇爵し、その後は二段飛びで辺境伯待遇の魔境伯まで昇爵している。
母の仲介により結ばれた4人の側妾と、周囲の意向でなし崩しに決まってしまった正妻に支えられ、この先訪れる、歴史との対決に備えている。
●ソリス・フォン・クリシア(16歳)
両親やふたりの兄にも溺愛され、甘え上手の刺し上手をうまく使い分けるように成長した。
特に年齢の近い次兄には、非常に懐いており、ちょっとした様子の変化から物事の機微を見分ける観察力を身に着けており、次兄のことを『分かりやすくて優しいお兄様』と公言して憚らない。
幼いころはとちらかと言うと、潔癖な性格だったが、成長するにつれ寛容になり、タクヒールに4人の妻がいることも、更に大好きなユーカがその妻に加わることも素直に喜んでいる。
周囲から若き頃の母に似ていると言われ、才気を示しだした彼女に対し、2人の兄は、妹と仲の良いそれぞれの妻が染まらぬよう心配しているが、実はこの3人が似たもの同士であることを、まだ彼ら2人は知らない。
●ソリス・アン(28歳)
タクヒールが最も信頼する4人のひとりで、彼の側妾(筆頭)のひとりである。
当初は幼さに似合わず、大人の思考をする主人(夫)を不気味に思い、辛く当たり忌避していた。
だが、彼の思いを理解したあとは、一番の崇拝者を公言して憚らず、誠心誠意彼を支えた。
平素は凛とした佇まいで、表に感情を出すことがないが、夫のことになると一気にデレることがあるが、本人はそれが周りを唖然とさせていることに気付いていない。
主人かつ夫に対して、専属メイドとして世話役だけでなく、達人の腕を持つ剣技で護衛として傍に控え、時には相談相手や叱咤するなど、陰ながら夫を支え、一心同体に近い存在として際立っている。
最近は正妻であるユーカの勧めに従い、妻たちと共謀してある計画を進めている。
●ソリス・ミザリー(25歳)
タクヒールが最も信頼する4人のひとりで、彼の側妾のひとりである。
テイグーン一帯を統治する行政府の長として活躍し、現在は魔境伯領の家宰として、名実ともに領地経営を支える重責を担っている。
以前は、プレッシャーのなかクレアに励まされたり、レイモンドから叱咤されるなど、弱さを見せていたが、ある時を境に覚醒し、レイモンドに匹敵する器量と行政処理能力を見せるように進化した。
前回の歴史では、妻たちを含め、現在の主要人物のなかで唯一、タクヒールと長期間に渡り行動を共にしており、彼とともに傾きつつある領地を支えるため奔走していた。
当時のタクヒールは、彼女に好意を持ちつつも、貴族に定められた婚姻統制により、思いを告げることを断念していた経緯がある。
●ソリス・クレア(26歳)
タクヒールが最も信頼する4人のひとりで、彼の側妾のひとりである。
アンを除けば最古参の仲間で、タクヒールが考案する施策の担い手として、長く実施に務めてきた。
アンがタクヒールの心を一番理解していることに対し、クレアはタクヒールの施策とその想いを一番理解している、そう言われ双璧をなす。
タクヒールからは、『留守中はクレアが居てくれれば後顧の憂いはない』とまで言わしめている。
魔法士として、他の魔法士たちからの信頼も厚く、頼れる相談相手となり、心の支えになっている。
孤児院から拾い上げてもらって以来、ずっとタクヒールを尊敬しており、その感情はいつしか恋慕の情愛へと進化していた。それもあり、妻となるまでは感情の起伏も大きかったが、妻となって以降、より客観的に物事を捉えられるようになっていった。
●ソリス・ヨルティア(25歳)
タクヒールが最も信頼する4人のひとりで、彼の側妾のひとりである。
当初は娼館で働いていたことを引け目に思い、遠慮して目立った行動や言動を自制していたが、他の妻たちに叱咤されて堂々と振舞えるようになっていった。
