にゅうめんマン最大の敵(12)
多麻林の心意気に感じ入ったにゅうめんマンは言った。
「大好きな食べ物のために命さえ捧げようというお前の男気、敵ながら見上げたもんだ。これはもう認めるしかないな」
「おっ?」
「ひやむぎこそ、めん類界のNo.2だ!」
にゅうめんマンは声高に宣言した。
何の権利があって、にゅうめんマンがそんなことを認めるのかはともかく、多麻林には「No.2」という部分が引っかかった。
「今の流れからいけば『ひやむぎこそ、めん類界のNo.1だ!』って言うところじゃないの。No.2なんて中途半端だな」
多麻林は抗議した。すると、にゅうめんマンは怒った。
「ひやむぎ風情が調子に乗るんじゃない!本来、めん類としてビーフンに勝てるかどうかも怪しいひやむぎをNo.2として認めようと言っているんだから、ありがたく受け入れろ」
「なんて横柄な言い方だ。これが正義の味方の言うことかよ。というか、ビーフンってめん類なのか」
「黙らっしゃい!」
にゅうめんマンは、身分をわきまえずに文句を垂れる多麻林の顔をべしっと叩いた。
「痛い!」
「まいったか。悪の組織に仕える坊主め。これにこりたら二度と正義の活動を妨害するんじゃないぞ」
「……」
こうして悪の手先をこらしめたにゅうめんマンは、この日は家へ帰ることにした。本当は管長に抗議するためにここへ来たのだが、激しい戦いで体力を消耗した今の状態では、万一戦闘になったりした場合に危険だ。野原の松の林の陰の小さな瓦ぶきの自宅で英気を養ってから、改めて抗議に来よう。




