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ある日、父が死んだ  作者: みゆたろ
29/39

9-1

看護婦さんがにこやかに笑って、僕を送り出す。僕は軽く頭を下げる。


真夜中の病院の廊下。

小さな足音がついてくるのも気にせず、僕は夜の街に飛び出した。


ーー今度こそ。


ーー今度こそ、やってやる!!



回想。


母が倒れ、病院について行った時。


医者に呼ばれ、カンファレンスルームに行くと、恵は疲労だろうと言っていた。

「念のため、今日と明日は入院させるけど、すぐに退院できるから心配しないで」

と笑っていた。


「ありがとうございます。母をよろしくお願いします」

僕は頭を下げた。


待合室のロビー。

どうやら僕は僕で「答え」を見つけなければならないらしいーー。


ある程度の答えは決まっているが、それを選んでいいものか?という迷いが、心を支配している。

この世の中から、邪の心を持つ人間がいなくなればいーのに。



ーー人の心は見えない。わからない。僕は僕自身がそんなものに振り回されているように思えてくる。


カチャリ。

鍵を開け、誰もいない自宅に帰ると、いつものクセで僕は言った。


「ただいま」


当然の事ながら、それに応答はなかった。

病院で、まるで重病人であるかのように真っ青な顔で眠っている母を見て、僕は心が痛んだ。

その姿が僕の背中を押した。


2日ほどの時間しか僕には残されていなかった。


ーー母さん見てて!!



僕はまたあの三人と、例の喫茶店で会う約束をとりつけた。

ーー何もなかったかのように、彼らに会えるだろうか?

その自信はなかったけど。


僕はまた藤田しげる、沢田昌平、そして山崎太郎に電話して、約束をとりつけた。


案の定、彼らは簡単に会ってくれる事になった。おそらくは真実を知った僕が、復讐を仕掛けるのも考慮した上で。


彼らとの待ち合わせは午後3時。

例の喫茶店になっている。


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