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第一話 300年後

「ダンジョン魔王に転生したけどMPが低すぎてダンジョンを守れる気がしません」

 MPが人種以下の魔王に転生する物語です。

 よければ見てください。

 URLは貼っておきます。

https://ncode.syosetu.com/n8910ho/

 古びた小屋の中その男は目を覚ます。


「......そうか、俺が選ばれたのか......」


 身長160cmの黒い髪の右目は赤い瞳、左目は青い瞳の男はそんなことを呟く。

 その男......その男達は300年前国に殺された。

 邪眼を持つものは1人で国をも滅ぼせると言われていた。だからこそ国は恐れた。邪眼を持つものを......


「この肉体に俺の魂が入っているということは......みんな、死んだんだな......」


 邪眼使いたちは世界で10人しかいなかった。いくら強いとはいっても寿命はある。そこで魂を移す術式を自らの魂にそれぞれが刻んだ。また新たなものが生まれてこないように......10人全員が死ぬ、あるいは殺された時に発動する術式を刻む肉体を全員分用意する......はずだった。

 全員分用意できなかった理由は2つある。

 1つ目の理由は1つの肉体に時間をかけすぎた事だ。殺されないように、死なないようにと毒耐性、自然治癒力向上、身体能力向上、不老効果、その他諸々。


 2つ目の理由は自分たちの力を過信しすぎたこと。

 元々人々は邪眼を恐れて5歳になる頃には邪眼対策の魔法を貴族は勿論として平民であっても教えこまれる。

 ただ、その魔法は邪眼を持つものと目を合わせたり普通に会話出来る程度のもので、邪眼使いが殺す気だったらなんの意味も無い魔法だった。

 ただ、上級貴族、国王達の間では邪眼に対抗する魔法をずっと研究されていた。

 その魔法が遂に完成してしまいその男達は殺された。国に大打撃を与えながら。

 邪眼持ちは寿命で死ねばまた新たな邪眼持ちが生まれるが殺された場合は新たな邪眼使いは生まれてこなかった。

 男達はだからこそ固い絆で結ばれていた。仲間の1人が寿命を迎えれば新たな仲間を探し旅に出るということを繰り返して。


 勿論男達は全ての肉体を作り終えるまでに死ぬ可能性があることは分かっていた。

 それ故に男達は全員で最初の肉体に繋がる術式をみんなで魂に刻んだ。冗談、おふざけのつもりで、もしそうなった場合はランダムでこの肉体に誰かが入ると笑い合いながら。


「......クソっ」


 男は1番最初に殺された。そして死ぬ直前の言葉を思い出してしまった。


【俺達はこの時代で十分満足した。だが、お前はまだ若い......俺達の事なんか忘れてその時代で楽しめ】


 自分が選ばれてしまった、そう思った男だったがこの言葉を聞く限り意図的に自分が転生させられたんだと理解してしまった。


「ふざけるんじゃねぇ! お前達の事を忘れるなんて出来るわけないだろ......俺の唯一の仲間を......」


 ある小さな村の中で生まれた男は恐れられていた。その村の全員に恐れられ迫害されてきた。

 その地獄を救ってくれたのが同じ邪眼持ちの仲間だった。

 そんな恩人の、最高の仲間を忘れることなんて出来るわけがなかった。


「忘れることは出来ない......それでもお前達がやっぱり俺が転生しておけば良かったと思わせられるように楽しんでやるよ......見てろよ馬鹿どもが。まずは名前だな......流石にあの時代の名前は広まっている可能性があるし使えないしな」


 名前を考えなければならないがその前に男は自分が知らない場所にいるということに気がつく。

 男が知っている肉体が置いてあった場所とは異なっていたからだ。


「そういえばここどこだ?......あの場所がバレて誰かがこの肉体の場所を移したのか? いや、そんな暇なかったと思うが......」

 

 男は知らなかったが男の仲間がこのままではあの肉体がある場所がバレるのは時間の問題だと思い自らの生命力を削り今男がいる場所まで移動させ自らの生命力をギリギリまで使い結界を貼ったのだ。

 生命力を削るということ寿命を削るということ......その寿命を使い切ってしまえばまた新たな犠牲者が生まれてしまうと思い、自ら結界の外に出ていき魔獣に食べられ自分の体ごと証拠を消し去りその生涯を終えるのだった。

 この事を男が知らなかったのは幸運とも言えるのだろう。


「まぁ、考えても分からないことは仕方ないか......それより今日から俺の名前はシキということにしよう」


 その男、シキは辺りを見回す、そして、ここは仲間が用意した場所だろうと思っていたからこそ当然のごとく窓、鏡の部類はない。

 邪眼の対策魔法はあるが邪眼使いは何故か自分の邪眼には弱かった。

 死ぬ程まででは無いが体に負担がかかることは事実だった。その事は邪眼使いたちはだけが知っており、邪眼使い達は当然自分達の弱点になり得るのだから、教えてはいなかった。


「この時代の人種は邪眼の対策魔法は広まっているのか、いないのか......それ次第では随分俺にとって有利不利と変わってくるな。勿論初級魔法、中級魔法は火の魔法だけなら使えるが、やはり邪眼が、効かないとなると変な輩に絡まれた時に厄介だな」


 邪眼使いだって魔法を全く覚えていない訳では無い。

 最も中級魔法を少しとはいえ使えるシキがおかしいのだが......邪眼使いは強力故に初級魔法以外は覚えるのは不可能と言われていたがシキは炎の中級魔法だけ覚えることが出来た。


「街に行ってみれば分かるか......街の場所は適当に歩いていけば何となく見つかるだろう、そもそも俺は楽しむために転生させられたんだ、自由気ままに楽しもう。冒険者とか学園とか、正直やってみたり、行ってみたい所は数えきれないほどあるんだ」


 シキはそう言いながら扉を開ける、目を閉じたまま。

 邪眼使いは対策魔法により目を開けていても大丈夫という人は多かったが、魔法なのだから才能がなかったりして対策魔法が苦手な人もいたりする。

 そんな人を視界に入れてしまえば殺してしまうので、邪眼使いは目を閉じた状態でもある程度周りの状態がわかるのだった。

 さらに仲間達が作り上げたシキが使っている肉体は元の時代のシキより、五感が鋭く、邪眼使いにとって最高の肉体だった。


「よし、周りに生物はいないな」


 目を開ける。

 するとそこは森の中だった。

 邪眼と言っても生物以外には発動しないので生物が居ないのなら目を開けても平気だった。

 その代わり生物には無差別なのだが......

 シキが目を閉じている理由としては邪眼使いを全員殺したとして対策魔法を人種が覚えていない可能性の他に、邪眼使いの瞳の色は共通して赤と青のオッドアイなのだ。

 その情報が今の時代にも残っているのか残っていないのか、調べるまでは対策魔法が広がっていたとしてもシキは目を開ける事が出来ないだろう。


「早速とばかりに出てきてしまったが、中に何かあるかもしれないしな、少し見てから歩き出すか」


 小屋の中に戻り何か仲間達が使えるものを残していないかを探すのだった。

 

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