娼館から救ってくれたクリスを、そして妻として迎えてくれタクヒールに多大な恩義を感じている。
商家の出身で、商取引や経済に明るく、行政面ではミザリーの支える存在として頭角を現す。
また、夜の街の事情に通じていることから、自ら中心となって構築した通報システムは、テイグーンの街の治安を支える、重要なものとして機能している。
傭兵団のキーラに体術の教えを請い、誰が見ても重力魔法を使ったと分からない、合気道のような体術と、アンに教えを請い、剣士相手の対処を会得し、タクヒールを戦場で守るため密かに修練を積んでいる。その成果は、剣聖であるダレクを一瞬で打ち破れるほどの実力を持っている。
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ソリス家陣営
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●エスティア・レイモンド:39歳
コーネル家でクリス付き文官だったが、彼女の輿入れに付き従い移住、後日ソリス家の家宰となる。
クリスと共に内政で才能を発揮し、ソリス家の発展に大きく寄与した。
タクヒールの才能にいち早く注目し、密かに支援を行っており、彼を最も崇拝する者と自称する。
タクヒールの施策実現のため陰で動いたり、優秀と見込んだアンを専属メイドに送り込むこと、優秀な行政官のミザリーをタクヒールの事業に据えるなど、人材面でも多大なフォローをしている。
タクヒールが思うように内政に注力できたのも、彼の庇護と応援があって実現したと言われている。
〇エスティア(コーネル)・サラ:33歳
コーネル男爵家の分家出身で、クリスの専属従者として彼女の輿入れに付き添い移住してきた。
地魔法の血統スキルを持ち、テイグーン一帯の開発事業を支える重要な人材として活躍し、前回の歴史では彼女と家宰、互いに想い合いながら、結ばれなかった経緯を知るタクヒールの提案と、事情を知ったクリスの応援により、晴れて思いが遂げられて結ばれた。
〇ミゲル
昇爵前のダレクと戦場で駒を並べて戦った戦友で、戦傷を負いソリス家の料理長として雇用された。
彼により乾麺の開発、蕪の食材利用などが進み、後年のイストリア皇王国の戦いで使用された唐辛子兵器をタクヒールが思いつく切っ掛けを作った。
〇ゲルド工房長(←親方)
エストの街に工房を構え、タクヒールが依頼した商品開発で工房は急成長し、そこから多くの親方たちが育った。その後、多くの親方を配下とする工房長となり、カイル王国有数の工房に成長した。
タクヒールがテイグーンに移動した後も、幾度となく大きな発注を受け、多大な恩義を感じている。
●カール工房長(←親方)
ゲルド親方の弟子であったが、独立し親方となる。その優秀な腕で、タクヒールの依頼をこなす。
テイグーンには、率先して入植し工房を開き、親方として兵器開発、商業販売で活躍する。
タクヒールより任命権を与えらせたミザリーより、工房長から工業開発部門担当行政官に登用され、テイグーンとガイアを一大生産拠点へと発展させる立役者となる。
タクヒールが受注してくる兵器も、彼の活躍なしには生産が追い付かず、対応できなかっただろうといわれ、首脳陣からも一目置かれている。
●ヴァイス・フォン・シュバルツファルケ男爵
双頭の鷹傭兵団の団長と、辺境騎士団支部団長を兼任し、魔境伯軍の総指揮官となっている。
タクヒールに多大な恩義を感じ、漢気溢れる対応や、戦略、戦術面でも常に彼を支えている。
その訓練指導は厳しく、鬼と呼ばれるが、脳筋集団を虜にする何かがあるらしく、崇拝者も多い。
剣鬼の腕前の剣技と、軍略に優れ、智勇兼備の者としてダレクや辺境伯からも高く信頼されている。
