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ある日、父が死んだ  作者: みゆたろ
30/39

9-2

15時。


約束の時間ちょーどになり、僕は三人と一つのテーブルを囲んだ。


「ーーお父さんの死から一ヶ月が立ちました。やはり母も精神的に疲れていた様で、倒れました」


僕は彼らに話した。


「ーー入院しているのか?」

そう聞いてきたのは、藤田しげるだ。


「はい。それで僕一人になっちゃったので、どーしたらいいのか?わからなくなってしまっていて、、。相談出来る相手もいなかったので、皆さんの知恵をお借りできたら、と思って」


「ーー僕らに出来る事なら何でも言ってくれよ。大変な事になってるんだな」

そう言って、僕を励ますように僕の肩に手を乗せたのは、沢田昌平だ。


「ーー困った時はお互い様だ」

そう言って頷いているのが、山崎太郎。


彼らもなかなかいい人なのかも知れない。周囲の人が見ている分にはーー。

僕は絶対に騙されない。


「ありがとーございます。いろいろと考えては見るんですが、、僕だけでは対処しきれない事の方が多いと思いますので、いろいろと教えて頂けると助かります」


「うむ。遠慮せずにいつでも電話くれれば、話を聞こう」

三人がそう言ってくれた。


「ありがとうございます。これからお願いします」


頭を深々と下げて、僕は先に店を出た。

三人はまだコーヒーを飲んでいく様だった。


「ーーどー思う?あいつ、、」

秀二が店を出てすぐに、口火を切ったのは藤田しげるだった。

「うむ。健吾の息子だからな、、油断はするなよ?」と、沢田昌平。

何も言わず黙って考え込んでいる山崎太郎。


「ーーほんとはアイツ、何にも分かってないのかも知れないな。まだ中学卒業したばかりだろ?」

山崎太郎がいうと、

「その可能性もあるなーー」

他の二人が同意を示す。


昨日、過労で倒れ眠っていた母の入院している病室に僕は歩いていった。

それほど離れていない距離だ。

徒歩でも数分でつけるはずだった。


街は夕暮れに染まり、商店街はライトアップされていく。


これから、この街にも夜が訪れる。


病院の透明なガラス戸を抜けると、待ち合い室がある。

まだ4時過ぎだと言うのに、もう誰も待ってはいなかった。

母の病室に向かう。


コンコンコン。


軽いノックをして室内に入ると、母が寝ているはずの病室の窓際に、別の人間が眠っていた。

ケータイを見てみる。

病院からの連絡が入っていた。

僕は急いで、ナースセンターに向かう。


「こんばんは。電話をもらってたみたいなんですが、原口恵の息子ですーー電話なんでした?」



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