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シャカムニの使者☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
10章 乙女の帰還
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乙女の帰還(6)

「管長!」

 そばで戦いを見ていたホーネットが管長に駆け寄った。ホーネットはその場にしゃがみ込み、地面に倒れている管長の状態を確認した。幸い意識もあり、深刻な怪我はなさそうだった。ホーネットは再び立ち上がってにゅうめんマンに言った。


「今日はこれで勘弁してもらえないか」

「ダメだ。この男をこのまま放っておくわけにはいかない」

「――ならば仕方がない。私が相手だ」

 ホーネットは腰に提げていた伸縮警棒を手にとって伸ばし、にゅうめんマンと戦うために身構えた。


「待て」

 倒れたまま管長がホーネットを呼び止めた。

「お前ではこの男に勝てない。この間はたまたま勝てたのかもしれないが、実力が一段違う」

「ですが、他にどうすれば……」

 多分相手の方が強いことはホーネットにも分かっていた。だが、管長がやられるのを見過ごすわけにはいかない。


管長は重々しい動きで立ち上がりホーネットの方へ歩み寄った。そして何を思ったのか、ホーネットが常にかぶっている仮面を顔から外して見せた。その素顔を見て、にゅうめんマンは仰天した。


「三輪さん!」

 それは紛れもなく懐かしい三輪さんの顔だった。顔色が悪く、もとから色白の顔が青白いくらい白くなっているが、以前と同じで美しかった。管長の霊力がこもった仮面の機能により、にゅうめんマンはこれまでホーネットの正体が分からずにいたのだが、ここではじめてそれを知った。なお、管長はこの仮面を通じてホーネットを支配しており、管長でなければ仮面は外せない。


突然、ホーネットと三輪さんが同一人物であることが分かって、にゅうめんマンは衝撃を受け、同時に混乱した。まったくわけが分からない。

「これはどういうことだ。なぜ三輪さんが六地蔵の副管長を?」

 にゅうめんマンは尋ねたが、自分が三輪さん本人に尋ねているのか、管長に尋ねているのかもよく分からなかった。ともかく、それに答えたのは管長だった。

「いきさつは問題ではない。今は、この人物が三輪素子であるということが、君に分かればいいんだ」

「それは分かったけど……」


管長は仮面をつけ直し、ホーネットに言った。

「優秀な部下にこんな事をするのは少々気が引けるが、お前には私の人質になってもらう」

 管長は片腕でホーネットの体を拘束し、もう片方の手で手刀を構えて首に突きつけた。

「管長。何を……」

「今言ったとおりだ。お前には人質になってもらう。私はここでやられるわけにはいかないのでな」


それから管長はにゅうめんマンに命令した。

「人質の命が惜しければ、後ろを向き、両手を上げてその場に動かず立て」

「汚いぞ管長。またしても三輪さんを人質にとるのか」

「私の言葉が聞こえないのか!言うとおりにしないと人質を今すぐに殺す」

「この野郎……」


他にどうすることもできず、にゅうめんマンは指示に従った。管長はホーネットの体を抱えたまま、後ろ向きに立つにゅうめんマンに注意深く歩み寄り、後頭部を殴って地面に打ち倒した。それから、倒れたにゅうめんマンを窒息させるため、しゃがみ込んで両手で首を絞めた。

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