『前回の歴史』ではグリフォニア帝国の将軍として、本人の意思に反し、ソリス男爵家を滅ぼすことになってしまった。
ヴァイス家では代々、剣技に突出した者には「ファルケ」の名が与えられる習わしで、シュバルツファルケはその中でも最も優れた者しか与えられない名前となっている。
●キーラ
2人いる双頭の鷹傭兵団副団長のひとり。傭兵団のなかでは、数少ない女性だが、その腕は並みの男を寄せつけないほど優秀。前線には出ていないが、団長より留守を預けるに足る信頼できる存在として、重用されている。幾多の防衛線で味方を支え、テイグーンが攻撃された際も、クリストフやクレアなど、タクヒールの配下を助け、粘り強く戦線を支えて活躍した。
●グレース神父
もともとは辺境域に派遣された地方教会の司祭であったが、疫病の対応で教会に貢献したとして、一気に中央教会の司教(任地はテイグーン)に大出世し、南部辺境域の境界を統括する立場にいる。
タクヒールからは、『分かりやすく優秀な、味方とすべき小悪党』と称され、金貨を提供できる関係が維持できれば、投資額以上の働きをしてくれる『働き者』として、信頼されている。
●魔法士たち(別途記載)
●シグル
タクヒールが歴史書の特性欄から見出した剣の使い手であり、主人と共に王都の学園、騎士育成コースに送られた、次代を担う剣士の男性。腕前は剣豪。
学園内での護衛役と、優秀な生徒を報告する役目を務めている。
剣技では同じ剣豪のタクヒールには、実戦経験が少ない分一歩及ばない。
●カーラ
タクヒールが歴史書の特性欄から見出した剣の使い手であり、主人と共に王都の学園、騎士育成コースに送られた、次代を担う剣士の女性。腕前は剣鬼。
学園内での護衛役と、優秀な生徒を報告する役目を務めている。
剣技では、入学早々にタクヒールの腕前を超えていたが、学園で3年になるまで主人を気遣い、絶妙な立ち位置でいるよう調整していた。
●アルテナ
テイグーンの領民出身でタクヒールが歴史書の特性欄から見出した射撃の名手で、その実力は多くの風魔法士を凌ぐ。魔境伯領内のクロスボウ射撃のランキングでは、別格とされる上位5人の中に入り、リリアに次ぐ腕前と言われている。タクヒールが戦力として密かに囲い込んでいるひとり。
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ハストブルグ辺境伯陣営
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●ハストブルグ辺境伯
カイル王国南部国境の防備を任されている実力者で、ダレクやタクヒールを始めソリス家の庇護者。
男児に恵まれず、末娘フローラをダレクの妻にし、ダレクを正式に後継者として定めた。
これまで圧倒的に不利な状況で、グリフォニア帝国のとの戦いが続き、反乱の終息で少し戦力が強化されたことに安堵のため息を付いている。
今は自身を含め、国境での戦力強化に余念がない。
●ハストブルグ・フォン・フローラ(19歳)
ハストブルグ辺境伯の末娘で、父に溺愛されており、ユーカ、クリシアたちとも非常に仲がよい。
大人しくのんびりした性格だが、考えている事は父親の思った以上に大人で、ダレクと共に辺境伯家の未来を考え、その柱石たらんと覚悟している。
夫となるダレクには、結婚後に彼女の隠された性格と、知っていた秘密を告白し、ダレクを驚愕させるとともに、新婚早々からマウントを取ってしまう。
尻に敷かれたダレクは、弟、まだ見ぬ妹の夫となる人物も、同じ未来を辿ると思い瞑目する。
●キリアス子爵
辺境伯の懐刀と言われる実力者で、辺境伯の娘を娶り、後継者候補の一人として目されていた。
子爵領ながら、魔境の恩恵を受けた領地は豊かで、実力は伯爵相当と敵国からも注目されていた。
