8-2
ーーまずいっ。ここのコーヒーは、不味すぎる。
「信じてもらえないのも、当然だと思います。だって、父さんからお金を揺すられたんでしょ?ーー知ってますよ」
秀二は語った。
「ーーお前、どーしてそれを?」
「拘置所にあなた方の仲間に会いに行った時の事です。あなた方の会話を聞いちゃったんですよ」
「なるほど。じゃ三年前のーー」
「清水奏太さん、殺人事件でしょ?もとはーー」
「ほんとに分かってるみたいだな」
「だから、聞かせてほしいんです。あなた方が、どうして父を殺さねばならなかったのか?」
「ーー仕方ない。話してやろう」
そう言ったのは藤田しげるだった。
「あの事件の後、少しの間は俺たち、うまく共犯関係を気づいていた。しかし、健吾は突然掌を返した。あの日、土砂降りの雨の降る中で、健吾からの電話を受けるまではーー」
「父さんからの電話?」
「そーだ。その時、健吾は言ったんだ。ーー俺が共犯だと言う証拠はない。お前らを警察につきだしてやる、と。」
太郎が口を挟んだ。
「ーーお前なんかに、何が分かる?」
咄嗟に俺は灰皿を叩きつけていた。健吾は呻くような小さな声を立てて倒れた。
「後から健吾の遺体の横で、ここの3人は相談しあった。遺体を埋めるか、それともこのままにしておくか?をーー」
ーーみんなが知っていた?
上辺だけじゃない。
それじゃ本当の共犯関係じゃないか?ーー父さんの行動も許されたもんじゃない。けどーー父さんは巻き込まれて死んだんじゃないか?
秀二の心が揺れるーー。
俺は誰を憎めばいいのだろう?やっとその答えが見えてきた。
俺は、、俺は、、。
その思いを噛み締めながら
「ありがとうございます。やっと父の死の真相にたどり着けました」
頭を下げて、喫茶店スマイルを出た。
ーーどうしてあんな奴等に頭を下げなければならないのか?
「自分」という存在を、俺は急に消してしまいたくなった。しかしーー。