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のりかえ世界のクロスクライシス  作者: こみってる。
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第五話 戯獣クライシス

 宿屋の女性に連れられて、ンダ村長のもとへと向かっていた佑都ゆうと。しかし彼の前に突然、魔法使いのモモが現れる。


 モモは、先輩魔法使いであるミミを守れなかった佑都への復讐の為、彼に魔法による攻撃を仕掛ける。


 しかし佑都が呼び出したグライゲンなる剣によって魔法を難なく攻略され、更にあおられたモモは、時間破壊クロノ・オフなる魔法で佑都の時間を停止する。


 そこに更に召喚術を発動し、破撃龍はげきりゅうなる巨大な龍を呼び出す。


「さぁ破撃龍はげきりゅう、あの男を――」


 モモが破撃龍はげきりゅうに命令を言い終える直前だった。彼女達の近くで女性の悲鳴が響く。


 モモは反射的に悲鳴の方向へと体を向ける。一方で佑都は身体の動きを封じられていたが、声でその人物を特定する。


――宿屋の姉さんか!!


 佑都は眼球を無理やり右へと動かす。そこには予想通り、宿屋の女性が二体の戯獣ぎじゅうに押さえつけられ、今まさに攻撃を受けようとしているところだった。


「おい、モモ! 喧嘩してる場合じゃねぇ、魔法を解け!」


 かろうじて口は動くが、佑都の言葉はモモに届かない。モモは突然の出来事で頭が真っ白になり、一時的に思考回路が停止していた。


「わ、私のせいだ……」


「何が!?」


「私は、あんたと戦うために、ジャガ村にかけていた結界を、一時的に解いたんだ。そのせいで戯獣が入ってきた……」


 モモは戯獣ぎじゅうが村へと侵入しないよう、ンダ村長の命令でジャガ村全域に結界をかけていた。


 しかし佑都なる男への復讐の為に、一時的に結界を解き、結界の維持に注いでいた魔力を取り戻した。しかしその隙を、戯獣は見逃さなかった。


「だとしたら悪いのは俺だ! モモは関係ない!」


 佑都は叫ぶが、彼の言葉はやはり届かない。


「どうすれば、このままだと姉さんが……」


 佑都が焦りの表情を見せた時、彼の握りしめるグライゲンがあわく輝き、佑都の肉体にまとわりついていたモモの魔力を分散させる。


 それと同時にモモの背後の破撃龍はげきりゅうの姿も、光が散るように消えていった。


――今の能力は何だ!? いや、今はそれどころじゃない。ひとまず助かったぜグライゲン!


「礼ニハ及バン」


 グライゲンの〝何らかの能力〟によって自由を取り戻した佑都は、即座に宿屋の女性のもとへと駆けつけ、二体の戯獣ぎじゅうを斬り払う。


「無事か、姉さん!」


「え、えぇ……」


 女性に避難をうながし、佑都は周囲の状況を確認する。


 先程まで外を出歩いていた村の住民は皆、家の中へと避難していた。しかし既に十体近くの戯獣ぎじゅうが村の中をうろついている。


「おいモモ、いつまで固まってる!! もう一度、村に結界を張れないか!?」


「無理よ……」


「何で!?」


「だって戯獣はもう村の中に入ってきてる。結界は、村の外から中にれない為に張るものよ、もう遅いわ……」


 モモは諦めかけていたが、佑都にはまだ策がある。


「違う、村に()()()()()()の結界だ! 奴らを閉じ込めてくれさえすれば、後は全て俺が倒す!」


 モモは一瞬悩む。敵対する佑都の言いなりになるのは不本意だったが、少しでも可能性があるのならと思い、再び村全体に結界魔法を展開する。


 そして結界の中へ閉じ込めた十数体の戯獣ぎじゅうを見渡し、佑都は剣を振りかざす。


「行けるな? グライゲン」


「余裕ダ」


 佑都は剣の力を借りて、周囲の戯獣へと斬りかかる。


 通常、人間の身体は脳から発生する電気信号によって動く。しかし佑都の場合、まずはグライゲンが発する電気信号が脳へと伝わり、そして脳を経由した電気信号によって身体を動かす事ができる。


 つまり、人間が持つ限界を超えた動きが可能となるが、その代償は決して軽くはない。


 わずか十数秒で村中の戯獣ぎじゅうを斬り捨てた佑都だったが、彼は直後に意識を失い、崩れ落ちる。


 そんな彼のもとに、早朝のランニングを終えたンダ村長が現れ、気絶した佑都を背中に担ぐ。


「遅くなってすまんのう。村中、戯獣の血だらけじゃが、誰一人として死なせる事はなかった。よくやってくれたのう」


 ンダ村長は佑都を担いだまま自宅へと向かい、近くに隠れていた宿屋の女性と、罪悪感でいっぱいのモモも彼の後に続く。


 そして家へと着くと、ンダ村長はボロボロのソファの上に佑都ゆうとを寝かし、モモに回復魔法による治療を任せる。


 モモは嫌々ながらも村長の指示に従い佑都を癒すと、一時間程で佑都は再び目を覚ます。


「目覚めはどうじゃ?」


「……あんまり良くないです」


「そうかそうか、まぁ仕方がないじゃろう。起きれるか?」


 村長の問いかけに応じ、佑都は体を起こそうとする。しかし全身に響いた激しい筋肉痛で、全く身動きが取れない。


「うぐっ! しばらくは無理そうです……」


「そうか、筋肉痛ばかりは魔法でも治せんからのう。ジャガイモをよく食って、よく寝るしかないじゃろう」


「ジャガイモの夢見そう」


 佑都は横たわったまま天井を見る。すると近くにいたモモが、彼のもとへとやってくる。


「さっきは、ごめんなさい」


「いや、別にいいよ。あんまり思い詰めんなよ」


 別にいいとは言え、ガチで命を狙われていた事に変わりはないので、ごめんで済む話ではないのかもしれない。しかし過ぎた問題ということもあり、佑都はそれ以上は掘り返さない。


「ちなみに地球の青年よ。お主、名は何と言う?」


 ンダ村長の問いかけに、佑都は自身の名前を告げる。


「そうか、ユウトか。ミミの件といい、多大な迷惑をかけてしまったな。ユウトには色々と、話しておかねばならん事がある」


 そう言うとンダ村長は、ミミと佑都ゆうとが出会った〝あの日の真実〟について語り出す。

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