生真面目な性格と、自身にも他者にも厳しい一面があるため、優秀だが陰のある近寄り難い人物として、人望では同じ後継者候補のダレクに劣っていた。
辺境伯が早々にキリアス子爵を後継者にしなかったのも、ゴーマン、ソリス、ヒヨリミなど曲者揃いの領主をまとめる人望に不安を感じていた結果であり、その点は本人も自覚していた。
2家が伯爵へと昇爵したことに焦りを覚えており、今後戦場での突出が心配されている。
●ゴーマン伯爵
ソリス子爵領と西側を接する領地を治めており、武勇に優れ、配下も精強で幾度も戦場で活躍した。
不幸な出来事で、融通の利かない傲慢とも取れる性格になったが、本来の性格は不器用だが潔い。
だが、娘と義理の息子以外の前では、以前と変わらない仏頂面で、笑うことがないため、たまにその笑った姿を見た周囲の者たちを驚愕させる。
娘の婿にと望んだタクヒールには、自らも学ぶべき点が多いと感じており、彼の施策をいち早く積極的に取り入れ、自身の領地でも展開しているため、領内は豊かであり、クロスボウのレベルも非常に高い。
●ゴーマン(ソリス)・フォン・ユーカ準男爵(17歳)
ゴーマン子爵家の長女で、子爵家の為に出奔した前妻との間に生まれる。
長年苦労して育つった結果、思いやりのある優しい性格で、父親の心の拠り所となっている。
優しく儚げな深窓のご令嬢の一面と、父譲りの胆力を持ち、反乱時は領民を指揮し戦場で活躍する。
風の血統魔法を行使し、クロスボウの腕前では夫となるタクヒールを驚愕させる。
また、賭け事とハチミツに関しては、少し人格が変わり、タクヒールも頭を抱えることがある。
学園長と対面した時は、堂々と大人のあざとさを非難し、逆に気に入られており、彼女の前でになると学園長も老獪さを失い、好々爺となってしまう。
●ヒヨリミ元子爵(刑死)
ヒヨリミ子爵家の当主で、闇の氏族の洗礼を受けている。
前回の歴史では、疫病にて病没する予定だったが、タクヒールがもたらした治療法で難を逃れた。
彼の企てた反乱は、想定が困難だった3つの誤算(次男のフランへの逃亡、帝国内でのジークハルトの妨害、東国境戦役の早期大勝利)さえなければ、確実に成功していただろうといわれている。
その最後は、ヨルティアの放った重力魔法で精神崩壊し、その状態のまま王都にて刑死した。
●ヒヨリミ・リュグナー
ヒヨリミ子爵家の長男であり、父親同様、闇の氏族の洗礼を受けている。
闇魔法を使った暗示に長け、心根の弱いもの、不安定な者を洗脳することで、陰謀の一翼を担った。
前回の歴史では、疫病にて病没する予定だったが、タクヒールがもたらした治療法で難を逃れ、反乱ではテイグーンをあと一歩で陥落させるところまで追い込んだ。
内乱を主導した者たちの中で、唯一、追捕の手から逃れており、再起を図るべく蠢動している。
●カッパー(ヒヨリミ)・フォン・エロール
ヒヨリミ元子爵の次男で、現在はカッパー男爵家当主。
『前回の歴史』の歴史では、タクヒールの天敵であり、故国を裏切りグリフォニア帝国に内通した。
タクヒールの行った歴史改変により、本来持っていた領民に対する気持ちを、多少歪んだものの、そのまま持ち続けて成長し、領民に対し圧政を行う父親と対立する。
叛乱を知った際その場で出奔し、王国への忠義と、一命を賭し実家の汚名を断ち切る覚悟を固めた。
死を決心し、最後の行いとして父兄を討つ覚悟を決めた時の彼の様子は、それまでと全く異なる、ダレク曰く『気持ち悪いぐらい高潔な、白いエロール』となっていたが、諭されてからは、良い意味で元のエロールらしさも戻っている。それを機に、ダレクとは和解したが、タクヒールとのその後の関係は不明。
●コーネル子爵
旧ヒヨリミ領とエストール領、南側を2つの他領と接する、横長の領地を持っていた。
反乱鎮圧後の論功行賞で子爵へと昇爵し、旧ヒヨリミ領の大部分を治めることとなった。
