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第十一話 アルダ

 シキはロール達に夜は何かありませんでしたか? と聞かれたが何も無かったと言っておいた。

 死体もアイテムボックスに収納済みだし、距離はあったことから普通の人間には血の臭いも分からないだろうということでわざわざ言わなくてもいいかとおもいシキは黙っていた。


「ではシキさん、ここからは強い魔物が出てくるかもしれませんのでお願いします」

「分かった」


 シキはそう一言答え、周りに意識を向ける。

 動物だったり、魔物だったりはいるがこちらを襲ってくる気配はないし、そもそもシキたちの存在に気がついていないやつもいた。

 

「平和ですねぇ」

「油断してはいけませんよ」


 商人達が話をしていたがシキはそんな中馬車の後ろにゴブリンが三十匹程こちらに来ようとしていることに気がつく。

 ただ、商人達は誰もそんな様子に気がついていないようだったのでシキはこっそり目を開きゴブリンを一掃する。

 ゴブリンがこちらを威嚇する前に倒せたので商人達にバレることは無かった。

 あれからも何度かシキの知らない魔物も襲ってきたりしたが全て邪眼で対処した。

 破滅の杖の検証をしたい気持ちもあったが流石に面倒だった。

 そんなこんなでやがてアルダが見えてくる。


「シキさん、見えてきましたよ」

「あれがアルダか」


 そう言ってみたはいいもののシキはあまりどんな所かはわからなかった。

 街に入ればもっと雰囲気とかも感じられるのだろうが。

 そうしてロール達のおかげで無事アルダに入ることが出来たシキ。


「ではシキさん、ありがとうございました」


 そう言い商人達全員は深々と頭を下げる。

 そんな商人達にシキは気にするなと言いその場を去る。


「さて、これからどうしようか」


 そう呟くも、取り敢えずと言うことで宿を取りに行くシキ。

 そして無事宿を取り、適当に街を見て回ることにした。

 ギルドに行こうかと思ったが今日は依頼を受けるつもりは無いのでやめておくことにした。

 適当に歩きながら屋台を買い漁りアイテムボックスに驚かれ。

 そうして歩くこと数分、早速つけられていることに気がつく。


「アイテムボックス狙い......だよなぁ」


 シキは面倒だなと思いながら人気のないところに行き角を曲がると直ぐに走る。

 ついてきていたものもすぐに角を曲がるが誰もいない。

 周りを探すように言うがもうシキはそこにはいなかった。

 そしてシキは大通りにいた。

 そんな中一人エルフの男がシキの存在に気がつく。

 そしてエルフの視線はシキの嵌めている指輪に向けられる。

 エルフはそれを見た瞬間顔を真っ赤にしてシキに襲いかかる。


「何故人間の貴様がそれを持っている!」


 エルフはロングソードを振りシキに向かって振り下ろす。

 シキは指輪を破滅の杖にしエルフのロングソードを受け流し、どうしようかと考える。

 シキもこれが意味のわからない事で襲いかかられたのならまだしも一応理由があると思ったので対応に困った。


「あ〜、誤解だ、話し合おう」


 そう言うがエルフは聞く耳を持たない。

 仕方ないのでシキはエルフを気絶させ人気のないところに連れていく。

 そんなシキの様子を見ていた周りの人達は目を丸くしていたが、シキはそれを気にしない。


「起きろ〜」


 軽くエルフを叩き起こす。

 エルフも最初は何が起きたか理解していなかったが時期に理解する。


「き、貴様」

「先に言っておくがこの指輪は貰い物なんだ」

「......誰に貰った?」


 そんなことを聞いてくるがシキはなんと答えようか迷う。

 エルフは長寿だが人間が300年前の人間に物を貰ったというのは不自然だ。


「......知り合い」

「それはエルフか?」

「いや、人間だな」

「そいつはどうやって手に入れた?」

「知らない」


 残念なことにシキは本当にどうやって手に入れたのかを知らなかった。


「......300年前人間に世界樹の素材が盗まれたんだ」

(ん? 300年前?)

「そいつが盗んだ素材とお前のその指輪に使われている素材は同じだ」

「......俺は人間だ、300年前の知り合いは居ない」


 シキは大体察したが取り敢えずエルフを誤魔化す。


「それも、そうか......悪い事をした。俺はもう行く」


 そう言い歩いていくエルフ。

 何故あのエルフがもっと深く聞いてこないのかは分からなかったがシキもここを離れる。

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