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ある日、父が死んだ  作者: みゆたろ
10/39

5-4

次に、僕は沢田昌平に電話をする。

ちょうどお昼時だ。

この時間なら繋がる可能性は大だろう。

三度目のコール音の後、彼は電話に出た。


「もしもし?」

「突然のお電話すいません。僕は斎藤秀二と言います。お父さんの件で、ご連絡させていただきました」

「お父さん?」

「斎藤健吾です」

「あー、健吾ね?うん。仲良くしてたよ」

「ちょっと聞きたい事があるんです。少しお会いできないでしょうか?」

「あぁ、いーよ。明日はどう?」

「何時くらいですか?」

「昼時なら」

「いつでも構いません。明日、昼時に伺います」

僕は電話を切った。


ーー明日、昼頃ーー沢田昌平。


彼が父を殺した犯人かも知れない。僕はまた自分の死をイメージした。

メモ帳には、沢田昌平との約束を、力強くメモをした。

僕に、何かがあれば警察が動いてくれる様に祈りを込めて。



その日。

僕はまた夢を見た。

もはや、悪夢としか言い様のない夢だった。


夢の中で、父が普通に僕の誕生日を祝ってくれているのだ。

だが、夢の途中で、父の顔は崩れていく。

原形を留めない液体と化すまで、時間はかからなかった。


「今度はお前だ」



そんな声が聞こえた。

一体誰のものなのか?わからない声。

そんな夢を繰り返し見続けて、おかしくなりそうだ。


眠っていたはずなのに、悲鳴とも呼べる様な叫び声をあげ、僕は飛び起きた。

大汗をかき涙を流しながらーー。


そのまま、僕は朝が来るまで眠りつけないまま、起きてしまった。


いつもの朝がそこにあった。

しかし、そこに父はいないーー。

もう時期、49日を迎えると言うのに、未だに父が死んだと言う自覚が持てなくて、まだどこかで父が笑っていそうだと思ってしまう。


いつの間にか眠っていたらしく、目を覚ますと、10時を回っていた。


「やばっ。起きなきゃ」

僕は飛び起きる。


ーー沢田昌平。

彼が父を殺した犯人なのだろうか?


沢田昌平と言う人物に、会う前から僕はそんな事を考えてしまった。

足がすくむ。

彼に会いに行こうとする足が重たく感じた。



約束の場所。

近くの喫茶店だ。

彼はちゃんと来てくれるだろうか?

待ち合わせしている旨を、店員に伝えて僕は椅子に座り、コーヒーを頼んだ。


「こんばんは」

そう、声をかけられたのは、髪が少し淋しくなっておでこが出ている人だった。

「こんばんは。あなたが昌平さんですか?」

僕はイスから立ちあがり聞いた。

「そうです。それじゃ、君が秀二くんですか?

「はい」

僕は笑った。

その笑顔は、あの悪夢のせいで少しひきつっていたのかも知れなかった。

丸いテーブルを囲むように、僕の正面に彼も座った。

「アイスコーヒー1つ」と注文する。

「ところで、健吾の話って言うのは?」

「はい。一ヶ月前。父はなくなりました」

「ーー死んだ?健吾が?」

「はい。残念ですが、、」

「信じられないな」


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