タクヒールの母の実家であり、一族には血統魔法として地魔法が使えるものが多い。
年の離れた姉には、母親のように育てられた経緯もあり、立場が弱く、頭が上がらない。
魔法士を積極的に各地に派遣し、土木工事を支援することで収益を得ているが、戦場では陣地構築など地味な役回りが多く『戦場の日陰者』と言われていた。
その領地は、かつては鉱物資源に恵まれた、「地の氏族」の里があったとも言われているが、今は往時の姿を留めておらず、主に農業生産を主軸とした領地経営が行われている。
●クライツ男爵、ボールド男爵、ヘラルド男爵
ハストブルグ辺境伯旗下の男爵で、キリアス子爵と同様に国境線東側の領地を治めている。
一般の男爵領と比べれば、領地は広く魔境に接しているため、兵は精強で動員力も高い。
戦場ではキリアス子爵の配下として動くことも多く、それぞれが目立つ活躍の場には恵まれていないが、それぞれの堅実な働きは、辺境伯からも認められている。
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王都
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●当代カイル王
500年以上続いた、カイル王国の現国王であり、若くして王位を継承して16年となる。
本来は末子であり、王位継承権は3番目であったが、王位継承のしきたりにより国王となる。
国王たる資格として、初代カイル王より受け継がれた『鑑定』能力があるが、代々それは劣化し、その能力として、魔法が発動されれば、その魔法の種類、行使者がわかる程度のものとなっている。
末子で王位を継いだこと、前王の時代に内政を有力貴族に委ねていた結果、即位当初から国政に関与する実権に乏しかったが、王権派という国王を支援する者たちの長年の努力により、徐々にその権力基盤は固められつつある。
●クライン・フォン・クラウス公爵
王都の貴族子弟が通う学園の学園長であり、復権派が各々公職を辞したのち、その慎重さと情報収集能力、老獪さを買われ、外務卿を兼任することになった。
タクヒールに対しては、国王陛下の意を受け、詳しく観察し導くとともに、敢えて油断のならない相手として、憎まれ役を演じている節もある。
●ゴウラス・フォン・ウィリアム伯爵
王都に拠点を置く騎士団の団長。王都騎士団3万騎の頂点に立ち、剣技の腕は王国内で頂点の『剣聖』と呼ばれる階位にある。ゴウラス伯爵家の次男だが、騎士団長を務める間は伯爵号を得ている。
国王陛下の側近として、タクヒールらとの間を取り持つ役目を担っているが、そのために色々振り回される結果となり、苦労人としての側面もある。
また、ゴウラス家はカイル王国創世の時代から騎士団として活躍した家柄であり、歴代の軍団長や騎士団長を輩出している。また家名は初代カイル王の勘違いから生じたものと言われ、王国が独自の氏姓制度を持つ切っ掛けとなったという逸話も残されている。
●ホフマン軍団長
王都騎士団第二軍1万騎を任された軍団長であり、その性格は豪放磊落であり、突撃重視の脳筋より。
東国境での戦いで、タクヒールとの知己を得て以降、彼を認めその能力の高さを非常にかっている。
●シュルツ軍団長
王都騎士団第三軍1万騎を任された軍団長であり、その能力は高く、若くして軍団長に抜擢された。
騎士団長の命を受け、騎士団の中で真っ先にクロスボウを取り入れ、タクヒール麾下の魔法士たちに指導を仰ぐなど、柔軟な発想を持っている。
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復権派
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●アクアラート侯爵
