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第四話 杖の名前と街

 シキは歩きながらまたかと思いながら草むらから出て来ようとしているゴブリンの気配を感じる。


「さっきの経験を生かして街に行った時に売れるようにこれで戦うか、練習にもなるだろうし」


 そう言いながらシキは指輪を杖の形に変形させる。

 魔法を使おうかと思ったがシキだったがシキが使える中級魔法は炎だけだ。

 森の中でそんなものを使う訳にはいかなかった。

 そして初級魔法ではサポート程度は出来るだろうが殺すことは不可能だろうと考え初級魔法を使う選択肢はそもそもなかった。

 シキの持っている杖は見た目では分からないが鉄の塊の10数倍の強度を持っていた。


「くたばれ!」


 そう言いながらゴブリンとの距離を詰めていき杖を使って横薙ぎに払う。

 そうするとシキの身体能力と相まってゴブリンの上半身は破裂するのだった。

 ゴブリンにとっては何が起こったのかすら分からなかったのは幸運だったのだろう。

 命が無い時点で幸運だったのかは怪しいのだが。


「.....やりすぎたな」


 そう呟きふと思い出す。

 この杖を仲間がなんと自称していたのかを。


「破滅の杖」


 破滅の杖、この杖、否、このアイテムボックスがなんの素材を使われているかを知ればどう思うかは分からなかったが生憎とシキは正式名称を覚えてはいなかった。

 破滅の杖と自称しているのをずっと聞いていたというのもあるしわざわざ覚える必要もないだろうと思っていたのだった。


「まぁ、正確な名前は忘れたが元の主人がそう呼んでたんだ。 まぁ、構わないだろう」


 指輪の状態は破滅の指輪なのか? とも思ったがそれはアイテムボックスでいいだろうと思いゴブリンを破滅の杖で触りアイテムボックスに仕舞う。

 下半身しか残っていなかったが......。

 そしてシキは破滅の杖を指輪に変えるがその際破滅の杖に着いていたゴブリンの血が消え一瞬驚くが、よく考えればこんな機能もあったなと思い森の中を進むのだった。




「よし、そろそろか?」


 シキは森を抜け商人や冒険者らしき気配が進んでいる方にシキも進んでいた。

 シキには分からないが、シキじゃなければ目視できるかもしれない距離に街があるのだ。

 シキの行動はあながち間違ってないがやはり、目を閉じて歩いているというのは目立たないはずもなかった。


「なぁ、あいつなんで歩けてるんだ?」

「さぁ? 魔道具でも使ってるんじゃないか?」

「いや、でも見ろよ、そんなもの持ってるようには見えないぞ」


 小声で話しているつもりなのかもしれないがシキには聞こえていた。

 シキはポケットに手を入れ金貨を5枚ほど取り出す。


「これで通行料とかは払えはするけど、タチの悪いやつじゃないことを祈るか」


 通行料に金貨は高すぎるというのは分かっているが生憎とシキは金貨しか持っていなかった。

 そして目を閉じているが故に金貨を渡し、お釣りを誤魔化されないかが心配だ。


「そろそろか」


 この距離になるとシキも街があるということが分かってくる。

 そして前にいる馬車が左に行き、歩いている奴らが右に行ったのが分かったのでシキも右に行く。

 そしてシキの番が回ってくる。


「......何故目を閉じているんだ?」


 当然の疑問だろう。

 門番をしている身としてそれを聞かない訳にはいかない。


「昔......事故でな」

「......そうか」


 これがもう少し治安の悪い場所であったのなら詳しく聞かれたのだろうが幸運なことにこれ以上は聞かれないようだった。


「冒険者、じゃないよな? だったら通行料として銅貨3枚が必要だがあるか?」

「悪いがこれしかない」


 シキはポケットに手を入れ金貨を1枚取り出す。

 ただシキの見た目からまさか金貨が出てくるとは思わなかったのか門番の男は目を見開く。


「は? いや、これしかないのか?」

「あぁ、釣りを貰えるか?」

「釣りは渡すが、何を渡したか分かってるのか?」

「金貨だろ?」

「......釣りを持ってくるから待ってろ」


 門番の男がどう思ったのかは分からなかったが面倒なことにはならないと思いシキは安堵するのだった。


「銅貨7枚と銀貨10枚だ。 もう通っていいぞ」

「あぁ、それと冒険者ギルドの場所を教えてくれ」

「依頼でもだすのか? いや、俺には関係ない事か。 悪いな、ギルドはあっちに進んでいけば分かる.......はずなんだが分かるか?」

「あぁ、分かった、じゃあな」

「......気をつけろよ」


 シキは銅貨7枚と銀貨10枚をポケットに入れるふりをしながらアイテムボックスに仕舞い本物かどうかを確認するのだった。

 そしてシキが金貨を出した瞬間に妙な視線を向けていた男達を気にしないで街に入るのだった。


「無事入れたのはいいが......着いてきてるな」


 シキに妙な視線を向けてきていた男達が着いてきてるのを確認する。

 たまたまシキと一緒の方向に向かっているという可能性も考えたが、今も尚視線を送ってきているのを考えるとそれは無いだろうと納得する。


「俺のガタイがもっと良かったらあいつらも馬鹿な真似はしないだろうに」


 シキの見た目が子供だからこんな事になっているのは事実だろう。

 ただ、シキが言う通りガタイが良かったのならこの街に入れたかどうかは怪しいのだが。


「多分ここだな」


 シキは建物の前で止まる。

 自分の目で見ることは出来ないが、人が多勢出入りしているのを考えると恐らくはそうだろうと思いながらギルドに入るのだった。

 そして、シキの後をつけていた男達はシキがギルドから出るところを待ち伏せするつもりなのかギルドの前に居座るのだった。

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