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お題シリーズ

フラグ ここは俺に任せて先を行け

作者: 仲仁へび


 明日が最終決戦だ。

 俺達異端審問官は敵対している魔術組織の本拠地へ殴り込みをかける。


 あんな奴らがいるから、世の中は乱れるんだ。

 魔術なんて邪悪な力だ。

 そんなもの、無くしてしまった方が良いに決まっている。


 魔術はただ魔術で、それ自体には善でも悪でもない?

 そんなわけあるか!

 だったら、何で俺の仲間も家族も、魔術によってあんなにも無残に殺されなくちゃならなかったんだ。


 でも、そんな悲しみは今日で終わりだ。

 この戦いが終わったらきっと、何もかもが元通りになるはず。

 皆、笑顔になって、元の様な平和な日常が訪れるはずなんだ。


 俺は、同じ隊にいる仲間に話をした。


「俺、この戦いが終わったら、あの子に告白するんだ」

「やめろよ、縁起でもない事を言うな」

「何でだよ。決意表明って大事だろ」

「そういう事を言う奴は、結構死ぬぞ」

「何でだよ、逆に気合が入るんじゃないか」


 俺は首を傾げながらさらに話をする。


「それで、これまでできなかった事にも挑戦してみるんだ。俺、芸術家になるのが夢だったんだ。この戦いが終わったら、俺は銃じゃなくて、筆を持つ事にするよ」

「だからやめろって。それ、絶対筆を持てなくなるパターンだぞ」

「ははは、何言ってるんだよ」


 こいつは心配しすぎなんだ。

 そんな事、あるわけないだろ?

 あれだけ準備してきたんだ。

 嵐が来たって、俺達の勝利は揺るがないさ。


 俺は仲間の心配を笑い飛ばして、明日を迎えた。






 そして翌日。


 敵の抵抗は予想よりも激しかった。


「く、ここはきつい。囲まれてる。でも早くあともう少しなんだ。奥にさえ行けば、あいつさえ倒せば、皆の努力が報われる! ここは俺に任せて先に行け!」

「馬鹿な事言うんじゃねぇ、お前を置いていけるか!」

「俺に何かあったら、彼女に愛していると伝えてくれ」

「だから、お前、そういう事言うなって」

「ケンカばっかりしてたけど、お前の事実は嫌いじゃなかったんだって」

「それも死亡フラグ!」


 俺は、首を振る仲間の背中を押して、先へ行くように進めた。


 そして、親指を立てる。

 目の前で、次々とがれきが落ちてきて、行く手を阻んでいく。


「ふ、心配するな、後から追いつくさ」

「もう、やめろぉ! お前は何も言うな!」




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