カイル王国12氏族の長たる血統を引き、水の氏族を受け継ぐ。元外務卿。
●イグニスルト侯爵
カイル王国12氏族の長たる血統を引き、火の氏族を受け継ぐ。元軍務卿。
●トールハスト侯爵
カイル王国12氏族の長たる血統を引き、雷の氏族を受け継ぐ。元商務卿。
●コキュースト侯爵
カイル王国12氏族の長たる血統を引き、氷の氏族を受け継ぐ。元財務卿。
●ゴーヨク伯爵(刑死)
南部に領地を持つ、復権派に属する伯爵家として、近隣の子爵家や男爵家に影響力を持っていた。
その為人は『強欲なだけの小心者、身の回りの甘い汁を啜るしか能のない小悪党』と称されており、
自身の器量に合わない反乱を主導し、敗退したのち刑死した。
自らの欲と嫉妬心を巧妙にヒヨリミ子爵に誘導された結果、王国史に刻まれるほどの反乱を主導し、反逆者として後世にも逸話を残すこととなった。
●ゴーガン子爵(戦没)
ゴーヨク伯爵の姻戚で、ゴーマン、ゴーガンと並んで称された子爵家。
その性格はゴーヨク伯爵に瓜二つであり、互いに同族忌避の状態にある。
反乱時に、功績を立てる見込みのない囮部隊の指揮を任されるが、ハルトブルグ辺境伯軍を挑発し、一方的に攻め立てられて敗戦、その過程で戦場の露と消える。
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東部地域(辺境)
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●ハミッシュ辺境伯
東部辺境の防衛を任されている辺境伯として、ハストブルグ辺境伯に次ぐ、実戦部隊の実力者。
辺境伯旗下の貴族たちは、南部辺境に比べると豊かさに劣るため、戦力的には劣る。
王権派の一員だが、ハストブルグ辺境伯を過度に意識し、争うように演じ周囲の目を欺いている。
ロングボウを主軸としたイストリア皇王国軍に苦戦し、一度ならずとも敗退し国境の砦を奪われた。
戦場ではタクヒールの戦術を緒戦から高く評価し、それ以後、実質参謀に近い待遇で彼に自由な裁量を与え、王国軍の大勝利に結びつけた。
戦後王都では、タクヒールを参謀に迎えたいとハストブルグ辺境伯に申し入れるなど、彼を高く評価しており、武具の大量購入だけでなく、今後の施策などにも注目している。
●モーデル伯爵
カイル王国東部に領地を持つ貴族の実力者で、能力的な評価も高く、現在軍務卿の地位にある。
領内では多くの騎馬を産し、かなり豊かだったこともあり、多くの騎兵を抱えている。
本来は復権派に属し、4人の領袖たちに次ぐ地位にあったが、東部国境線でタクヒールに命を救われてから、本人曰く『一度死んで生まれ変わった』と言って憚らないほど、これまでの考えを改めた。
戦地だけでなく戦後も、タクヒールを積極的に支援し、支えることに奔走している。
●バウナー男爵
東部辺境域、ハミッシュ辺境伯旗下の男爵家当主。
次男アレクシスがタクヒールと親交を持っていることから、ハミッシュ辺境伯の意を受け、繋ぎ役として派遣されることもある。
タクヒールを高く評価し、その戦術や施政を領内に採り入れようとしている。
●バウナー・フォン・アレクシス
バウナー男爵家の次男で、王都の学園に通っているタクヒールの数少ない友人のひとり。
元々は騎士育成過程に所属していたが、魔法士戦闘育成課程が新設されると、そちらに転科した。
貴族の身分に拘らず、誰とも分け隔てなく接する性格で、飄々としており物怖じしない。
東部国境線でタクヒールらと知己を得て、行動を共にし、その時の戦功で準男爵を叙爵された。
男爵家の血統魔法で風魔法を操り、卒業後はタクヒールの麾下として活躍が期待されている。
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その他
