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ある日、父が死んだ  作者: みゆたろ
25/39

8-2

ーーまずいっ。ここのコーヒーは、不味すぎる。


「信じてもらえないのも、当然だと思います。だって、父さんからお金を揺すられたんでしょ?ーー知ってますよ」

秀二は語った。

「ーーお前、どーしてそれを?」

「拘置所にあなた方の仲間に会いに行った時の事です。あなた方の会話を聞いちゃったんですよ」

「なるほど。じゃ三年前のーー」

「清水奏太さん、殺人事件でしょ?もとはーー」

「ほんとに分かってるみたいだな」

「だから、聞かせてほしいんです。あなた方が、どうして父を殺さねばならなかったのか?」

「ーー仕方ない。話してやろう」

そう言ったのは藤田しげるだった。


「あの事件の後、少しの間は俺たち、うまく共犯関係を気づいていた。しかし、健吾は突然掌を返した。あの日、土砂降りの雨の降る中で、健吾からの電話を受けるまではーー」


「父さんからの電話?」


「そーだ。その時、健吾は言ったんだ。ーー俺が共犯だと言う証拠はない。お前らを警察につきだしてやる、と。」


太郎が口を挟んだ。


「ーーお前なんかに、何が分かる?」

咄嗟に俺は灰皿を叩きつけていた。健吾は呻くような小さな声を立てて倒れた。


「後から健吾の遺体の横で、ここの3人は相談しあった。遺体を埋めるか、それともこのままにしておくか?をーー」


ーーみんなが知っていた?


上辺だけじゃない。

それじゃ本当の共犯関係じゃないか?ーー父さんの行動も許されたもんじゃない。けどーー父さんは巻き込まれて死んだんじゃないか?


秀二の心が揺れるーー。


俺は誰を憎めばいいのだろう?やっとその答えが見えてきた。


俺は、、俺は、、。

その思いを噛み締めながら

「ありがとうございます。やっと父の死の真相にたどり着けました」

頭を下げて、喫茶店スマイルを出た。


ーーどうしてあんな奴等に頭を下げなければならないのか?


「自分」という存在を、俺は急に消してしまいたくなった。しかしーー。



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