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●正体不明
闇の氏族を操り、王国滅亡とその先にある、闇の氏族の復権を企むもの。
仲間からは、御前、老師と呼ばれているが、老人かどうかも不明である。
策謀のため身をやつし、帝国や皇王国に出没するなど、そのフットワークは異常なまでに軽い。
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グリフォニア帝国
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●グロリアス・フォー・グリフォニア
グリフォニア帝国第一皇子で、皇位継承権を争う第三皇子とは犬猿の仲。母親が公爵家の出自で、正妃であることから上位貴族に支持者が多い。
帝国の定め、皇位継承に足る十分な戦果を得ること、について第三皇子にかなり遅れを取っている。
サザンゲート血戦と呼ばれた戦いでは、戦略的に圧倒的に有利な状況を整えていたにも関わらず、一局面での戦術的敗退により全軍崩壊を起こし、結果、歴史的敗北を被ってしまった。
カイル王国との再戦により、前回の汚名をすすぐこと、第三皇子が南で上げた戦果を上回る功績をあげることにより、皇位継承戦での逆転を狙っている。
●グラート・フォー・グリフォニア
グリフォニア帝国第三皇子で、皇位継承権を争う第一皇子とは犬猿の仲。上位貴族に支持基盤のある第一皇子と異なり、下位貴族や平民に人気がある。部下は忠実で精強だが、脳筋集団であることが悩みの種。
本来得られる筈だったヴァイス将軍を、タクヒールの行った歴史改編により得られなかったが、その代わりに、今回の世界では参謀としてジークハルトを味方に得て、状況を一気に好転させた。
そのお陰で、スーラ公国との戦いは順調に推移し、皇位継承を決定付けるに十分な戦果を得ることは、目前とされている。
もともと主戦派ではなく、国土の防衛に要を置いており、カイル王国の侵攻にも消極的。
●ハーリー公爵
帝国内で強い影響力を持ち、宮廷内での発言権も大きい実力者で、娘婿の第一皇子を支援している。
謀略や宮廷闘争でその手腕を発揮し、第三皇子からは、大狸と呼ばれ警戒されている。
不利な状況下でも、第一皇子の皇位継承を諦めておらず、様々な策謀を巡らす結果、前回の歴史でも今回の歴史でも、カイル王国にとって最悪と言われる一大侵攻作戦を企図する。
●ジークハルト・フォー・ケンプファー子爵
元々政治にも軍事にも興味を示さず、毎日読書と馬を駆ることを楽しみ、周囲には呆れられていた。
父の急逝に伴い、本人曰くいやいや男爵を継承し、アストレイ伯爵の出陣に付き従った。
伯爵の信を受け、カイル王国に敗れ全軍崩壊する帝国軍を支え、味方の脱出に大きく貢献した。
多大な功績にも関わらず、ハーリー公爵の策謀で、敗戦の責を問われ幽閉されていたところを、第三皇子に見いだされ、参謀兼一軍の司令官として抜擢されたのち、子爵へ昇爵する。
一見、惰弱で飄々としているように見える彼の真価を知る者は、帝国や王国内でも数少ない。
数か国での戦局を鑑みながら、全てを盤上の駒のごとく操る彼の戦略と、戦術的な駆け引きは、彼の真価を知る敵味方から恐れられている。
●ドゥルール男爵
ブラッドリー侯爵に属する男爵家当主で、テイグーン攻略時に重傷を負い捕虜となった。
自尊心が高く勘違いしやすい、言ってみればかなり痛い性格だが、生真面目で憎めない部分もある。
捕虜返還で帝国に戻り、第三皇子陣営にてテイグーンで自らが受けた恩恵を実践するようになる。
彼は兵站部門や捕虜収容所の改革を推し進め、味方兵士の士気向上や、敵国人の敵愾心を緩和することに大きく寄与し、南方戦線の躍進を陰で支えていた。
〇アストレイ伯爵
第一皇子派の一員として、サザンゲート血戦に参加し、最終決戦では危険な殿軍を務め、壊走する味方を救うとともに、自軍に殆ど損害を出さず、局地的には唯一大勝利している。
ただそれは、甥であるケンプファー男爵の指揮によるもので、本人の実力ではないく、戦後ハーリー公爵の謀略で、最終決戦に遅参したと言いがかりを付けられ、領地を没収されている。
その後、子爵となった甥を通じ、第三皇子陣営にて復帰している。
〇ゴート辺境伯(戦没)
グリフォニア帝国第一皇子陣営の実力者で、率いる兵は鉄騎兵を軸に精強を誇っていた。
サザンゲート殲滅戦で大敗北を喫したことで、その契機を作ったダレクを深く恨み、それにより次のサザンゲート血戦では、恨みを晴らすだけの無謀な突貫を繰り返し、自滅してしまう。
当主や後継者を含む、全ての兵が全滅したため、家門は断絶し領地は帝国直轄領として没収された。
〇ブラッドリー侯爵(戦没)
グリフォニア帝国第一皇子陣営の実力者だったが、テイグーン攻略戦で多くの兵とともに戦死。
残兵は魔境を敗走中に魔物の襲撃を受け、それを本陣まで誘引した結果、全軍崩壊に繋げてしまう。
敗戦を決定付けた責を問われ、家門は断絶し領地は帝国直轄領として没収された。
前回の歴史では侵攻軍の一員としてエストに駐留し、略奪ができなかったことの腹いせと闇の氏族たちの扇動を受け、ヴァイス軍団長の意向を無視してタクヒールを処刑した張本人。
歴史の皮肉として、彼の祖先は魔境を深く知り、その地を開拓したことにより勢力を伸ばしたといわれ、魔境により興り、魔境によって滅びた一族となった。また、初代カイル王との因縁もあったといわれる。
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イストリア皇王国
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●カストロ枢機卿
かつてはイストリア皇王国に移住した、教会関係者の末裔で、先祖はカイル王国の出身。
没落した教会を復活させるため、闇の氏族の提案を受け入れ、魔法士発掘の秘事を皇王国に売った。
それにより、皇王国では高位の枢機卿に大抜擢され、引き続き魔法士の発掘を委託されている。
カイル王国との国境線で、絶対的有利な立場から、タクヒールの戦略で大敗北を喫し、戦後は敗戦の責任を取らされ幽閉されている。
〇皇王
カルトロ枢機卿を大抜擢した、教皇でありイストリア皇王国の皇王。
没落した王家を形骸化し、代々教皇が皇王として立ち、教会勢力が独裁的に王国を支配している。
当代皇王は聖魔法士の魔法を、自らが起こす奇跡として民衆に見せ、支配をより強固なものにした。
皇王国の民衆に、魔法士を神の遣い、御使いとして洗脳に近いくらいに神聖化した張本人であり、自身を、その御使いの上に立つものとして、絶対の権力を振るっている。
●闇の氏族の潜入者
カストロ枢機卿を陰で煽り、操っているひとり。
カイル王国との敗戦後、地下に潜み、その活動は今現在確認されていない。
〇風魔法士
カイル王国との戦いで、敵国の唐辛子兵器を浴び悶絶、近くの兵士によって助け出された。
その時の体験で、それ以降彼は辛い料理が一切食べれなくなったらしい。
最後までご覧いただきありがとうございます。
登場人物紹介だけで、3話から4話分のボリュームになり、書いていて正直途中で後悔した(笑)ぐらいです。
内容は大きく見直し、今後間話になるかも知れない話題や、外伝での内容も一部反映しております。
万が一、記載を忘れられてしまった人物がいれば教えてください。
次回は『登場人物紹介② 魔法士』です。
どうぞよろしくお願いします。